北朝鮮のリスクは再燃したと見る⁈

浮き彫りになった米朝の対立

第二回米朝交渉が2月の末に行われてから、早や2週間が経過しました。

今回は、時間を置いた分析をしてまいります。

米朝の対立が浮き彫りになった第二回米朝首脳会談

世間のコンセンサスは、「何も合意がなくても、結果的にはなんらかの合意で共同声明を出すはず」というものでした。

ところがトランプ大統領が中座して、共同声明は結局出なかったのがサプライズです。

アメリカ側は、継続協議をポンペオ長官中心に続けると釈明していますが、果たして継続してなんらかの合意はあるのか、というのが最初の疑問になります。

一方、北朝鮮は「アメリカが制裁の全解除を北朝鮮から求められたから決裂した」と釈明しています。

そもそも制裁の全解除など無謀な話であって、アメリカは事前協議から表明していることです。

北朝鮮は「一部の解除しか求めていない」ということですが、おそらく言葉のアヤのレベルであって、回答になっていないというのが私の感想です。

双方の譲れない条件とは?

米朝の譲れないラインとは…

アメリカの大前提が北朝鮮の非核化であることは、誰の目にも明らかでしょう。

対する北朝鮮は、人民が食えないのですから、制裁の解除が第一条件になります。

そもそも北朝鮮が核武装したのは、西側諸国が北朝鮮を攻撃して金王朝を崩壊させる危険性があるからです。

その最大の危機は、韓国にいる在韓米軍になります。

そのリスクを排除するには、少なくとも在韓米軍の撤退、ないしは韓国の非核化にあることは明瞭です。

しかし、アメリカ側はロシアと中国に対抗する戦略上、在韓米軍の撤退や韓国の非核化(ロシア、中国は核武装している)はあり得ないオプションになります。

会議の中身を空想すると…

トランプ大統領:北朝鮮を非核化することが制裁解除の条件だ
金委員長:韓国も非核化と米軍撤退してよ
トランプ大統領:ダメだ
金委員長:だったら、非核化なんかしないよ
トランプ大統領:(激怒!!)

これだけの話だと思います。

それで宥和(ゆうわ)ムードなんて誰が言うのでしょうか?

交渉決裂後の事件

北朝鮮はまたミサイルを発射するか!?

 

https://www.asahi.com/articles/ASM392C8RM39UHBI006.html
引用元:「「ミサイル発射実験見れば失望」トランプ氏が北朝鮮牽制」 朝日新聞DEGITAL

北朝鮮が大型ミサイルを移動させていることを受けて、トランプ大統領は懸念を表明しています。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4229793011032019FF8000/

引用元:「北朝鮮「人工衛星」発射へ兆候 米韓に警戒論 」 日本経済新聞

このトランプ発言を受けても、北朝鮮はミサイルの発射準備を止めようとしないという観測があります。

アメリカは北朝鮮との継続協議を求めていると発表していますが、北朝鮮側は在韓米軍を撤退するつもりがなければ非核化しないという宣言でもあり、どこが宥和ムードなのかということです。

つまり、融和などはちっともしておらず、緊張が高まっていると言えるでしょう。

文大統領の下心

2016年にソウルで勃発した反朴槿恵大統領(当時)デモ

韓国の政治状況に関しては以前に解説した通り、文在寅政権は日本との従軍慰安婦問題を発端として、前大統領を罷免することによって誕生しました。

ですから、日本とは安易な交渉ができません。

しかし、日本との貿易などを中止すれば、たちまちデフォルトするであろうという財政状況ですから、そこまで関係を悪化させたくもありません。

文大統領は、その主要政策である北朝鮮との対話、将来的な統一にどこかで軸足を移したいという下心があります。

今回の米朝会談がうまくいくことによって、国内の反日感情のヒートアップを抑え込みたいという思惑があったと推測されます。

韓国の無茶苦茶な発言

「三・一独立運動」式典で演説する文在寅大統領

米朝交渉が決裂すると、すぐさま以下のような発言が出てきました。

http://news.livedoor.com/article/detail/16096868/

引用元:「 「日本が7500人殺害」文在寅大統領の式典演説に外務省が指摘」 LIVEDOOR NEWS

日韓政府の間で不確かな数字は言わないことになっているのに、日本を刺激するようなことをまた言い始めたのです。

おそらく南北統一が遠のいたことによって今後、昨年末のように日本を刺激する発言が政府要人から出てくるものと思われます。

日本たたき以外に政権を維持する方法がないようなレベルにあると判断することが大事です。

頭にくるようなことを言いわれても、冷静に対処するほかありません。

南北朝鮮首脳の思惑

南北融和ムードは過去のもの…

上記のような状況証拠を見ていくと、おそらく南北朝鮮の指導者の融和ムードはすでに過去のものとなっており、アメリカとの平和交渉が進展しないことを前提に治世を行うことになっていると推測できます。

今後、米朝の宥和は在韓米軍のあり方に注目が行くことは不可避であり、米軍が撤退する可能性がほぼゼロに近いと見れば、その後の成り行きがどうなっていくかは読者の皆さまのほうがよくおわかりでしょう。

この状態で金がどうなるのか

日韓関係は行くところまで行く!?

言うまでもありません。

現在、大きな押し目を形成していますが、時間が経過する度に米朝の緊張は鮮明化していくでしょう。

ただし、事務レベルでは協議はしており、それほど最悪な結末にはならないだろうと予測できます。

しかし、日韓は事務レベル協議もないわけですから、最悪の結果になる可能性の方を警戒しなければいけません。

人間、対話をしていれば最終的なケンカは避けられるものです。

米朝に関してはそのルートがありますが、日韓は現在ないという異常状態です。

どちらが危険なのかは言うまでもありません。


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