株価急落のサイン
年の瀬に来てアメリカを中心に株価が世界的に急落しています。
今回はこの原因と金の関係の解説をしてまいります。
株価の急落には、いくつものサインがあります。
一番前から予想できるのはIPO(新規公開株)です。
最近では、日本でソフトバンクモバイルが史上最大規模の公開として話題を呼びましたが、こうした新規公開株はたいていの場合、半年前に多発します。
今回は、「4382 HEROZ」がよい例です。
Yahoo!JAPAN ファイナンス
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=4382.T&d=1y
この会社は今年4月にIPOを行い、当時メディアなどでも初値、つまり株式市場に公開したときの値段がつかないことで話題を呼びました。
結局、初値が50万円程度で、現在では1万3000円程度になり、何パーセント下がったかわからない状態です。
HEROZがこれほどの高値になった理由は、人工知能(AI)による将棋ロボットの開発が話題になったからです。
もうなんだか旧聞に属する話になってしまいますが、史上最年少でプロ棋士になった藤井さんが連日マスコミをにぎわしていたころになりますので、この高値は納得がいきます。
春先はまだAIに対する期待が大きく、話題を呼んだことから50万円近くの初値がつきました。
株価急落の6ヵ月前にサインは出ていた
これを株式市場に公開する経営者の側から見みると、現在の1.3万円よりも50万円で公開したほうが手元に残る金額は大きくなる、と言うことができます。
株式を株式市場に上場するときは、持ち株の半分ですとかそれなりの量を放出します。
手塩にかけて育てた会社の1株100円の株が例えば50万円になれば、経営者はうれしい限りです。
自分が苦労して育てた会社はできるだけ高く売りたいと思うのは人情です。
ですから、株式を市場に公開する経営者は、できるだけ高く売れるタイミングを見極めています。
そして公開が4月ですから、半年後には今回の急落の第一弾が来て、それが年末の現在まで続いている構図になります。
新規公開株で値段がつかない、異常な高値なんてことになれば、だいたいのケースでは、その半年後には急落するという因果関係に初めて気づいたのは、
「相場は悲観で生まれ、懐疑で育ち、楽観で終わる」という言葉を残したイギリスのテンプルトン卿です。
要するに株式市場が崩落する6ヵ月前からそのサインは出ているのです。
特にアメリカ株の急落に伴ってドル安を引き起こしますから、金の価格もリスク回避から上昇しやすくなります。
直近のきっかけ
今回の株価急落は、トランプ大統領が非難をしているFRBが主犯人だと解説する方が非常に多いのですが、そんな複雑な話ではありません。
フィラデルフィア連銀指数という経済指標があり、その数字が相当悪かったからです。
このフィラルディア連銀指数は12月20日に発表されたのですが、右端を見れば、10月の数字と比べて相当悪いことがわかります。
さらにこの前日にニューヨーク連銀も指数を発表しており、同様に悪かったのです。
フィラルデルフィア、ニューヨーク連銀は工業景況感指数と言い、「ドルが通貨の王様」と言われるように、ISM工業景況感指数が王様になります。
このフィラルディア、ニューヨーク連銀指数はその先行指標であり、この2つの指数が悪ければ、年明け毎月第二営業日に発表されますが、間違いなく悪いでしょう、ということを連想させるものですので、株が売られたのです。
工業景況感指数は、さまざまな経済指標の中で最も先行する経済指標と言われ、アメリカの製造業の景況観を示します。
つまりこれらの景況感指数が悪ければ、株は即座に売られます。
参考までに、上記のフィラデルフィア連銀指数7月に悪い数字になっていますが、今年の7月にアメリカ株は5%以上売られています。
一般の方の思惑
上記の材料はプロや専門家の見方になりますが、一般の人の見方はどうでしょうか?
これは非常に簡単なことであり、アメリカも日本もそのほかの国も年初の株価を下回った時点で、今年は株をあきらめようという心理になります。
特に今年の夏にアメリカのムニューシン財務長官が「アメリカ株は年末にピークになるだろう」と発言しましたから、実質「政府は年末まで株は高い」と宣言したと捉えた投資家は我先に株を買うのは当然です。
ところが、この年末に株価が急落し、一般投資家が換金売りをしたから余計に下がったのです。
アメリカの景気は?
株価が下がったからアメリカの景気は悪いのか、と言えばそんなことはありません。
アメリカの好景気はまだ続きますが、アメリカは南北東西に広いので、特に北側で経済活動が鈍るのです。
寒いからこたつから出たくないのと一緒だと思えばよいでしょう。
アメリカは12月のクリスマス商戦が終わると、恒例行事のように景気が落ち込みますが、雪が解ける3月くらいから景気はまた上向いてきます。
日本は、3月の年度末に向かって株価が上昇する傾向が強いですが、アメリカは逆に年明けから景気は下降気味になるのです。
この現象は北に領土の広い、中国やヨーロッパなども同様です。
逆に南アフリカやオセアニアなどの南半球は、日本の夏である7-8月に冬を迎えますので景気が停滞しやすいです。
つまり、いつもの恒例行事ですので驚くことはありません。
また安値を叩いたら株価は上昇してくるでしょう。
例えばソフトバンクモバイルの12月中旬の上場は、夏にムニューシン長官がアメリカの年末の後半は、景気が良いという発言からこの時期に公開したと考えられますよね。
ではその金との関係は?
金はドル安になれば上昇するので、アメリカの株価がこれだけ下がれば上昇するのは当然です。
株価が下がるということは、引いてはドルの価値が下がるのですから、金の価格は上昇します。
ところが、私は上記のようにアメリカの株はまた年末に向けて上昇するだろうと予測しています。
それに伴いドルも上昇することはおわかりになりますよね。
つまり、目先の金のピークはつけたかもしれない、ということがわかります。
そして「2019年の金価格予測」で書きましたが、来年の金価格は1月に下がる予測でした。
これはアメリカが好景気を維持しているのですから、売られ過ぎた株は買われることを意味しています。
ドル高になるから、おそらく金の価格も下がるでしょう、と言っているのです。
その後、おそらくまたドル安と転じますので価格は上昇するでしょう、という予定通りの値動きになるでしょう。
金とパラジウム
パラジウムは、2018/12/21の時点で、ドル安にもかかわらず安く入電しましたが、これは工業が不振ということはパラジウムの需要がなくなるという予測が前提です。
株価が上昇すれば、また上昇するでしょう。
金とパラジウムは、前者は資産の保全やヘッジのためが過半ですが、パラジウムは工業がメインの使用目的になりますので、
「株価が落ちれば工業が不振になるかも」という思惑が働きますから下がってしまうのです。
来年6月には株価が急落するかも…
冒頭のほうでソフトバンクモバイルが日本の株式市場、史上最大規模という話をご紹介しました。
つまり6ヵ月後、もっと言えば来年の6月には株価が急落するかもしれない、ということです。
HEROZのような成功例ではなく、IPOの典型的な失敗例になるのですが、やはり史上最大規模というのは気になります。
「2019年の金価格の予測」の「7月が価格のピークになるだろう」という予測と不思議と一致します。
株価が急落すればドル安を引き起こし、引いては金価格を上昇させることになります。
あの予測の上昇幅を見れば、相当深刻な危機に見舞われる可能性があります。
以前、発表した価格予測とピタリとまでは一致しませんが、ほぼ予定通りに動いていることがおわかりになるでしょう。
弊社が予測した金価格は、この通りになる可能性は非常に高いのです。
時期や値段は大きく変わるかもしれませんが、チャートはあのような形になるとデータ的に思います。
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