金価格が底を打ったという最近の論調について

金の価格が底を打った3つの根拠

貿易戦争、新興国不安、株価の急落などの世界的なリスクよって、金価格が底を打ったという論調について考えていきます。

貿易戦争をはじめとする世界的リスクによって金価格は底を打った?

今後、金の価格が高くなるという論調がさまざまなメディアで増えています。

まずはその検証をしてみましょう。

1. 中央銀行の買いが増えた

中央銀行の金購入は、最近の金需給において、目に見える正確な需給としてはETF購入金額と並んで注目されているものです。

この中央銀行の購入が、今年の1〜6月期に去年よりも8%増え、需給が引き締まったことによって買いになるということ。

2. ブレグジットへの不安

ブレグジットとは、言うまでもなくイギリスのEUからの脱退問題で、EUと合意して脱退(ソフトブレグジット)するのか、それとも合意なき脱退(ハードブレグジット)になるか、予断を許しません。

つまり、ブレグジットは規定路線ですが、EUとの合意の有無に対する世界経済への不安を背景に金が買いになるということ。

3. 9月、鉱業大手ランドゴールドリソースとバリックゴールドの183億ドル規模の合併

大規模合併は通常、非効率な会社同士が合併して、スケールメリットによってそのコストを下げようとするのが目的になります。

今回のケースを推測するのに、最近の採掘コストの高騰により利益ラインが引き上げられたことが、合併を促進したと考えるのが妥当でしょう。

このように再編や倒産が多発するのは、経験則では相場の底打ちが出るケースが多いことから買いになるということ。

上記の理由から、金の相場は買いになったという論調が非常に多いのですが、このことを以下で検証します。

中央銀行の金の購入が増えていること

1998年以降初となる金買いで注目を集めたポーランドの中央銀行

2000年以前は金の価格低迷によって、中央銀行は売却を加速させていましたが、金価格高騰によって売却はほとんどなくなりました。

その国がよほど経済的にピンチであれば売却をしますが、現状の金相場では、保有していれば勝手に価格が上昇していきますので、世界的な景気拡大局面においては財政的な余裕もあり、金を購入することが多くなるのは容易に想像できます。

考えてもみてください。

財務省や中央銀行の役人は、あなたより数倍賢いからそういった責任ある立場にあるのです。

その人たちが金の購入を増やすということは、提灯をつけて買っても問題がないと言えるでしょう。

ただし、彼らと私たち投資家が違うのは資金量です。

彼らには100億円単位を楽々と動かす裁量がありますが、私たちは1000万円を動かすのにも四苦八苦です。

彼らは資金量でマーケットを圧倒できますが、私たちは少ない資金を効率的に使わないとなかなかお金は増えません。

つまり、この買いの材料はかなり信用できますが、タイミング、つまり現在の10月で本当に良いのかを考える必要があります。

貿易戦争などの心理的不安が金価格を押し上げる

米中貿易戦争は株価をはじめさまざまな分野に波及

株価急落の原因は、貿易戦争や金利急騰にあると言われています。

金利の急騰に関しては、イコールの関係として物価が上昇しているか、もしくはアメリカの債務が増えていることが前提条件です。

アメリカの財政は年初から悪化し続けていますが、景気が良いので税収は減らない見込みです。

つまり、今後のアメリカ債務は良化していく可能性があることから、悪い意味での金利上昇ではないと判断できます。

むしろこの金利上昇は、一般労働者の賃金が上昇し、可処分所得が増えたことによって商品需給が引き締まった結果、物価が上昇していることになります。

つまり、この物価上昇は良い物価上昇で、金にとっては売り材料となり、これは論理的に買い材料と捉えることは間違っているようです。

ただし、貿易戦争はアメリカ国内の競争を阻害し、特に全世界のアルミ、鉄鋼に対して高率な関税を課していることは、将来的にアメリカの国力が弱る要因になります。

国力が弱り、物価が上昇するということは、悪い物価上昇となり、金の買い要因にもなることを忘れてはいけません。

この場合、良い金利上昇か、悪い金利上昇かの判断は非常に難しくなりますが、現在は良い金利上昇でしょう。

大規模な金鉱山会社の合併は底が入る兆候

業界再編を経て大手が出店攻勢をかけるコンビニ業界

昔、am.pmヤマザキデイリーストアというコンビニがあったことを覚えている方は多いのではないでしょうか。

am/pm(エーエム・ピーエム)

am/pmとは、アメリカ合衆国を中心に世界展開するコンビニエンスストアである。

10年ほど前にコンビニの数が多過ぎると言っていたのが、現在、大手コンビニは出店攻勢を強めています。

この10年で、中小や店舗数が少ないお店を統合、合併することによって業界の再編が起こり、大手コンビニが今度は出店攻勢をかけていることに注目です。

つまり合併や倒産など業界の再編は、採算ラインに乗っていないから起こるのであり、結果、競争が再び起きます。

業界再編が相場の底であるという意見は、しごくまともであり、おそらく今後の上昇が見込まれるでしょう。

ドルの動向の見通し

ソフトかハードか?世界経済に不安を投げかけるブレグジット

金の価格変動は、ドルの上下動によって一番値動きが起こるというのが弊社の見解であり、上記の説明はドルの動向に触れたものはない、というのが誰しもが感じることでしょう。

ドルの見通しについて、以下で考えていきます。

まず、4月に安値104円台だったものが現在は112円くらいです。

つまりドルは上昇傾向にあります。

今後の重要なイベントは、アメリカの中間選挙、そしてイギリスのブレグジットです。

この2つの事件は、2016年にも金融マーケットを大きく揺るがし、ドルも乱高下したことを覚えている方も多いでしょう。

今回、おそらく各国の金融担当当局は、ドルや金利の上下動を厳しく監視しているはずです。

なぜなら、こうした金融マーケットの乱高下は、経済成長を著しく阻害する可能性があるからです。

イタリア問題とブレグジットとアメリカの法人税減税

不安要素を抱えるイタリアの財政状況

現在、世界的に不安が高まっているのがイタリアの財政状況で、イタリアに万が一のことが起こらないように、統一通貨ユーロを安く誘導しているように見えます。

イタリアの問題がいつ解消するかはわかりませんが、少なくとも中間選挙やブレグジットを通過するまでは、ドル高ユーロ安の傾向が続くでしょう。

ドル高は金の売り材料の一番の理由です。

しかし、一方でアメリカのトランプ大統領は、年内に法人税減税を議論すると明言しています。

つまり、今年の年初同様、来年初めから大幅に円高が進行し、その結果、金の価格が上昇するでしょう。

減税によってアメリカ政府の債務が増え、ドル安になるということです。

これは、言うまでもなく金の買い材料になります。

金は買いのほうが圧倒的に有利

金は買い。問題はどのタイミングで価格が上昇するかの見極め

このように考えていくと、金の売り、買いで言いえば、買いのほうが圧倒的に有利であり、問題はいつから上昇するかです。

確定していることは、中央銀行の購入と業界の再編で、これらが買い材料になることはご説明しました。

ほかの材料はまだ見込みの話であって、確定している訳ではありません。

つまり、上記のほかに材料が出るかもしれませんが、上記材料の中で確定したものがあれば、それが上昇圧力になる可能性があるということです。

現状の確定している材料だけでは、マーケットを押し上げる事実になっていないことも、また確かです。

金価格予測で説明したように、現在の上昇は中折れになり、本格的なものは来年1月から、さらなる上昇は4月からと考えています。

思い出してください。

零細な一般投資家には大きな資金力がないのですから、タイミングを待つか、または分割して買うほかありません。

その選択は、あなた自身にあります。


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください