今回の株価下落の原因
年末に来てアメリカ株を中心に株価が下落しています。
今回はこの株価下落と、来年の金利動向の解説をしてまいります。
今回の株価下落の原因を一言で言えば、消費不振です。
アメリカや欧米諸国は、クリスマス休暇ですので新たな経済指標は出ませんが、12月26日ころから再び経済指標が出てきます。
こちらはアメリカのレッドブック社が発表した小売売上高のレッドブック指数で、数字は前年同月比になります。
このグラフからは、アメリカの小売が好調に見えますが、ほかに前月比、つまり11月と比べた数字が発表されています。
この11月と比べたレッドブック指数が、12月の上旬から中旬までことごとくマイナスでした。
つまり、アメリカの小売は前年同月比で見れば極めて好調ですが、前月から比べるとマイナスになっていることが、株が売られた原因というのが私の見解です。
年末商戦と景気のパターン
アメリカの年末商戦は、11月の下旬の感謝祭明けの月曜日(サイバーマンデー)を皮切りにスタートするのですが、その間、12月上旬から中旬は必ず売り上げが落ちます。
毎年このパターンですので、覚えておいたほうが良いでしょう。
この時期に「やはりアメリカ経済が悪いのではないか?」という話になりますが、そんなことはありません。
最大の売り上げが起こるクリスマス前に照準を合わせてセールが開催されるので、単に買い控えが起こっているだけです。
クリスマス明けの12月26日にレッドブック指数が発表されますが、この発表はサイバーマンデーの8%弱の数字を超えてくるのが例年の傾向になります。
そこで、やはりアメリカ経済は強かったということで、再び買われることになるでしょう。
金利動向
世界的なリスク回避状態になっていますので、当然のことながら債券が買われ、金利が低下します。
つまり、株式などのリスク資産を持っている人は、株式を手仕舞いして債券を買うという行動に出るがゆえに、金利は低下するのです。
以前お話しした金利が動く条件を復習しましょう。
① 財政赤字が膨張する
② 物価が上昇をする
ですが今回のように、新たな命題としてリスクが増したときには人々は債券を買うので、その結果、金利が低下することもあります。
「この状態が長続きするのか?」と問われれば、私は迷わず「長続きはしないでしょう」と言います。
特段、アメリカ経済に大きな低調のサインは見えません。
つまり世間で言うような、貿易戦争やアメリカの政府閉鎖などは関係がないということです。
今回、株価が急落したのは…?
今回、株価が急落したのは、単に去年よりも今年のほうが成長率は悪かったからです。
アメリカ経済が停滞も減速もしておらず、あくまでも去年と比べて悪いだけです。
それに加えて、ムニューシン米財務長官が夏に「株価は年末にピークを迎えるだろう」と言ったことが原因でしょう。
そのムニューシンさんの言葉を信じて、ソフトバンクモバイルは上場しました。
経営者は株価が高いときに株を公開したいものです。
でも、現実的には株価は安かっただけの話です。
こういう事情によって株価は調整したのが20%以上の下落したので、「暴落した!」と騒いでいるだけです。
物価動向と金利動向の確認
では、来年の金利動向を見ていきましょう。
まずは②の物価動向です。
日本では円高のときに輸入物価が下がりますので、物価全体が下がり、反対に円安になれば輸入物価が上昇します。
あまり関係がないと思う方もいらっしゃるでしょうが、それがダイレクトに影響するのが電気料金です。
なぜなら、日本は火力発電の割合が大きいため、そのエネルギーである原油の値段が円安によって上昇するからです。
これをアメリカの当てはめていくと、今年は4月からドル高でした。
ドル高ですからアメリカの物価は下がり始めるのです。
しかし実際、9月まで物価が上昇していたのですが、10月になるとアメリカの物価は一転下がり始めました。
これは輸入物価やそのほかの物価は、ドル高に転じてから約半年後にその影響が出てくるからです。
つまり4月からドル高ということは、物価にその影響が出てくるのは10月になるのです。
ですから、10月から物価が下がってくるのです。
そして、現在12月ですが、ここ2週間ばかりで猛烈なドル安になっています。
物価動向から見る来年の金利動向
現在の猛烈なドル安の影響が出てくるのは来年の6月です。
つまりアメリカの国内の物価は来年の6月まで上がらないよ、と言っているのです。
しかもその6月の物価が出そろうのは、7月から8月になります。
となると、FOMCの政策金利の上げは、早くても9月になります。
FOMC直後にアナリストが「今度の利上げは来年3月だ」と騒いでいましたが、そんな現状ではあり得ないことを皆さん平気で言っているのです。
つまり、秋まで金利は上昇しないということは、現状を分析するとわかりきっているのに、なぜ3月に上がると主張するのか私には理解できません。
ここで注目してほしいのは、物価が上昇し始めるのは6月で、その数字が出そろうのは7〜8月だと言っていることです。
この7月に私は金の価格がピークになる、と以前に予測しました。
つまり金に悪影響を与える金利の上昇は、6月まで今のところ上記②の原因ではないのですから、予測を裏付けることになります。
つまり、7月に金の価格がいったんピークアウトするのは、金利が上昇することによってそれがあり得るだろうということになります。
アメリカの財政赤字について
①のアメリカの財政赤字についてですが、トランプさんは来年も相変わらず予算を拡張するでしょう。
その内容は主に軍事費になります。
平和主義であるオバマさんの施政下では、軍事費の徹底的な圧縮を図りました。
その結果、軍需産業が不振に陥っているのをトランプさんが助けている構図になっています。
つまり、イランへの経済制裁の復活をトランプさんが決定しました。
おそらく、来年はイランを中心とした制裁になるでしょう。
イラン問題と金利動向
議会では、ナンシー・ペロシ民主党議員が議長の筆頭候補になります。
彼女はイラン制裁派と言うよりも、イスラエル擁護派です。
2005年ころのブッシュ政権時のイラン攻撃危機のとき、民主党議員でありながら積極的にこれを支持した一人になります。
下院はペロシさんが議長、院内総務を務めることになると思いますが、議会の応援もあってイランに関しては相当な国際社会のプレッシャーになるでしょう。
トランプさんは、軍需産業がオバマ施政下8年間で大変な不況になってしまったこと、そして上院は共和党になりますが、下院の民主党もイスラエル擁護ですので、議会に通りやすくなっている状態です。
つまり財政悪化の上にイラン問題緊張によって、ますます金利は上昇の懸念が高まってくる可能性があります。
この場合、金にとってはマイナス材料になりますが、戦争懸念となれば、財政悪化を想起させますので、好材料です。
イランに関しては、例年通り3月末から4月にかけて発表があるでしょう。
今年のシリアや北朝鮮の問題も、トランプさんがいきなり言い出した感がありますが、トランプさんになってからは毎年3月31日か4月1日に対外政策の発表を行っています。
来年の金利動向予想まとめ
来年の金利動向をまとめると、1月から秋くらいまでは低下ないしは横ばいになり、それ以降は上昇する可能性が高いのです。
しかし、今回のドル安はユーロの緩和停止、そして中国、日本の経済不振が謳われますので、相当な深刻化が進むでしょう。
ドル安ということは円高で、金高ですよね。
財政状況はイラン情勢を横にらみで、それは3月31日〜4月1日くらいに大まかな方針が示されるでしょう、ということです。
ここまで具体的に説明しているサイトは他にないと思います。
引き続きレポート致します。
2018年、平成30年最後の記事。
来年は平成最後の年がやってきます。
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