金の需給というのは存在するのか?

世界の金需給

需要と供給。

ある読者の方からご質問をいただきました。

『2009年を境に中央銀行の売却がなぜ、止まったのですか?』

『そもそも金の需給というのは正しいのですか?』

今回この金の需給について語る前に、まずは世界の金需給を提示いたします。
※最新のものは2017年のものです。

出典:WBC/GFMS/Thomson Reuters

ここで注目をしていただきたいのは、金のトータルの需給になります。

みなさん、あることに気づきませんでしょうか?

そう。

この需給の数字が全く同じになっているんです。

現実的に毎年、需給が完全に一致しているということがあり得るのか?

今回はこの理由を簡単ににご説明していきたいと思います。

金が愛される理由。

ツタンカーメンは未来永劫残り続ける。

投資先の一つである金の特性としてはこのブログでも何度も解説をいたしましたが、その価値を人間が共通に認めているということがあります。

みなさんエジプトのツタンカーメンのマスクはご存知かと思いますが、紀元前3000年前に作られたと言われています。

今回金の他の特性、といいますか特徴として、そのマスクが今でもそれが現存するということ、つまり『腐らない』ということを加えさせていただきます。

例えば古代エジプト人が鉄で何かの製品を作ったら、この21世紀に現存をしているでしょうか?

鉄は酸化=錆びますので、ボロボロになりガラクタに成り下がるか、土の中に埋もれて何なのかさっぱりわからない状態になるのです。

紀元前3000年にその製品が金で作られていたら、その製品はツタンカーメンのように腐りません。

金は、存在のものが永続するということが人間に愛される理由でもあるのです。

プール三杯の金

金は永遠に愛される。プール三杯な訳ないんです。

金は、要するに光輝くから人間に好かれる側面もありますが、あらゆる自然界のものは、ある日その生命が絶たれるものですが、金は永遠にその形が残るから人々から愛されるのです。

いわゆる不老不死ということですね。

1990年前半、まだバブルの残り香があったころ、その時に地球上に存在する金はこう言われていました。

「有史以来」世界中で採掘された金は、代々木のオリンピックプール3杯分である

と。

現在では、代々木のオリンピックプールは東京オリンピックのために取り壊されましたので、長さ50メートル・幅25メートル・水深2メートルの東京オリンピックプールのプール3.5杯分となりました。

ん?

1990年代よりも0.5杯分増えていますね。

この0.5杯分というのは、南アフリカや中国で新産の金が製造されていますので20年間でそれが増加したのでしょうか。

その体積をトンに換算すると17.1万トンといわれています。

しかし、紀元前3000年前に掘られた金がツタンカーメンマスクとして今も現存しているのですから、本当はもっと多いのではないの?と思うのが普通です。

なぜなら、金は腐らないのですから。

【有史以来】はいつから。

ここにマジックが存在。

ここに言葉のマジックがあり、私が一番、最初にご紹介した言葉の前半にはカッコで「有史以来」と書いてあるのがミソになるのです。

つまり、有史というのは人間が言葉を使い始めたことになりますので、このツタンカーメンマスクが作られた時代に文字があったのか、どうかなどは、私は歴史学者ではないのですから、わかりません。

『有史』というのは文字が残っている時代のことを指しますので、それ以前は有史とは言いません。

要するに有史以前に掘られた金、採掘された金はカウントしないで17.1万トンといっているのです。

要するに日本で古事記や万葉集が編纂されたのは、文字があるのですから有史になりますけど、そんな時から凡そでもいいかですから、金の採掘されていた量なんて推測でもわかるのですか?ということです。

日本では江戸時代に新潟県の佐渡島でも産金していたことは有名です。

今は他方砂金取りというのがあるらしいですが、それも言い方を変えれば立派な金になるのです。

また、お正月などのお祝い事があるときに金箔入りのお酒や、ご馳走などもいただくと思います。

人間の胃の中に入っていることもあるもの、それも金です。

そしてヨーロッパでは金は隠し財産になります。

近年までヨーロッパ地域での金の需給とアメリカの需給などは発表されたことがありません。

これは、ヨーロッパが第二次大戦前に戦争が多発し、一夜にして自分の財産が紙切れになってしまうことがあったために、人々はお金で財産を持たずに、金で財産をもっていた名残になります。

結論、需給情報は当てにならない

今でも、世界の金取引の中心はロンドンになるのも、金の価値をもっともよく理解しているヨーロッパ人が中心であることからイギリスはロンドンや、スイスのチューリッヒなのです。

こういった話を聞くと金の需給というのはどう思いますか?

有史以来、採掘された金が推計で17.1万トンである、と言われても、あなたは信じますか?

そもそも、この17.1万トンの根拠をどの文献をみても書いてありません。

1990年代から0.5杯分増えていても、それは間違った数字を根拠に毎年増やしたものであり、そもそもの土台のこの数字が間違っている可能性がありますので、信用などできません。

このベースになる数字の根拠、オリンピックプール3.5杯分というのが怪しいのですからお話しになりません。

全部地球上に残っている

世界中に金は存在し還流する。

そもそも最初のWGCの世界の金需給というのは、供給サイドは金が腐らないとしたら、(もちろん人類が金箔として食べてしまった需要は除きますが)17.1万トンはまるまる地球上に残っている計算になるので、それであれば17.1万トンの供給になるのが妥当ではないでしょうか。

それは言い過ぎとしても、少なくても毎年4000トン程度の供給しかないのはおかしな話です。

この数字というのは、たとえば新産の金や中央銀行の売却というのはカウントできますが、リサイクルの金=中古金スクラップというのはどうやって換算したのでしょうか。

数えられる数字を推計したものにすぎないのではないでしょうか。

これは金スクラップを延べ棒にした分をカウントしただけであって、個人の方がなくしてしまった貴金属類はリサイクルできませんので、ノーカウントです。

要するに、この需給表は?

因みに金の需給表を信じている方など、金の関係者では私は見たことがありません。

だったら、なんのためにこのような統計を出しているのか、という話もありますが。。。

需給値が一致する理由。

答えは都合の良い突き合わせと見る事が出来る。

この需給表の中で需要部分にETFというものがあります。

この金ETFというのは金の現物ではなく『金の現物を証券化して株式市場で上場しているもの』です。

昨今は、金融自由化によって似たような商品もたくさんあるので、類似商品と付記してあるのです。

この商品は2000年以降に金融自由化によって誕生した商品で、この金ETFは需給表のとおり、大きなウエイトを占めています。

この証券化商品の金ETFは、証券取引所に上場している以上、その決算を公表しないといけないシステムが証券取引所にありますので、金のETFが毎年、いくら買い付けをしているかがわかります。

また中央銀行の売却にしても国民の財産になりますので、その買い付けや売却は公表する義務があります。

供給サイドのヘッジ売りも先物取引所で受け渡しの会員は公表されますので、わかります。

要は、需給が一致しているというのは、この情報に信ぴょう性がないから数字が一致しているだけの話なのです。

わかる数字を正確に表現し、残りは数字が合うように実態に合わせて数字を突き合わせて公表しているだけなのです。

みなさんは信じますか?

じゃ、一体何が正しい情報か。

それは結論『判る訳がない』のです。


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください