5月2日からが新時代の真の幕開け
令和の御代に入って早1ヵ月。
町では、もう新時代に入ったことを意識する人が少なくなったように感じるような気がします。
今回は、令和に入ってすぐに発覚したトランプ大統領による中国への関税処置がどう変わっていくかの解説をしてまいります。
令和初日が終了し、翌5月2日にトランプ大統領のツイートに突然、中国に対する表明がありました。
曰く「米中交渉の進展が遅すぎる」とのことです。
これが5月6日以降の関税処置の施行につながり、5月10日には報復関税の発動となりました。
その後はご存知のように、24日にトランプ大統領が来日して新天皇に謁見し、大相撲ではパフォーマンスを披露し大満足で帰っていったのです。
帰国後はメキシコに対しても6月10日に報復関税を発するとツイートし、現在はまだ交渉中になります。
大方の見方は、5月24日にサンフランシスコ地裁で国境の壁建設に対して違憲判決が出たことにより、有権者によりアピールするためにこの処置を講じたという説明になります。
よって6月10日の関税処置は効力を発しないという見方が大方の予測です。
トランプ大統領がこの報復関税をかけるのは、来年の大統領選挙のためというのはこのコラムでは再三にわたり指摘してまいりましたが、今回は様相が違うと思います。
米墨貿易の構造と5%関税の効力
メキシコの対米貿易輸出はGDPに対して40%を占有していますが、中身はほとんどが加工貿易の類です。
原料・素材を外国から輸入し、製造し、輸出し、再びメキシコに輸入して販売するかたちをとっています。
つまり原料素材を加工しそれをアメリカに輸出する、この過程に関税がかかるわけで、一方さらにアメリカで加工、輸出するときには現段階では関税はかかりません。
メキシコはアメリカと比較して購買力が劣りますので、アメリカ企業が輸入代金の値上がりを価格に転嫁するかの問題ですが、売り上げが落ち込むのでおそらく上乗せができないだろうと考えられます。
実際にそうなるかを観察してみなければ現段階では言えない状態ですが、メキシコ側には5%の関税ではほとんど被害がありません。
アメリカの原油への重油輸出、これはアメリカ次第になります。
しかし、先月にサウジアラビアのトルコ国内でのカショギ氏暗殺事件の制裁が解けたことから、メキシコに代替する輸入先が見つかったので、今回のメキシコ報復になった可能性もあります。
令和時代にトランプ大暴れ(笑)
東西冷戦の雄である中国に喧嘩を吹っかけ、北米大陸の重要なパートナーであるメキシコにも喧嘩を吹っかけています。
まさに令和時代のスターは、トランプ大統領ではないかという活躍っぷりです。
参考までに、東西冷戦はレーガン政権時代に終焉していますが、現在の冷戦の主な相手は中国になります。
中ロはここ最近、何度も首脳会談を開いていますが、主導は中国であり、ロシアではありません。
ロシアが主導していると見ている方も多いですが、ロシアは完全に中国の経済圏入りをしています。
ですから、トランプ大統領が東側の代表である中国に圧力をかけるのは当然です。
中国を叩いておけば、ロシアの力も自動的に弱まると見ているのです。
同様のことは北朝鮮にも言えるでしょう。
対イラン制裁の背景と日本
イラン制裁を強化しているのには、やはりサウジアラビアの制裁解除、そしてイスラエルのネタニヤフ首相の汚職疑惑での選挙、そして再選挙になったことがあるのでしょう。
ご存知のようにイランは、イスラエル国内でテロなどを行うハマスを支援していることがアメリカの不興を買っています。
核疑惑などイラン制裁の枝葉の問題に過ぎず、根幹はイスラエルです。
この制裁にしても、ヨーロッパの同意が得られるかが微妙なところで、戦争にはならないでしょうが、万が一、戦争になった場合、ヨーロッパは多国籍軍に加わらない可能性が高いと言えます。
トランプ大統領がイラン情勢に関して、「戦争にはしたくない」と言っているのはこれが理由です。
となると、同盟の重要なパートナーである日本に後方支援を頼むのは確実になってきます。
イラク戦争では自衛隊がサマワに後方支援として出動しました。
つまりイスラエル、イラン問題でトランプ大統領は日本を頼らざるを得ない状態にあるのです。
ネタニヤフとイスラエルの行く末
現在のイラン情勢は、スイスを介在として交渉を行っていますが、まだ妥結はできないようです。
また、日本の安倍首相もイランとアメリカの仲介を行うと明言しており、結果としてイランは大問題にならない可能性があります。
しかし、イスラエルのネタニヤフの汚職問題からの退陣はかなり頭が痛い問題です。
ネタニヤフは究極のシオニストであり、パレスチナとの和平も否定的な発想の持ち主で、彼が首相職にいるから、イスラエル・中東問題が落ち着いている側面もあります。
彼の訴追はほぼ決定的になりますので、イスラエルの後方支援がアメリカの目的になると推測できるでしょう。
令和に入って一番活躍しているのは…
理解していただきたいのは、これらの行動は去年のアメリカ経済がこの時期から9月まで絶好調だったことから予測できたものです。
どういう意味かと言えば、経済指標というのは前年比で考えていくものであり、来年の大統領予備選挙があるこの時期に景気をよくするのには、前年の今年の今の時期に景気をある程度スローダウンさせなくてはいけないという意識が働いていることは確かです。
さらにトランプ大統領の行動を見ると、令和に入って一番活躍しているのは日本人ではなくトランプ大統領ということです。
日本人として反省しなければいけないのは、国際社会において日本人の活躍が目立たたなければいけないのに、アメリカの大統領が一番活躍(?)しているという事実です。
トランプの思惑
トランプ大統領の最大の目標は、次回の大統領選挙での再選です。
その戦略は、アメリカファーストに代表されます。
「アメリカを再びに大国にする」ということです。
それには、中国が世界の工場として安売り合戦をして、世界を制覇したことを叩き潰さなければいけない、ということがあります。
大抵の場合、ローテクで工業化を図った国家は、日本を筆頭に先進技術の先取的な技術革新を行っていきます。
しかし、中国を筆頭に韓国などはいまだにコピー商品を製造し続けています…。
ファーウェイと中国の成長
ファーウェイ(華為)の技術は一流と言うエンジニアも多数いますが、その根本は模造ないしは盗用のオンパレードです。
日本が80年代に批判を受けた、根本的な技術がなくその先端技術をさらにアップデートした商品ばかりだったことと一緒の段階にあります。
このままファーウェイが成長して行くに従い、先端技術の応用は可能になったと思いますが、今回の問題でその先行きも怪しくなりました。
中国の廉価での販売によって、世界を制覇するという野望はついえる可能性が俄然高くなっています。
結果として近い将来、中国がアメリカを抜いて世界を制覇する可能性、もっと言えば経済で世界ナンバー1になる可能性は、日本のバブル期同様に大きく減じているということです。
トランプ大統領は、中国を世界を安売り合戦に落とし込んだ最大の戦犯と見なしており、それを駆逐するために喧嘩を吹っかけていると思われます。
メキシコの問題も同様で、中国と同じペースで工業化を進めたメキシコが、いまだに安い商品を売っていることへの不満が制裁の根本の理由だと考えられます。
つまり、メキシコの問題は選挙イシューだけではなく、構造的な問題であるということです。
令和の国際時代は安売り合戦に終止符?
日本がバブル崩壊を経験し、その間に中国は鄧小平の改革開放路線によって工業化、近代化を進めました。
その帰結は、技術を伴わない廉価販売によって世界の覇権を握るということでした。
これは韓国やメキシコも同様です。
欧米日の技術を盗用・コピーし、それを安い労働力によって生産して世界市場を席捲した、これが実態だと思います。
そして、これらの工業化によって、廉価の商品を駆逐することによってトランプ大統領はアメリカが再び偉大な国になれると信じ込んでいる節があります。
令和に起こる購買意識変革
日本においては、もうすでに50歳台の人がインフレを経験したことがなく、物価が上昇しないというのが神話化していますが、それは幻想です。
日本以外の国では、国の成長に伴い物価が上昇し、好景気を享受しています。
好景気を知らないのが大多数という日本がおかしすぎるのです。
その最大の要因は、物価が下がり続けるデフレであることは間違いないでしょう。
最近では、人件費の上昇によって物価上昇を確認できる状態になっていますが、まだまだ年1%程度の上昇では、インフレ状態であるとは言えません。
人々が、早く買わないと値上がりするから買うという購買状況を生み出さないと思います。
もっと言えば、今までの買い物は安い商品を探すという行為でしたが、これからは良い商品をできるだけ安い価格で購入するのが主流になってくるでしょう。
令和のスタートはトランプ大統領の「一人相撲」状態ですが、まだ始まって1ヵ月。
今後こうした時代の変化が確実に起こってくるはずです。
安さを基準に商品を選ぶな!
最大は、安さを規準にモノを選ぶなということになります。
ブランド品なども同じものであればできるだけ安いものが素晴らしいですが、あなたの選んだ商品が素晴らしい商品か否かを養う目が必要になってくるということです。
人や会社を見る目も、儲かっているか否かを規準に選ぶでしょうが、これからは違います。
人間活動に貢献しているか、また社会にいかに貢献しているかによって、会社の価値も決まってくるはずです。
本来、モノの販売というのは、かつてのダイエーやユニクロのようにより良い商品を安い価格で消費者に提供することを商売と言ったのです。
現在はどうでしょうか?
付加価値をつければ値段に妥当性が出るマーケティングというアホらしい考えによって、中身が何もない商品を高い価格で売っていることがまかり通る時代です。
本来3000万円程度の価値しかないマンションを、5000〜7000万円で販売しているのが良い例でしょう。
そのマンションを財閥と呼ばれている企業が販売している、モラルの低下も甚だしいわけです。
令和の時代に消費者が持つべき力
儲かれば何をやってもよいというわけではなく、良い商品をできるだけ安い価格で販売するのが企業のまともな姿です。
ユニクロは良い商品を安い価格で提供したから新興企業の中でも生き残ったのであり、ニトリなども同様です。
反対に箸にも棒にもかからないものをできるだけ高い料金で売っている企業が今後、どうなるかを見ていてください。
品質の良い商品をできるだけ安く売っている企業が大企業に成長している現実を見れば、この考えが正解だということがおわかりいただけると思います。
大企業が変われば消費者も必然的に変わっていきます。
つまり、消費者は本当に良いものが適正な価格で売られていることを見抜く力をこれから持たなければなりません。
令和はこういう時代になっていくでしょう。
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