FOMCを受けて金価格が急騰

ドル建て金価格と金利の関係

今回は、6月19日未明に発表されたFOMCの結果を受けて、金価格が急騰したことを解説していきます。

下記は、青い線がドル建て金価格、黒い線がアメリカ国債10年物利回りです。

参照元:TRADING ECONOMICS

今の金価格は、金利と反比例の関係にあると従前から説明した通りの結果になっています。

まず、この確認を行ってください。

ドル建て金価格とドルの関係

下記は青い線がドル建て金価格、黒い線がドルインデックスです。

参照元:TRADING ECONOMICS

従前からの説明通り、ドルが下落すれば金価格は上昇になります。

上記の結果からわかること

金の価格の変動要因は、

① ドルの上下動
② 金利の上下動

に左右をされているのはおわかりになると思います。

このうち本来であれば①の「ドルの上下動」が一番の変動要因になりますが、現在は上記の金利とドルの上下動を比較すれば、②の「金利の上下動」が凌駕しています。

ドル上下動と金利上下動の逆転の理由

金価格の変動要因として、ドル価格の上下動と金利の上下動が逆転してしまったのはなぜか?

なぜ、①と②の関係が逆転してしまったのかを考察します。

ここからは推測になりますが、ドルの上下動を見た場合、金利ほど動いていないと言えます。

ドルがあまりにも動かないので、市場が金利を見るようになったのが真相でしょう。

もちろん、マーケットのアナリストたちは、ドルと金利の上下動の前日比、前週比、前年比を正確に計算しているから、このような値段推移になっているのです。

決して思い付きで金価格は動いているわけではありません。

ドルの上下動があまりにもないので、金利の上下動が着目されるようになったということです。

FOMCの発表内容

ワシントンDCに立つFRBの本部

実は、FOMCの内容は前回と全く変わっていません。

いつものように「マーケットの動きを注視し、経済データの変化に着目をしていく」との声明文を発表しているだけです。

「6月は利下げの可能性がある」と騒いでいるのは、外野だけです。

勘違いしてはいけないのは、FRBは利下げに関して何も触れていないということです。

セントルイス連銀のブラード総裁が利下げに賛成票を投じたと話題になっていますが、これは彼個人の行動であって、FRB全体の行動ではありません。

多数決によって出た結果がFRBの決定です。

セントルイス連銀がいくら反対しようとも、それはFRBの一政策委員の話であって、FRB全体の決定ではないということです。

つまりパウエル議長以下、利下げに関しても、利上げに関しても、何も言及していないのに、なぜだかメディアは勝手に利下げすると思い込み騒いでいるのです。

これは日本だけではなくアメリカのメディアがそう騒いでいるから、日本のメディアもそうなっているという因果関係から成立しています。

メディアはなぜ利下げと騒ぐのか?

今回、利下げと騒ぐ原因が何かはわかりませんが、FOMCの発表にはその根拠があります。

以下は6月19日、日本時間午前3時に発表されたFRBの今後の経済見通しの参考資料です。

参照元:econoday

この一番上の欄のメジアンを見てください。

メジアンの一番下の欄、FFレート(フェデラルファンドレート)が2019年の予測が2.4、2020年は2.1になっています。

現在のFFレートは2.0〜2.25ですから、この2.4は今年が1回の利上げの予定があることを意味します。

注意してほしいのは、利下げではなく利上げという点です。

下の欄は2019年3月時点での予想ですが、2019年が2.4、2020年は2.6とそれぞれ1回の利上げを予定していたのです。

つまり3月では、2020年の数字が2.6になっていたのですが、今回は2.1になったので、「利下げする」と騒いでいるのが根拠になると考えられます。

しかし、今年の予想は据え置いているのですから、そもそもこの利下げの話はどこから発生したのかということです。

これは誇大妄想の類であって、FRBの決定は利下げに全く触れておらず、そもそも今年は3月から予定している通り1回の利上げなのです。

そこでなんで利下げの話が出てくるのか、なんだかメディアは、投資家は文字が理解できないと思ってこういう報道をしているとしか思えません。

根拠もなく「利下げ、利下げ」と騒ぐのは、私たちをだましにかかっているのだろうと思うのが普通です。

中央値、メジアンの意味

「Average」が「平均」と訳されるのに対し「Median」は「中央値」と訳される

以前この中央値メジアンの意味を解説したので今回は割愛します。

ただし、このFRBの予測はどういうものなのかを解説していこうと思います。

上記の貼り付けた数字の意味は、FRBには政策委員が17名いるのですが、その各委員の予測の中央値を単に並べただけの予測値です。

この予測値はFRBの見解をまとめたものではなく、単なる統計値であり、これによってFRBの政策を判断するのがそもそもの間違いなのです。

もちろん、多数決でFRBは内容を決定しますので、なんの参考にもならないとまでは言いません。

しかし、この数字をもとに判断するのは間違いです。

メジアンの欄をよく見てください。

アメリカの経済が成長するのであればGDPが伸び、物価が上昇し、失業率も減り、金利も上昇するという流れになるはずが、この表を見れば、明らかにおかしいことになっているのがおわかりになると思います。

景気がよくなるのに、失業が増える? おかしいですよね。

極めつけのおかしな予測値

頭がおかしくなるような数字が出ているのはなぜ?

極めつけは、物価は上昇するのに政策金利を下げる(?)と、おかしな予測値を出しているのです。

このような予測値を万が一FRBが堂々と出せば、世界中から非難を浴びるでしょう。

でも、非難は浴びません。

なぜならこの表は、予測値ではなく統計値だからです。

ただ、整合性がない統計が出ているということは、FRBもこの景況感、金利の据え置き、利上げ、利下げを悩んでいるという風にも捉えることができます。

金の今後はどうなる?

今こそ金を売る準備をするとき

従前から、6月から物価が上昇し、その結果は経済統計で7月に判明するよ、と言っています。

その上に、FRBが利下げではなくて利上げをしてしまったら、どうなるの? ということです。

金の価格はマーケットが利下げを織り込んでしまって、それが実際に本当は上昇となったら、金の価格は金利と反相関しているのですから、どうなるのでしょうか?

今は金は上昇していますが、これは最終局面に入っているところ。

信用や先物で売買している人は、下旬から来月にかけて新規に売る準備をしなくてはいけない段階にきているのです。

現物の金を持っている方は、売却の準備をそろそろ進めなくてはいけません。

リファスタ

https://kinkaimasu.jp/


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