トランプ大統領のドル政策について

金とドルの関係

金の価格は、基本中のキホンとしてドルとリンクしていますが、ここにきてトランプ大統領の行く末がドルの今後を明確に暗示しているような気がします。

今回は、トランプ大統領と今後のドルの変動について説明します。

ドル価格と金価格は反相関の関係にある

金は、ドルが上昇すれば下落し、ドルが下落すれば上昇します。

今まで何度もご説明しましたが、この背景にはドルの値段がアメリカ政府の信認によって決定していることがあります。

ドルの価格がアメリカ政府の信用であり、その信用が少なくなる(ドルが下落)と金の価格が上昇し、反対に信用が高まる(ドルが上昇)と金が安くなるのが必然です。

金の価格はドルと反相関の関係にあり、これが金の価格のすべてと言っても過言ではないでしょう。

そのほかに金利など付帯事項がありますが、あくまでも付録にすぎません。

円建ての金価格についても同様で、ドルが世界の基軸通貨であることから、ドルが下がれば円の信認も下がる(円高)のが必然です。

円建て金価格には日本政府の信認も含まれていますが、大きく見ればドルの信認ということになります。

今主要なドルの問題

2018年12月から続いたアメリカの政府閉鎖

ドルはさまざまな問題を抱えています。

ここ最近の主要な問題は、ガバメントシャットダウン(政府閉鎖)でしょう。

この政府閉鎖は1月25日に突然、解除されました。

トランプ大統領は、身内である共和党の造反があったので、やむなくこのガバメントシャットダウンを解除したのです。

アメリカの上院は、共和党が握っています。

自身が主張するメキシコ国境に壁を作るという法案に関して、賛成多数での諾否を図りました。

しかし、上院は共和党が握っていることから本来容易に可決するはずが、賛成多数は取るには取ったものの、可決投票数まで達っせず廃案となりました。

可決投票数60に対して45〜52くらいしか取れず、下院は民主党が握っていますので、否決される結果になったのです。

上院は、共和党員の造反によってこの法案が可決できないことで敗戦を認め、政府閉鎖を解除したのが真相です。

政府閉鎖と国境の壁

トランプ大統領の公約であった国境の壁は不可能に!?

トランプ大統領は、非常事態法によってしか国境の壁を建設できなくなりました。

しかし、現状は連邦裁判所がこの国境の壁建設を違法としていますので、実際に法案が通っても壁の建設はできないことになります。

つまり、強引に国境の壁を建設する方法がすでになく、次回大統領選挙に向けての有権者へのアピールということになります。

以上が政府閉鎖の概要です。

トランプ大統領が主張する国境の壁の建設は、身内である共和党議員の造反によってできません。

2月15日以降に政府閉鎖に関しても言及していますが、このトランプ大統領の要求はほぼ通らないので、再び政府閉鎖になる可能性は非常に少ないことになります。

トランプ大統領の失ったもの

低下するトランプ大統領の支持率

トランプ大統領は長期にわたる政府閉鎖によって、さまざまなモノを失いました。

元来、選挙公約を忠実に守ることによって大統領への再選を考えていましたが、大統領候補になったときから公約としてきた国境の壁建設がほぼ不可能になったことが一番の問題です。

この公約が達成できないことで、支持率の低下を招きました。

各種世論調査では、大統領への支持率は就任以来最低となっています。

もちろん、長引く政府閉鎖による閉そく感も理由の一つでしょう。

トランプ大統領の主たる支持層である、白人低収入層の支持はいまだに失っていないという現実があります。

ですが、次回の大統領選挙での落選の可能性が濃厚になってきていることが最大の失ったものになると弊社としては考えています。

また、あまりにも独善的な政府運営から与党は共和党とは言われずにトランプ党と化していたのですが、このトランプ党の色が薄まっていることも失ったものの一つです。

トランプ大統領の展望

2020年の大統領選では2016年の奇跡は再び起こらない?

トランプウォッチャーによると、トランプ大統領の行動や言動は、すべて次回の大統領選に向けて突進していると一様に言います。

ですから、トランプ大統領は次期大統領選挙で再選されるように、さまざまな政策を実行していく可能性が高いとでしょう。

具体的には、やはりアメリカの景気をよくすることです。

その具体的な方法とは非常に簡単で、「ドル安」にすることです。

日本の安倍首相がアベノミクスによって円安にし、国内の株式市場や不動産市場の活性化させ、デフレにもがき苦しんでいた日本経済を立ち直らせたのと一緒のことをやるだろう、と弊社としては踏んでいます。

トランプ大統領は去年の夏から「ドル安にしろ」と叫んでいますが、実際に去年の12月から猛烈に円高が進行しています。

この年初に大きなドルの急落があったゆえに、直近では大きく戻していますが、この支持率の低下が続く限り、おそらく大統領選挙まではドル安政策を維持してくるでしょう。

ドル安の経緯

世界経済フォーラムが毎年1月にスイスのダボスで開催するダボス会議

去年、この時期に一般教書演説やダボス会議でドル高を宣言したことで、強烈な円高になりました。

1〜3月に年初113円だったドル円相場は、たったの3ヵ月で105円台まで円高が進行し、4月以降に円安に戻ったのは記憶に新しいことです。

この去年の結果を見ても、トランプ大統領の思惑通りにドル相場は変遷していますので、トランプ大統領がドルに関して言及する場合は、金の投資家は強い感心をもって聞く必要があります。

今回のドル安は、去年の夏から「ドル安にしろ」とFRB議長に要求た結果、12月から大幅なドル安になっています。

年初に104円台まで円高になっていますので、今の状況は戻っていますが、去年の12月にドル安になっているものが、たったの2か月でドル高になるわけがありません。

つまり、このドル安は当面続くのです。

もし、たった2ヵ月でドル高への転換が促進されるのであれば、国の信用問題になりますので、最低であと半年間はドル安が続くでしょう。

ドル相場の展望と次期大統領選

次回の米大統領選は2020年11月3日実施予定

ドルのトレンドはここ数年、1年間は維持していましたが、今回のドル安は去年の12月からですので、今までの傾向を見れば今年の12月まで円安ということになります。

しかし、今回の場合は、トランプ大統領の時期大統領選挙戦における劣勢が重要な事実になります。

すなわち、ドル安に誘導して再び大きな景気拡大をさせ、支持を回帰させようというのが狙いです。

次期大統領選挙は2020年の11月ですから、下手すれば約2年にわたるドル安相場になる可能性があります。

この場合、アメリカの景気とトランプ大統領への支持率が非常に重要です。

これを受けての金相場

当面はドル安?

当面はドル安相場が続くでしょうが、もしトランプ大統領が時期大統領選挙で劣勢のままであれば、今度はアベノミクスのように大きなドル安相場を形成する可能性があります。

そうすれば、必然的に金相場は上昇する運命です。

ゆえに1300ドル前後の金は買いと想像することができ、再びリーマンショック時の新値になっても何ら不思議はありません。

参考までに、ここで一番上昇するのはパラジウムになると思います。


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