第2回:デビアス合成ダイヤ市場進出の理由とは?Lightbox誕生の背景に迫る

デビアスの合成ダイヤモンドブランド「Lightboxライトボックス」とは?

「A Diamond is Forever ダイヤモンドは永遠に」

1947年メアリー・フランシス・ゲレティによって生み出された、このあまりにも有名なデビアス社のコピー。

このコピーによってダイヤモンド市場の覇者デビアスは、ダイヤモンドは永遠の宝石というイメージを定着させ、人生の節目の記念ジュエリーにダイヤモンドを選択させてきました。

しかし、実質的に天然ダイヤモンド市場をコントロールしてきたデビアス社は、現在合成ダイヤモンドジュエリー販売という新たな局面を迎えています。

それが2018年9月にアメリカで販売を開始した、成ダイヤモンドジュエリーブランド「ライトボックス・ジュエリー」です。

世界中の宝飾関係者が注目するライトボックスとはどのような企業なのでしょうか。

商品構成はすべて合成ダイヤモンドのジュエリー

 

ライトボックスは一切天然ダイヤモンドを使用しない、研究所内で製造された合成ダイヤモンド、すなわち「ラボグロウンダイヤモンド」のみを扱うブランドです。

ライトボックスのブランドコンセプトは「今の気分にあうダイヤモンド」

これまで培ってきた「永遠の」天然ダイヤモンド市場とは全く別の顧客層へのアプローチ、と位置付けています。

天然ダイヤの10分の1の価格!

 

ライトボックスの合成ダイヤモンドの最大の魅力はその手頃な価格にあります。

1カラット当たり800ドルという低価格は、エンゲージリングクラスのリングに使われる天然ダイヤモンドの10分の1にも満たない計算です。

明瞭な価格設定

ライトボックスのジュエリー価格は一切不明瞭な点が見当たりません。

カラット当たりのダイヤモンド価格と、地金価格、これだけです。

例えば1カラットのダイヤモンドの純銀ネックレスの価格は、「ダイヤモンド1カラット分800ドル」「純銀(スターリングシルバー)ネックレス100ドル」で計算されます。

ワールドワイド展開を見据えたアメリカ先行販売

ライトボックスが最初の販売国として選んだアメリでは、天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドははっきりと売り場が分けられています。

ライトボックスがアメリカ先行で販売することを決定した大きな理由です。

今後の展開については「今はアメリカのみだが他国での出店もありうる」とのこと。

もしかしたら日本にもライトボックスのジュエリーが上陸するかもしれません。

デビアスが合成ダイヤモンド市場に参入した理由とは?


広く知られている通り、デビアス社は事実上世界の天然ダイヤ市場のコントローラーとして君臨してきました。

そして主に中国やアメリカで生産される高品質合成ダイヤに対抗し、天然ダイヤモンド価格下落を阻止する立場にありました。

しかし、その一方すでに1950年代から合成ダイヤモンド製造に着手してきた歴史があります。

イギリスのオックスフォードには、デビアスの合成ダイヤモンド製造の本拠地である「エレメントシックス」の研究所があります。

ライトボックスはこのエレメントシックスの合成ダイヤを使った唯一のジュエリーブランドなのです。

はたして、2018年現在のこの時期、デビアスの合成ダイヤモンド市場に参入にはどのような理由があるのでしょうか?

理由その1.天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドの差別化

まず理解しておきたいことは、デビアスはライトボックスのジュエリーを購入する顧客と、天然ダイヤモンドを購入する顧客を全く別物ととらえていることです。

ライトボックスのジュエリーは、高校生の卒業パーティのためのものであり、少女のピアノの発表会のためのもの、あるいは大人の女性たちが気軽な気分転換として楽しむためのものとして提供されています。

また、パソコンやタブレットの画面上でダイヤモンドの色(無色のほかにピンクやブルーが選べる!)や大きさを組み合わせて選べるライトボックスのダイヤモンドは、オンラインショッピングでファストファッションの洋服を選ぶ時と全く同じ感覚です。

ライトボックスのダイヤモンドは希少価値こそないけれど、天然ダイヤモンドと同じ輝き、硬さを持つ本物のダイヤモンド

そううたいあげながらも、デビアスは天然ダイヤモンドとは全く異なる存在であることをはっきりと明言しています。

そしてライトボックスの合成ダイヤモンドジュエリーに破格の低価格設定(天然ダイヤモンドの10分の1以下)を行うことによって、デビアス商品構成の中で天然ダイヤモンドとの住み分けをはかることが可能になります。

さらには宝飾産業全体の合成ダイヤモンドと天然ダイヤモンドの差別化にもつながることが期待できるのです。

理由その2.合成ダイヤモンドの製造コストダウン

合成ダイヤモンドの技術の進歩は目覚ましいものがあり、様々な製造方法が生み出されてきました。

技術の進歩に比例して製造コストダウンも大幅に進み、これまで大粒無色の合成ダイヤモンドの製造コストは、天然ダイヤモンドの採掘コストを上回っていましたが、現在では十分採算ベースに乗るほどになりました。

ライトボックスのダイヤモンドは、プラズマ反応器に小さなダイヤモンドの粒子がセットされてから、ジュエリーに使用可能なカラットサイズに成長するまでわずか400時間

2週間余りでサイズもカラーも望みのままのダイヤモンドが作り出せるのです。

そのうえ0.2カラットを超えるダイヤモンドは、肉眼では見えない極小のライトボックスのロゴが刻まれています。

デビアスではライトボックス誕生と時期を同じくして、天然ダイヤモンドの採掘から販売までの履歴すべてをデジタル追跡できるシステムをブロックチェーン技術で構築しました。

また今後デビアスの天然ダイヤモンドにはカラット、クラリティ、カラーといった個々のダイヤモンドの特性を記録する固有の「グローバル・ダイヤモンドID」が割り当てられるようになります。

そして身元や性質が明確な合成ダイヤモンドには固有IDは必要ありませんが、デビアスブランドの証ははっきりと確認できるようになっています。

このように消費者のプライドを傷つけることなく、デビアスのダイヤモンドを身に着ける喜びが味わえる合成ダイヤモンドの提供こそ、デビアスが目指すライトボックスの販売スタイルなのです。

合成ダイヤモンド普及によって受けるデビアスのメリット

デビアスが天然ダイヤモンドの市場を独占してきた最大の理由はダイヤモンドの価値を下げないことにありました。

しかしもはやコントロール可能域を超えたと判断したデビアスは素早く次の売れるダイヤを模索した結果たどり着いたのが合成ダイヤモンドジュエリーの販売でした。

ここではデビアス側から見た合成ダイヤモンドジュエリー販売で生まれるメリットについてまとめてみました。

天然ダイヤモンド(フォーエバーマーク)の再評価

合成ダイヤモンドは皮肉なことにその天然ダイヤと変わらない特性から、研磨委託国や販売マーケットにおける天然ダイヤモンドとの混在がかねて問題となっていました。

消費者からの信頼を回復するには、ダイヤモンド原石の供給元が明確なことが何より有効です。

そこでデビアス天然ダイヤモンドブランド、「フォーエバーマーク」のブランドバリューが高まっています。

世界中のダイヤモンドの1%未満の最高ランク、フォーエバーマークのダイヤモンドには厳しい選定基準があります。

ダイヤモンド原石は環境的・社会的に高い基準を満たした鉱山から採掘され、流通経路が明確な一握りの選ばれた企業にのみ取引されます。

さらにカラー、シェイプ、サイズといった特徴から評価され、最高のカット技術を施されたダイヤモンドは専門鑑定機関に送られます。

そこでは最新機器による科学的な判別、およびダイヤモンドプロフェッショナルの肉眼の両方で鑑別、鑑定されてるのです。

これらの厳しいハードルを乗り越えたダイヤモンドだけが、フォーエバーマークのダイヤモンドとして「ブランドアイコン」「個別認証ナンバー」がしるされるのです。

デビアス社ソーティングの価値づけ

合成ダイアモンド製造技術の進歩によって、合成ダイヤモンドと天然ダイヤモンドの区別はさらに難しくなることが予想されます。

カラットが大きい石の場合は、追跡システム用IDの有無やインクルージョンの入り具合などで比較的鑑定が可能ですが、0.1カラット以下のいわゆるメレダイヤについては高性能鑑別マシンが必要不可欠です。

そこでデビアスでは、まとめてダイヤモンドをチェックできるマシンAMS2(Automated Melee Testing)を開発しました。

CVDとHPHT両方の合成ダイヤモンドを鑑定することが可能、しかも1時間当たり3600個ものダイヤを鑑定できる驚異的な能力を持っています。

さらに持ち運びが容易な小型サイズ、PC接続の必要もない手軽さが受け、日本円で数百万円という価格ながら発売当日に数十台売れたという人気ぶりにも納得です。

 

最新ダイヤモンドTIPS:地球に眠るダイヤモンドの埋蔵量は1000兆トン超!

先に取り上げた通りに有望なダイヤモンド鉱山が続々と発見されていますが、それは地球に存在するダイヤモンド鉱脈のほんの一部に過ぎません。

実は地球全体に眠るダイヤモンドの埋蔵量は1000兆トンあるいはそれ以上に上る可能性があることが分かってきました。

このデータ結果は、これまで予測されてきたダイヤモンド埋蔵量の1000倍を超える数字です。

マサチューセッツ工科大学(MIT)の地球・大気・惑星科学部門の研究者が、地震データの解析によって発見したこの事実は大きな話題を呼びました。

その論拠を簡単に言えば、一番古い地殻部分の1~2%がダイヤモンドである可能性が極めて高いということがわかったのです。

地中調査における音波検査によって、非常に音の伝導率が高い箇所が見つかり、音の伝導率が極めて高いダイヤモンドが含まれているという予想が成り立つことから、今回の事実が判明しました。

しかし残念なことにこれらのダイヤモンドはあまりにも深い場所にあり、現段階では手に入れることはまず不可能です。

現在もっとも深いダイヤモンド鉱山の採掘穴は深さ500メートル前後。

ダイヤモンドが埋まっている場所は地下145~240キロメートルなのです。

これらのダイヤモンドが姿を現すのは、大地震による地殻変動によってのみ。

現在の採掘可能なダイヤモンド鉱脈も、同様に地殻変動によって地上に押し出されたものと考えられています。

参考:http://news.mit.edu/2018/sound-waves-reveal-diamond-cache-deep-earths-interior-0716

合成ダイヤモンド・天然ダイヤモンド共にそれぞれの価値がある

ライトボックスの合成ダイヤモンドは決して「フェイク」ではなく、天然ダイヤモンドが持つ特性をすべて備えた「本物のダイヤモンド」です。

天然ダイヤモンドとの違いは、発見された場所が鉱山の土中なのか、それとも研究室の金属溶媒水中なのかだけです。

完全に大きさや色をコントロールできる合成ダイヤモンドは、赤みを帯びたピンクまたはパウダーブルーなどファンタスティックなカラーを自由に選べ、しかも天然ダイヤモンドよりもはるかに手頃な価格で買えるという魅力があります。

また、天然ダイヤモンドには紛争ダイヤモンドのような血塗られた歴史があり、合成ダイヤモンドには歴史そのものがありません。

しかし、天然ダイヤモンドには合成ダイヤモンドが決して持てない希少性があり、その得難さがさらに輝きを増し、いやがおうにも人々を魅了します。

これからのダイヤモンドの楽しみ方は、ふたつのダイヤモンドが持つ価値そして特性を認めながら、状況に応じてその美しさを楽しむことが一番。

どちらもまごうかたなき「本物のダイヤモンド」なのですから。

 

 

 

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コメント

“第2回:デビアス合成ダイヤ市場進出の理由とは?Lightbox誕生の背景に迫る” への2件のフィードバック

  1. ラマン分光ファンのアバター
    ラマン分光ファン

     ダイセル、播磨の久保田邦親博士のダイヤモンド理論が兵庫県立大学の放射光などを用いて実験が始まるのを楽しみにしています。

    1. 三戸 健人のアバター
      三戸 健人

      私自身が科学的なことには疎いため「久保田邦親」さんという方をこの機会に知りました。
      コメントをしてくださり誠にありがとうございます。

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