2019年2月下旬から金価格が下がっている理由

金価格の推移

2019年2月下旬から金の価格が下がっている理由を解説します。

前回は、今後の米朝の行方についてお話ししました。

意外な結末であった第二回米朝交渉

下記のグラフのように2018年10月から順調にドル建て金価格は上昇し、1月も多少押し目を作るという予測でしたが、横ばいで推移しました。

参照元:TRADING ECONOMICS

2月は続伸(ぞくしん)という予測を出していましたが、急落という症状になります。

今回は、こうなった理由を説明します。

何度も繰り返すこと重要なこと

「金の価格はドルと連動している」と何度も述べています。

金の価格は、第一変動要因であるドルの上下動を検証していけばよいわけです。

参照元:TRADING ECONOMICS

上記は金の価格(青い線、ドル建て、左軸)にドルインデックス(右軸)を合わせたグラフです。

去年の10月からドルが上昇しているのにもかかわらず、金の価格が上昇していることを不思議に思う方も多いでしょう。

以前に需給要因、つまり新興国、特に中国やロシアなどの東側経済圏が国家の準備金を大量に購入していることに起因しているのも一つの原因とお話ししました。

金の需給はタイトである

今回の場合、2月下旬から黒い線のドルインデックスが急騰するのに合わせて、金の価格も急落しているのがわかります。

急にドルと金の反相関関係が成立するのもおかしな話です。

金の価格を動かす第二の要因

第一要因のドルの上下動ほどはしつこく言ってはいませんが、二番目に重要な金利も、折に触れて言及しております。

では、金利と金価格の関係を見てみましょう。

参照元:TRADING ECONOMICS

上記は青い線がドル建て金価格、黒い線(右軸)がアメリカ10年国債利回り(金利)です。

比較すれば明らかですが、金の価格は金利が上昇したので下がっている、そして低下をすれば上昇するという形になっています。

上記の金価格とドルの関係や、今回の金価格と金利の関係を見ても明らかなように、今までは金利に順応していた相場の変化の対応が、2月の下旬から金利の変動とドルの変動の二本になっていることがなんとなくわかるかと思います。

総合的な考察

今後は金利とドルの二本立てで金相場予測を

金の価格は、今回の場合、以下の二大要因で動いていることはお分かりになったでしょうか。

①ドルの上昇

②金利の上昇

2018年10月からの金価格の上昇は、金利が主導しました。

リーマンショック以降に先進国が軒並み金利をゼロに誘導しましたが、アメリカは15年にそのゼロ金利を解除しています。

ただ、解除したと言っても金利は0.25%しか上昇せず、考察には値しなかったのです。

ところがこの10年物金利が3%を超えてきたところで、実態経済に悪影響をもたらしました。

具体的には、株価の急落です。

つまり、金の価格はドルの上下動も重要ですが、ここ数年は金利の動きも重要になっているのです。

特に10月などは金利の上下動によって目先の底をつき、そして上昇しました。

ところが2月の下旬からは、ドルと金利の方向によって金の価格が変わるようになったのです。

上記のグラフをよく見ればおわかりになりますが、金にとって弱気になる材料であるドル高と金利高が進行したことが、金価格を急落に導いたと結論できます。

この結果は何を見通すかと言えば、今までは金利一本を見ていればよかったが、今後は金利とドルの二本立てで金相場を予測していなければいけない、ということです。

下げたテクニカル的な要因

2月末にメジャーなSQがあったことも金価格下降の要因

実はこれ以外にも、金価格を下げさせた要因があります。

それは金の先物価格です。

ご存知のようにマーケットには現物価格と先物価格が存在し、先物価格は必ず現物価格に収れんします。

なぜ収れんするかと言えば、先物価格は期限が来たら現物取引に変わるという取引のルールが存在するからです。

例えば2019年3月物の金の先物取引があります。

この取引は、貴金属の場合は3月の最終営業日が先物取引の終了で、現物取引に移行しなければいけないというルールです。

この最終営業日を納会もしくはSQと言い、この日はマーケットが荒れます。

なぜなら、今まで先物で取引していた人が強制的に現物取引に変更させられる日だからです。

今回の2月末もメジャーなSQ、納会日になります。

逆に貴金属取引の場合、奇数月は取引量が少ないのでマイナーなSQです。

ましてや今回の納会は10月から価格が急騰していますので、市場参加者の大半を買い持ちしており、ここで現物取引に移行したくない人は空売り、手仕舞い売りを強制させられるというのが売り圧力となったと推測されます。

今年のゴールデンウィークは要注意

今年のゴールデンウィークは金価格に要注意

このように、メジャーな先物から現物取引への移行によって売り圧力が増大したテクニカル的な要因もあることを覚えておいてください。

忘れないでいただきたいのは、次回のメジャーSQは4月の末で、新天皇陛下の即位10連休の最中にあるということです。

要するに今年のゴールデンウィークは要注意です。

今後の見通し

今回の金価格下落は絶好の買いチャンス!

ご存知のように、去年の夏からアメリカのトランプ大統領はFRBのパウエル議長に向かって「金利を上げるな」と言っています。

そしてドルに対しても、先週末に以下のような発言を行っています。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-03/PNT8N96JTSE801

引用元:bloomberg「ドル下落、トランプ大統領の発言で-相場「強過ぎ」とFRB議長批判」

金価格は今後、金利とドル価格の上下動によって動くと上記で解説していますが、その金利は上がらない見込みが高く、トランプ大統領はドルを高くしたくないわけです。

弊社としては、今回の下落は買いの絶好のチャンスとしか思わないのですが、皆さんのご意見はいかがでしょうか?


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