そもそもMMTとは?
アメリカ大統領選の民主党候補であるオカシオコルテス下院議員がMMT理論に支持を表明して以来、この金融理論がかなり話題になっています。
今回はMMT理論とそのメチャメチャさを解説してまいります。
MMT(モダン・マネタリー・セオリー)を日本語訳すると、現代貨幣理論もしくは現代金融理論となります。
これは、「日本やアメリカは、巨額の財政赤字を出していても倒産しないじゃないか。だったら紙幣をどんどん刷って、借金を増やせばいい」というトンデモ理論です。
民主党候補の彼らに言わせると、ギリシャは独自の通貨を持っていないから破綻寸前まで行ったそうです。
つまりギリシャが自国通貨をいっぱい発行していれば、あのような惨状に至ることはなかったというのです。
このMMTについては、日本税務協会が詳細に解説していますので、ご覧ください。
現代金融理論、または現代貨幣理論、以下、「MMT」の物語(入門編)
http://www.tax-nzk.or.jp/2019/0510140457.html
参照:一般社団法人 日本税務協会
詳細は省く・・・
この理論の間違いとして、バランスシートの概念を知らないことが第一に挙げられます。
日本の借金が天文学的な数字になっているのはご存知でしょう。
この借金を返済できるか、否かの話です。
住宅ローンの例が一番良いと思いますので、これを例に説明します。
住宅ローンを例に
例えば、年収500万円で5000万円のお家を購入するとし、銀行借り入れは3000万円程度と見積もります。
年収500万円に対して3000万円の借金をしますので、600%の借金になります。
日本の財政は、年間70兆円の税収に対して1200兆円の借金があると一般的にはいわれているので、1700%の借金です。
銀行は個人には喜んで600%の借金でも貸し出すのですから、国の1700%の借金と大して変わらないことになります。
これには個人の住宅ローンに銀行のリスクはないのか、ということが問題としてあります。
5000万円の住宅のうち2000万円を自己資金で購入するのですから、残債の3000万円が銀行ローンになります。
この3000万円の価値が住宅にあるか否かを考えれば、銀行は丸儲けになるのです。
毎年3〜5%の返済を行っていくのですから、経過年数に対して住宅の棄損価値が返済額を上回らなければ、一切銀行にリスクはありません。
銀行はそのリスクに対して、まず金利の返済を求めます。
つまり、まずは35年ローンの返済に対して金利の返済を要求し、自分たちの利益を確保してから元金の返済させるわけです。
元金は、本人がリストラなどによって返済不能になっても住宅を売却すればOKなのですから、リスクはゼロです。
こういう返済をしている人は、必ず銀行に文句をいいましょう。
担保があるので、ある程度の返済があれば銀行は丸儲けです。
日本政府のバランスシートは?
国家財政は、「借金、借金」とばかり悲観論者はシャウトしていますが、国家に財産はないのかといえば、ありますよね。
国会議事堂も国家の財産ですし、皇居も国有財産です。
つまり1200兆円まるまるが借金ではなく、その試算が日本には600兆円以上存在するのです。
となると日本の実質の借金は、概算で600兆円になります。
この場合、600兆円が国の借金である国債が純粋なリスクです。
しかし、日本は毎年70兆円ほどが確実に徴税してくるのですから、その何パーセントかを返済に回せば楽々返済することができます。
ここで気づいた人は多いと思いますが、日本の借金を債務だけに焦点を合わせると1700%にもなりますが、資産を併せた場合は住宅ローンの600%とほぼ一緒なのです。
収入70兆円に対して600兆円ですから、850%くらいの借金です。
ですから、日本の財政は思うほど悪くはないということになります。
住宅ローンの場合、返済者が返済不能になるリスクは高いのですが、日本という国家の場合は、不特定多数が納税していますので、リスクは低減されているのです。
「日本はつぶれる!」のウソ
債務者としての日本政府は非常に優秀な政府です。
日本がつぶれるとか騒いでいる、財務省に洗脳された方をよくお見掛けしますが、そんなことはあり得ません。
本当に日本がつぶれるのであれば、日本の借金である国債の金利がマイナスなんかになりっこなく、闇金も真っ青の年利50%以上になっているでしょう。
つまり財政を考える場合、国際的には借金しか考えませんが、会計学では借金の金額に対して資産の項目を考えるのがバランスシートなのです。
日本の借金を語るときには、資産も見なければいけない、ということです。
日米の国債保有者の違い
日本がつぶれないのには明快な理由があります。
それは、日本国債の保有者の9割が日本人だからです。
アメリカ国債の保有者は、7割が外国人になります。
その外国人は儲けるため、利益を出すため、保険のためにアメリカ国債を買っているのであって、アメリカに恩義があるとか、よくしてもらったお礼に買ったのではありません。
純粋に、アメリカ国債を持つことによってメリットがあるから保有しているのです。
そのメリットが消滅をしたら、アメリカがつぶれようと倒産しようと、簡単にその債券を手放します。
なぜなら、保有する理由がないからです。
もっと言えば、自分が共住する国じゃないから、自分に害はないから、メリットがないから保有しなくなるのです。
日本はなぜつぶれないのか?
ところが日本人が日本国債を持つということは、日本人であれば大抵の人が日本に住んでいるのであって、その債券が売却することによってもっと日本がピンチになるのです。
だからメリットうんぬん以前に、自分の住んでいる国が消滅の可能性があるのですから、滅多なことでは手放しません。
住宅ローンに例えれば、返済不可能になることは、その住宅に住めなくなることを意味しますから、必死に返済するのです。
自分が住む国なのだから、その日本債券が値下がりしようと関係なく、その債券を売却することは住む場所を放棄するのと一緒ですから、日本人がほとんど日本国債を持っているとその国は倒産しにくいという理屈と一緒です。
借金から資産を引いた純粋な借金が600兆円で、日本の総生産が520兆円くらいですから、収支が均衡していると言っても過言ではありません。
そして、その借金のお金を貸している日本の国債保有者は滅多なことで売らないという心理的な圧迫があるのですから、借金でクビ回らなくなる可能性というのはほとんどゼロなのです。
アメリカの場合
アメリカの場合は、その借金の7割を外国人が引き受けています。
これらの外国人は、金利などのクーポンを受け取れるメリットがあるからアメリカ国債を保有しているのであって、そのメリットが消滅したら、アメリカ自体がなくなろうが知ったこっちゃありません。
それよりも自分の利益が減ることを嫌います。
皆さんが自分は損をする局面において、相手の利益なんか考えますか? ということです。
最初に自分の損を防ごうとし、そこから相手の利益も考えるのが普通です。
金利が支払われないというデメリットが先行したら、皆がアメリカに貸したお金を回収にかかるのです。
そうなるとアメリカは政府運営のお金がなくなり、結果として債務不履行(デフォルト、破綻)になります。
アメリカ人が保有していたら、自分の暮らす国だから、多少の損は我慢しようか、という気にもなるでしょう。
個人のことに置き換えるのであれば、皆さまのお子さまが悪さをした場合、もう知らない、と言って見捨てることができないのと一緒です。
つまり、アメリカが無計画に借金をしまくり、その上、紙幣を擦りまくった場合、何が起こるかということです。
金利やクーポンを約束通り支払えるのであればいいですが、払えなくなった場合、お金を貸してあげている外国の投資家にはメリットがなくなったのですから、少しでも損を少なくするために、できるだけ早く売却するという極めて当たり前のことが起こります。
MMT理論は破産への道
MMT理論など格好いい名前になっていますが、こんなものを信じたら破産に向かってまっしぐらです。
少しロジカルに考えれば、冒頭でも申し上げたように、高名な経済学者が言うようなおかしな理論なのです。
そんな夢のようなことがあるわけがないのに、そんなものを信じる民主党の大統領候補って大丈夫ですか? と言いたいです。
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