金暴騰の背景の復習

ドル建ての金が先月末から急騰しています。

この原因について、今まで全部お伝えしていますが、今回は復習の意味を含めてお話ししていきます。

そして、去年から訴えている「金7月天井説」をさらに強化していくことにしましょう。

参照元:TRADING ECONOMICS

現在、ドル建て金が上記のグラフのように急騰しています。

この背景は、金が動く背景で何度も説明しましたが、大丈夫でしょうか?

確認のためにもう一度記しておきます。

①ドルの上下動

金価格変動の第一要因はドルの上下動

ドルが下がるということは基軸通貨ドルの信用がなくなっている、すなわちドルの倒産危機が近づいていることになりますので、ほかの通貨も全部潰れる可能性を持っているということになります。

その結果、ドルの代替(オルナティブ)である金や仮想通貨などが買われることになります。

反対に、ドルの価値が上昇するとドルに対する信認が出てくるため、金利が派生しない金からドルに人気が集まり、金価格は下がることになるのです。

②金利の上下動

金価格変動の第二要因は金利の上下動

前述したように、金には金利が派生しないという欠点があるので、金利が高い状態にあるときには金は低迷します。

現在の世界的な低金利が、金の価格が高騰する原因として一番に挙げることができます。

ただし、日本では1990年代にゼロ金利を導入して以来、もう20年以上の歳月が経過していますので、金利がいつ上昇してもおかしくない状態です。

この状態を日本ではデフレ経済と言ったのですが、その原因がトランプ大統領によって排除されようとしているということをずっとお話ししています。

トランプ大統領がやろうとしていることと金利

メキシコをはじめ、アメリカは1990年代にNIES(ニーズ)と呼ばれた新興経済国に経済攻勢をかけている

中国などの新興国を筆頭に経済の工業化が促進された結果、世界中に廉価な工業製品が普及しました。

トランプ大統領は、この安くて高性能の商品がデフレの原因と考えている節があります。

今回の貿易戦争によって、1990年代にNIES(ニーズ)と言われた新興国経済の雄、メキシコ、韓国などをトランプ大統領は徹底的にいじめています。

これらの安い工業製品を排除すれば、簡単に物価が上昇することは想像がつくでしょう。

おそらくトランプ大統領は、一連の貿易摩擦の解消を9月末までにやってくるはずです。

これは、経済指標との関連でこの時期までに解決しないと、翌年の大統領選挙に大きな影響を与えるからです。

この9月末という根拠も過去の記事で解説していますので、復習をかねてご一読いただければと思います。

9月のアメリカの利上げの影響について考える

つまり、この歴史的な低金利が解除される、そして日本も25年以上続く低金利を解除できる可能性も高い、それも安倍首相ではなくトランプ大統領の手によってということです。

だいぶ話が逸れましたが、この低金利が金の価格上昇の一因でもあり、逆に金の価格が低迷するのは金利の高騰が原因です。

金とドル価格と金利の推移の確認

参照元:TRADING ECONOMICS

上記はドルレートの推移になりますが、今年に入って若干上昇しているくらいで、ほとんど動いていないと言えます。

一方で金利は、

参照元:TRADING ECONOMICS

上記のようになっており、最近の金の上昇は低金利によるものだということをほぼ結論づけることができるでしょう。

参照元:TRADING ECONOMICS

上記は青い線が金のドル建て価格、黒い線は金利です。

金利が上昇すれば金の価格は下がり、反対に上昇すれば金の価格が下がっているのがおわかりになるかと思います。

このように現在の金価格は、金利と連動しているのがよくわかります。

この金利急低下の背景

セントルイス連銀

この金利低下の背景は、以下の記事で代表されます。

FRB高官「近く利下げも」 米景気に警戒感強める

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45648720U9A600C1000000/
参照:日本経済新聞

これは、セントルイス連銀のブラード総裁の発言です。

参考までに、一般では、FRBのパウエル議長が「利下げを示唆している」と言っていると勘違いしている人が9割以上に上ると思います。

しかし、パウエル議長は「注視する」とは言っていますが「利下げ」なんて一言も言っていないことに注意してください。

「金融政策変更の可能性」と言っているだけで、それがイコールの関係として「利下げだ」とメディアや専門家が勝手に決めつけているのです。

パウエル議長の金融政策変更とは?

QEとは量的緩和(政策)のこと

パウエル議長の金融政策変更については、リーマンショック以降続けているQEの完全停止に関しての政策を変更することを指しています。

つまり、利下げを指しているのではないのです。

そもそもFRBがいったん利下げフェーズに入ったら、何度も利下げしなければならず、現在のアメリカ経済においてはそんなことはあり得ないのです。

一度下げてまた上昇させる、そんなことを中央銀行が決定したことは過去にありません。

いったん利上げフェーズに入れば、その継続性が中央銀行には問われます。

次回のFOMC

次回FOMCは6月18日・19日開催予定。金利を引き下げるか据え置くかの判断は、そこまで続く

次回のFOMCにて、政策金利の変更があるか、ないかが決定されることでしょう。

弊社は当然、政策金利に変更なしと予測しています。

次回FOMCは、6月18日・19日開催予定です。

この金利を引き下げるのか据え置くかの論争は、6月19日まで結論が出ないことになりますので、金の価格上昇、金利の低下(債券価格の上昇)は続くことになるでしょう。

その日のFRB声明文やパウエル議長の記者会見では、FRBはアメリカの中央銀行になりますので、国内景気についてのコメントはもちろんされることになるでしょう。

この世界的な景気後退懸念を背景に、トランプ大統領の貿易摩擦の影響も触れずにはいられない状況にあると思います。

FRBはアメリカ国内の銀行であり、世界の情勢に関してはコメントする立場にないということです。

本来、FRBは世界経済についてコメントする立場にないものであり、世界経済に関してコメントするのは異常な状態であるということでもあります。

利下げを煽っている犯人

今、アメリカ経済は好調もしくは絶好調と言っていい状態

現在がリーマンショック後のような異常な経済状態であるかと言えば、ちっとも異常ではないと考えられます。

そもそもアメリカ経済は、若干、企業のほうに停滞傾向がありますが、全体で見れば好調もしくは絶好調と言ってよい状態です。

こういう状態で世界経済についてコメントすることが異常と言えます。

ここでわざわざ「アメリカ経済が好調」と書いたのは、経済が好調で利下げをする必要があるのかということです。

「利下げ、利下げ」と世間は騒いでいるが、現況では利下げする可能性などありません。

おそらく、この情報の発信源はファンドのアナリストで、彼らは株買い・債券売りのポジションを取っています。

現在は株売り・債券買いの状況であり、ファンドは大きく損失を出しているのです。

当然、現在の情勢であれば、債券よりも株のほうが儲かるのは当然ですので、株買い・債券売りポジションのほうが多いと推測されます。

株買いの損失ポジションを減らすために、金利が下がることによって金とともに株価も上昇しますので、情報操作を行っているのでしょう。

それに無知なメディアが食いついている構図が想像できるわけです。

今後の展開

テクニカル的にはドル円は底を打って円安方向に流れる可能性が高い

FOMCまではFRBが利下げするという観測を背景に、株価も金も上昇のトレンドを続けることでしょう。

一本調子で上昇していますので大きなコレクションもあるかとは思いますが、下がったとしてもすぐに買われる展開になるでしょう。

円建て金の場合は、円高傾向になりますので、値段は動かないように感じるかもしれません。

テクニカル的にはドル円は底を打って円安方向に流れる可能性は高い、と現時点では言えると思います。

すなわち、円建ての金価格も上昇する、という可能性も高いでしょう。

さらなる今後

トランプ大統領は裏でFRBに「金利を下げろ」と圧力をかけいるはず

ずっと言い続けていますが、実は6月はアメリカの物価上昇、つまり物価安から物価高に転換する時期です。

今までドル高によって物価は下がってきましたが、今月6月から物価が上昇し、それが経済指標によって確認できる7月から金利が上昇します。

FRBはこのことがわかっており、当然、パウエル議長は去年の夏にトランプ大統領の「金利を下げろ」という圧力に屈したわけですから、今回はその圧力を上手くかわすことを覚えているはずです。

今回、トランプ大統領は「利下げをしろ」という圧力を表立ってかけてはいませんが、裏ではかけている可能性が高いと思います。

しかし、利下げをしようにも、物価は来月になれば本格的に上昇が確認できるはずで、結果として金利の下げなどできないはずなのです。

その金利の下げが金の上昇要因ですから、7月になって物価上昇が続けば、おそらく金は大急落するはずというシナリオを描いています。


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください