なぜトランプ大統領はハーレー・ダビッドソンを批判するのか?

ハーレー問題のそもそもの根幹とは?

ハーレー問題のそもそもの根幹とは?

これは以前から指摘をしているように、アメリカの経常赤字が異常な勢いで増えていることから、トランプ大統領はその赤字を増やさないように貿易問題を問題にするのです。

経常収支=財政赤字+貿易収支

という計算式を見れば一目瞭然になります。

今年の年初、減税法案が通ったために財政赤字は拡大します。

だったら貿易の赤字を減らせばいいということになり、トランプさん流で諸外国に貿易赤字の削減を求めているのです。

では、このアメリカの要求は通るのかと言えば、通ります。

いくら横暴で粗野な要求であっても、現実にアメリカは貿易で諸外国に黒字を与えているからです。

「その黒字を是正せよ」というのは真っ当な要求であり、経済戦争に負けたアメリカが悪いなんて日本で主流になっている反論など通るわけがありません。

なぜでしょう。

世界経済はアメリカなしでは成り立たない

つまりその手法には問題がありますが、トランプさんは当たり前のことしか世界に要求していないのです。

ですからそれによって不利益を被る可能性がある方は、最終的な帰結はアメリカの要求がすべて通ると考えておかなくてはいけません。

また、先の米朝会談でほぼ日本にミサイルが来襲する可能性はなくなりましたが、なぜそうなったかは非常に簡単な話です。

要はアメリカに戦争を起こすお金がないのです。

そうなると、トランプさんとしては今後アメリカに盾突くような輩が出てこないように警戒をします。

今のイラン国内は、物価の高騰によってデモや混乱が続いています。

弊社はイランがアメリカは戦争をしないという思惑から暴発すると思っていましたが、逆にトランプさんからイランの暴発を警戒してイラン産原油の禁輸を求めたのが今回の帰結です。

ハーレー問題のもう一つの見方

では、今後の世界経済の成長に関して、何がカギを握るのかということを考えていきましょう。

そのカギとは自動車です。

去年、中国とヨーロッパが一斉に2030~40年までに今のガソリンカーを禁止し、電気自動車しか走らせないことを決定しました。

これに対し日本やアメリカは出遅れています。

日本の場合は大手メーカーであるトヨタや日産がある程度好調だからいいのですが、アメリカの代表的なメーカーからは景気のよい話は聞こえてきません。

いわゆるビッグ・スリーであるGM、クライスラー、フォードのことです。

そして新興勢力のテスラとウーバーは、自動運転中に人身事故を起こすというような体たらくぶりです。

車の生産は、どこの国でも満遍なくGDPの数パーセントを担っています。

つまり国の活力の根幹にもなり得る産業なのです。

ヨーロッパが考えた【電気への道】

そこでヨーロッパと中国が今後、現在のガソリンカーを禁止して電気自動車にするという流れを作りました。

これは地球環境を考慮すれば不可避の政策であって、いずれ世界の標準となることでしょう。

となると今後考えられるのは、全世界のガソリンカーが電気自動車に置き換えられるということを意味します。

全世界の自動車保有台数は約13億2000万台と言われていますが、自動車会社にとってよりよい電気自動車を開発するのはマストのことになります。

そして、その競走に打ち勝つことがものすごい利益をもたらすことは、誰もが想像できるでしょう。

なぜなら自動車生産は、どの国家でもGDPの数パーセントを占有するのですから。

それに先行したのはヨーロッパと中国で、日本はある程度技術がありますが、アメリカは完全に出遅れました。

となると、国内で製造ができないアメリカは、さらなる貿易赤字を抱え込み、結果、自動車産業が衰退することになるでしょう。

アメリカの抱える問題

「これが看過できない」と言っているのがトランプさんなのです。

要するにアメリカの三大メーカーは皆、まだ電気自動車の開発を十分に研究していない、完全に出遅れた存在なのです。

だからトランプさんは、「世界の自動車メーカーにアメリカで自動車を作ることは許す」と言っています。

トランプさんは国内の自動車産業の保護を言っているのではなく、アメリカを守るためにけんかを吹っかけているわけです。

ハーレー・ダビットソンも同じことで、今後アメリカで電気バイクを作ったほうがメリットは大きいと言っています。

なぜなら自動車関税20%を完全に実施する腹積もりで、バイクもその対象にすると言っているようなものですから、出て行こうとするアメリカ人の心、ハーレー・ダビッドソンを止めようとするのです。

世間はこの自動車に対する報復関税は回避されると見ているようですが、そんなことはなく、むしろ実現の可能性のほうが高いと言えます。

このままだと倒産するアメリカ

まず間違いなく、このままアメリカの経常赤字が増えていけば、アメリカはいつの日か倒産するでしょう。

返せる目途のない借金をどうやって返済するのでしょうか?

だからトランプさんはアメリカのために戦っているのです。

そして世界は、報復関税に関して言うことを聞かざるを得ない状況になるでしょう。

つまりこれが成功すれば、アメリカの貿易赤字は減るということです。

たとえ期限の7月6日に合意できたとしても、関税を先送りするでしょう。

必ず「国内に自動車工場を作れと」要求するだけです。

考えてみてください。

現代社会で必要不可欠なものは電気と食料です。

電気エネルギーのメインである石油はアメリカが世界一の生産国であり、食料である穀物も生産量ナンバー1です。

言い換えれば、アメリカはすべての輸入をシャットアウトしても、多少不便はありますが生きていけます。

困るのはアメリカから貿易黒字をストローで吸っていた日本を筆頭とする国々です。

ハーレー問題と金の関係

ハーレーダビットソン(風)と菌の関係。

つまり、この問題の解決が金の価格に密接に関係するのです。

今後は戦争もしない腹積もりですから、赤字は増えません。

そして一連の貿易の問題が赤字を増やさないことが決まってくれば、経常赤字が減るので金の価格は下がります。

しかし一方で、新興国はドル高自国通貨安によって貿易を増やします。

つまりこれらの国は対アメリカ貿易で黒字を稼ぎ、これが過剰になると再びトランプ劇場第二幕が開演するのです。

単にそれだけの問題です。

基本がわかれば、この貿易戦争の帰結など考えなくてもわかりますし、また、この動向によって金の価格が決まることもおわかりになるでしょう。

必ず下落します。


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