華為のCFO逮捕は予見できた⁈
アメリカ政府が華為(ファーウェイ)CFOをカナダで逮捕したことがさらなる米中摩擦を呼びこんでいます。今回は、この原因と金の相場に関してのお話しです。
さらに次回以降、さまざまな事実と突き合わせて検証し、なぜ今、金投資なのかの話をしてまいりたいと思います。この話は新興国や第三世界が必死に金を保有することと密接に関係します。
ZTEとは。
華為(ファーウェイ)とは。
ファーウェイ・テクノロジーズは、中華人民共和国深圳市に本社を置く通信機器メーカーで、1987年に人民解放軍出身の任正非が創業した会社である。
先ずは米国の動向と国防権益法について
カナダで拘束、逮捕された華為CFO事件に関しては、ここまで精緻に予測できなかったとはいえ、米国の動向を見ていれば予見できたことです。
実は、アメリカでは2018年8月1日に国防権益法という法律が成立しています。
簡単な内容は、
「すべての米政府機関や米政府の取引のある企業・団体に対してZTEや華為など中国政府とつながりのある企業製品を使うことを禁止」
かいつまんで言えば、「華為、ZTEの製品を使っている人は、アメリカと商売できませんよ」ということです。
この法律を知らないアメリカと取引のある企業経営者は間抜けとしか言えませんし、リスク管理を怠っていると批判されても仕方がないでしょう。
日本政府の対応は?
日本政府も華為、ZTEの使用を禁止する通達を出しましたが、私から言わせれば対応が遅過ぎました。
「華為、ZTE製品を持っている会社・個人はアメリカと商売できない」と言っているのと一緒なのですから、関連会社や下請けを含めて一人でも会社に華為、ZTE製品を私物として持ち込んだとしても違反で、取引停止になる可能性の商品を使用するリスクなど冒したくないに決まっています。
要するに華為、ZTE商品はアメリカの同盟国では実質上の使用禁止、販売停止命令です。
こういう法律を制定しても中国の個人データを抜く行為が改まらないので、逮捕したのでしょう。
華為、ZTEは下手をすれば単なる中国のローカル企業に成り下がる可能性もあります。
中国はIT先進国
最近、中国に行った方ならお分かりでしょうが、ものすごいIT先進国です。
都市部では現金決済などほとんどなく、すべてスマホ決済になります。
フェイスブックなどがアメリカでも金融事業を展開する予定(現実的に開始しているかも?)ですが、要はスマホ一台で送金や融資ができるのです。
これは、フェイスブックにある知人や友人などのメッセージからその人の信用調査を行います。
そして中国は、すでにその人の信用調査を行っているのです。
つまりスマホを保有していれば、その保有者本人の信用が格付けされており、その人が融資をしてほしい場合には数分以内に信用調査を土台に融資が実行されます。
個人のプライバシーなどないに等しく、国家によってデータが管理されているのです。
中国による個人情報の抜き取り
このような状態は、アメリカを筆頭とする先進国にとってプライバシーの問題があるので許せません。
中国の半導体製品には、すべて個人情報や機密事項を抜き取るシステムがあるのは事実であり、絶対に許せないというのがアメリカ、トランプさんの意思です。
中国国内で合法だからといって、国外でも通用すると考えるのは中国人独自の発想です。
その上、民間企業が共産党政府にかなり関係が深いとなれば、そう簡単に解決する問題ではないことは想像がつくでしょう。
また、アメリカがこのような行為を行う背景には、フェイスブックのCEOが夏に議会証言した不正事件の配慮も間違いなくあると思われます。
アメリカは安全保障を理由に制裁
アメリカはこの米中貿易摩擦が始まった背景を、安全保障の問題と一貫して言っています。
しかし、この表現はさまざまな憶測を呼んでいることも事実です。
実際、私もこの個人データや国家機密の引き抜きは、安全保障の問題とも言えるか言えないかのギリギリのラインだと思っています。
根幹は安全保障、通商、外交問題はアメリカ大統領の権限で議会を通すことなく独断専行できると法律で規定されていることです。
この大統領権限を背景に、トランプ不支持派はトランプさんが勝手に振る舞っているとしています。
しかし、本当にそうでしょうか…?
貿易戦争の最終目標は為替不均衡の是正
思い出してみてください。
トランプさんは、大統領就任前から貿易不均衡や為替レート操作問題に触れています。
これが、彼の主張であるアメリカファーストにつながっていると考えることもできます。
北朝鮮やイランの問題は、オバマ外交を否定するために行ってきた経緯があり、中国とのさまざまな摩擦は、もちろん貿易赤字を解消するのが目的ですが、最終的には為替の不均衡を訴える算段と推察されます。
なぜなら、ユーロなどは非常に均衡の取れたレートとなっていますが、日本、中国の対ドルレートははっきり言えば5割以上もドルに対して割安だからです。
このことは日本政府も把握しているのですが、自国の輸出産業に多大なダメージを与えるので絶対に口外しません。
むしろ、「もっと円安にしなさい」と吠えています。
アベノミクスで円を供給過剰にしているのは、この為替レートを正当化するものであると言うこともできます。
実際の為替レートはドル円で70円くらいが適正で、現在の113円などアメリカからすれば到底受け入れることができません。
参考までにユーロは、1ユーロは現実的に1ドルを割っていますが、2割程度ですので許容の範囲になります。
中国に関しては計算していませんが、200%程度割安でしょう。
ここで金とどう結びつくのか
変動為替相場に移行する前は、世界の金融市場は金を中心にレートが決まっていました。
アメリカ政府が「金はFRBの資産ではない」と公言していますが、それなら今でも8000トンの金を保有し続ける意味が全く合理的ではありません。
現在の変動為替相場が崩壊するとは思いませんが、この不均衡な為替レートをトランプ大統領は自身の功績として変革したいと願っているのは間違いないと考えられます。
現在の変動為替相場制度は、各国政府の信用をもとに発行している信用保証制度になります。
しかし、現在の各国の債務状況を見ると、各国の政府の信用は信用に値するものなのか…?
では、この制度を改革するのに担保は何かと考えた場合、金になります。
金の各国の保有量は1位がアメリカ、2位はアメリカの機関であるIMF(国際通貨基金)です。
中国は公表が1500トンとなっていますが、実際は4000トン近くあると言われています。
なぜ、中国が2011年から2015年まで金の保有量を発表しなかったかと言えば、知られては困る背景があったのであろう、ということです。
金、そして貿易戦争の先にあるもの
ここまで来るともはや陰謀論の類になってくきますが、トランプさんの最終目標は為替相場の改定にあることは間違いないと思います。
なぜなら、アメリカの借金を日本、中国が抱えていて、これ以上増やすわけにはいかないからです。
これこそが安全保障の問題であり、このままアメリカが借金を増やし続ければ、軍用機やロケット、ミサイルを中国の資本で製造しなければならなくなります。
簡単に言えば、中国からお金を借り、それを国家予算に付け替え、軍需産業に注文を出すということに現在もなっているのです。
これは、まさしく安全保障の問題です。
このような背景から、新興国や第三世界が金を大量に買い付けをしているとすべてに辻褄が合ってくるのです。
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