中間選挙総括
今年のメインイベントである中間選挙も無事に通過しました。
予測通りの結果になりましたが、今後の展開と金の話をしてまいりたいと思います。
中間選挙の結果は、上院はほぼ想定内の共和党、下院は民主党が過半数を制しました。
この分析に関しては、世論調査通りです。
また、同時に行われた州知事選の結果を見れば、共和党の圧勝となります。
民主党は、次期大統領候補となるスターがいなく、いまだにヒラリーやミシェルが候補として挙がる体たらくです。
では、今回の結果が今後のマーケット、金相場にどう影響するかの話に移行していきたいと思います。
現状のアメリカ経済
上記グラフを見ると、アメリカの鉱工業生産が2017年を境に前年比プラスになっているのがおわかりになるでしょう。
2016年に何が起こったのかと言えば、大統領の交代です。
つまり、オバマ大統領からトランプ大統領に変わりました。
鉱工業生産は、工場や原油や天然ガスなどの生産量を示すものです。
2016年、オバマ施政下では、工場や鉱業の生産がマイナスだったわけです。
言い換えれば、だからオバマ大統領の民主党候補が負け、トランプ大統領が誕生したと言えます。
なぜなら、鉱工業生産が大きく拡大するということは、企業が大きく儲かるからです。
需要のないものは損をしますので、企業は生産しません。
需要がないから生産をストップさせたのですが、ところが2017年になると、生産を拡大させました。
その過程で、今回の中間選挙が行われたのですが、有権者が共和党と民主党、どちらに投票するのかと言えば、非常に簡単です。
企業が儲かっているということは、遅れて、労働者にとって大事な賃金も上昇することになります。
「オバマ政権下よりもより多くお給料をもらえる有権者は、どちらに投票をするか?」というだけの話です。
要するに、トランプ大統領はバノンの書いた『炎と怒り』の中で大統領になれると思っていなかったことを暴露されましたが、経済状況を見れば、民主党候補のヒラリーが負けるのは必然でした。
なぜなら、民主党は有権者にお金を稼がしてくれなかったからです。
だから、今回もアメリカ議会選挙を見れば痛み分けのように感じますでしょうが、報道では盛んに民主党が優位とあおっていましたが、実際の有権者は共和党に投票するのが自然だったのです。
鉱工業生産と選挙
これでも疑問に思う方は多少いらっしゃると思いますので、参考にドイツの鉱工業生産を掲載しましょう。
ドイツには、皆さんご存知のように長期政権のメルケル首相がいます。
彼女は今回の11月の地方選挙で大敗北を喫しました。
この鉱工業生産を見ればおわかりになると思いますが、企業が全く増産をしていません。
その結果、有権者は与党、メルケルには投票せず、野党に投票したのです。
この選挙結果を受けて、メルケル首相は責任を取って党首を辞任しましたが、首相は任期いっぱい務めることを表明しました。
実質の退陣表明です。
選挙は経済情勢に大きく左右されるもので、特に有権者がお金を稼げて、豊かな生活を享受できるかによって結果はほぼ決まるということです。
日本の場合は安倍さんが首相になって、データ的には民主党政権時代よりは稼げることになっています。
その前は、自民党よりはましであろうと、有権者は民主党に投票しましたが、自民党より稼げなかったのであえなく政権から陥落したのは言うまでもありません。
現在、安倍首相で日本国民は民主党時代よりも稼げるようになったので、稼げる時代が続けば、自民党政権は安泰だと予測できます。
このように考えると、トランプ共和党が世論調査の通り、順当に中間選挙に勝利することは当然でした。
問題
上記のドイツの鉱工業生産とユーロドルの相場を比較してみてください。
鉱工業生産が上昇すればユーロも上昇し、鉱工業生産が下降すればユーロも下落するという相関になっています。
では、アメリカはどうでしょうか?
通貨の上昇、下落に対して、鉱工業生産とほとんど相関していません。
例えば、2018年の年初から鉱工業生産は上昇しているのに、通貨ドルは下落したままです。
これは、アメリカの景気、つまり鉱工業生産の下降、上昇と通貨の相関が全くないことになります。
ほかの先進国は、ドイツのように鉱工業生産が上昇、下降すれば相関して通貨もついていきます。
つまりドルの上下動は、景気の良し悪しと関係がありません。
ここが問題で、現在、アメリカの経済は絶好調と一般的には言われており、その結果、ドル高だというロジックは成り立ちます。
しかし、2018年の初頭と同様に、経済は順調になのにドル安傾向が続くことがあり得るのです。
アメリカはドル安をしかける?
現在、IMFによると世界経済はアメリカの貿易戦争によって停滞気味になっている、と言われています。
ここではドイツを例に挙げましたが、ほかの先進国も軒並み鉱工業生産は鈍化しています。
つまり、世界景気が鈍化しているなか、これだけグローバリゼーションが進んだ世界で、アメリカだけは好調を維持できるのか? と言えば、懐疑的になるのは当然です。
しかも、GDP世界2位から4位までのユーロ圏、中国、日本が軒並み不調なのです。
となると、アメリカの景気も停滞気味になることが可能性として高いということになります。
その際に、トランプ大統領を擁するアメリカが通貨戦争において、ドル安を仕掛ける可能性もあるわけです。
金との関係
実際に、アメリカの経済は過去最高に匹敵するくらいの好調さなのに、ドルの価格は2016年の高値も超えられない状態です。
つまり、世界の景気が悪くなれば、より一層、輸出有利な通貨安競走が引き起こされる可能性があります。
その場合、日本や人民元、ユーロなど、すでに安い通貨がさらに安い通貨が売り込まれるのではなく、比較的高いドルが売り込まれる可能性が高いと考えるのが妥当でしょう。
相対的に買われるのは新興国の通貨になるはずです。
なぜなら、この夏にトルコを筆頭に為替相場は新興国が売られ過ぎの状態にあるからです。
となると、アメリカの景気が今後、剥落してきた場合、ドル安が起こる可能性が高くなります。
金の価格は、ドルの上下動が第一の要因になるのですから、ドル安になれば、その価格は現在のわずかな上昇に比べてより大きな上昇になる可能性が高いということです。
現在の金はドル高でも上昇しており、これにドル安が加われば、上げ足が加速するのは自明の理です。
コメントを残す