トルコの準備金と金相場の関係

トルコの準備金の推移

先日のサッカーワールドカップで、日本代表を応援した人は多いと思います。

その日本代表の中で唯一、トルコリーグから参戦したのが長友選手です。

昨今のトルコはドル高と大統領の放言によって資金が流出し、経済停滞に悩まされています。

そしてそのトルコリラ防衛のために、外貨準備として用意してある準備金を一部放出しました。

参照元:TRADING ECONOMICS

上記のグラフは、過去3年間のものになりますが、2018年4-6月期に前期582.2トンの準備金があったものを、今期は236トンに減らしています。

これは、トルコリラがドル高や大統領の放言によって大幅に売られたために、ドルを売ってリラを買い支えるというトルコ中央銀行の為替介入の原資として、準備金が利用されたことを表しています。

参照元:MQL5

上記はドル建て金の日足になりますが、4月から6月にかけて価格が下落しているのが見て取れるでしょう。

この間のドルリラ相場もついでに確認しておきましょう。

参照元:MQL5

ドル円が上にいくほど円安になるのと同様に、ドルリラ相場も上に行くほどリラ安になります。

これを見るとおわかりのように、リラは今年の5月から急激に下がっており、これだけ短期間に通貨が急落すれば、日本銀行がドル円相場に介入するのと同様に、トルコ中央銀行もドル売りリラ買い介入を行い、結果6月にはリラの急落が止まったように見えます。

どれだけの金をドルリラ市場に投入したか?

トルコ中銀がドルリラ市場に投入した金は1兆1440億円規模

日本の場合は豊富な外貨準備がありますが、トルコには外貨準備が潤沢にあるとは言えず、その資金不足を補うために準備金を売却したのです。

その量は、250トン程度になり、平均価格が1300ドルとすれば、

1300ドル/トロイオンス÷31.1035グラム=41.79ドル/グラム

41.79ドル/グラム×250,000,000 (トン換算)=104億ドル

さらに円換算すると

104億ドル×110円=1兆1440億円

という数字になり、どれだけの量をドルリラ市場に資金介入したのかおわかりになるでしょう。

単に200トンの金と聞いても皆さんは大したことがないと思うかもしれませんが、金額にするとその巨額さがわかりますよね。

トルコ中銀が売った約250トンの金塊の規模

250トンの金売却は半端ではない

では、そのトルコ中央銀行が売った約250トンの金塊の規模を考えてみましょう。

まず、世界で毎年供給される金はだいたい4000トンですから、そのうちの250トンがトルコ中央銀行から供給されたことになります。

その率は5%程度です。

マーケットの世界で、例えば1300ドルの金が5%上昇すると、値段が1365ドルになることになります。

まだピンとこない人も多いと思いますので、日本円のグラムで換算すれば約230円動くことになり、キロに直すと23万円動いたことになるのです。

ここでようやくトルコ中央銀行が売った金の量が半端でないということが認識できたと思います。

つまり4-6月にドル建ての金相場が下がったのが、トルコ中銀の準備金売却の影響だと考えることもできるのです。

4-6月からの高値-安値の差はだいたい120ドルくらいになりますので、本来なら供給が5%増えて65ドルくらい下がればいいので、残りの約55ドルはオーバーシュートと考えられます。

売られ過ぎた相場は、正常な値段に戻るものですから、おそらく今の値段は修正されることになるでしょう。

今後の金の値段とトルコの動き

問題はトルコ中銀が今後何をしようとしているか

トルコ中銀の金売却の観点から見ると、今の金価格は少し割安な状態であると考えることができます。

もちろんトルコ中銀に限らず、他にも売った企業などはあるでしょうが、現在、今年の4-6月期に金を売ったことが確認できる中央銀行は、トルコ中銀だけです。

このトルコ中銀の売却に関してだけフォーカスを当てるとしたら、この考え方は正解になりますが、他の材料を含めると、価格はどうなるかわからないという点には留意をしてください。

4-6月に金の価格が下がったのはトルコ中銀のせいで、現在はその値段がオーバーシュート気味で推移しているということは理解できたと思います。

しかし、このトルコ中銀が、今後何をしようとしているかが問題です。

今後トルコ中銀は準備金を再び増やす

今後トルコは180トン近くの金を買い付けることに

トルコ中銀の計画を見ると、2018年7-9月期には、236トンまで減った準備金をまた410トンまで増やす見通しを出しているのです。

どこから買い付けるのかはわかりませんが、7-9月期にはトルコは180トン近くの金を買い付けることになります。

もちろん、わからないように買い直すのでしょうが、そのインパクトは市場の価格を4-5%押し上げることになるでしょう。

要するに、ドル建てで現在売られ過ぎている60ドルほどと、5%分の買い戻しを行えば、楽々今年の高値を抜いてしまうことになるのです。

この観点から見ても、今の金は弱気ができないような状態なのです。

もちろん、予測は予測であって正確性はないのですが、この材料を重視するのであれば、金は買いと判断すべきでしょう。


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