なぜ今後、円安になるのか?

そもそもパーセンテージとは?

消費増税や韓国の問題、そしてイランや貿易摩擦の中、日本や世界の経済が停滞するという意見が大勢を占めますが、ドル円レートはおそらく円安に行きます。

通常、日本の景気が悪いと円高になるというのがコンセンサスのように思われますが、そうではありません。

今回は、その問題を解決していきます。

円安に行くということはドル高になりますので、金価格も下がるということを言いたいのです。

パーセントとは「全体に対する割合を,1/100の倍数で表した値」と辞書には書いてあるが…

成功確率が60%とか80%とか言いますが、この「パーセントって何?」と聞かれたら、たいていの人は「10回やって6回成功するか、8回成功するかの問題だよ」と答えるでしょう。

では、「60%の成功確率と80%の成功確率では、あなたは具体的にどう行動を変えますか?」と聞くと、誰にも答えはありません。

なぜなら、具体的なイメージができないからです。

5回やって3回成功しようと4回成功しようと、結果が劇的に変化しませんから、真面目に考えようとはしません。

ところが、AIは金銭的な部分でどのくらい被害が違うかを計算してくれるから便利です。

ただし、計算できるのは金銭の面だけであって、精神的なダメージは考えていないので、当たっているのか外れているのかよくわからない…。

ほとんどの人は、5回やって3回成功しようと4回しようと、金銭的にも精神的に甚大な被害を受けないので、真面目に考えようとしないのです。

これが、甚大な被害を受けるようであれば真面目に考えるでしょう。

我々の経験即では、5回やって3回成功しようと4回成功しようと同じことだと認識しているのに、60%と80%では大きな違いのように思い込んでいるだけになります。

為替レートもパーセンテージと同じ考え

ドル円など為替レートの根本的な考えを捉えよう

なぜ、このような話をするかといえば、為替レート、ドル円相場も同じ考えだからです。

現在1ドルが108円くらいですが、日本の物価を108倍するとアメリカの物価と均衡するよ、というのがドル円レートの意味になります。

その計算式は以下のようになります。

アメリカ:日本=1:108

この計算は面倒なので、アメリカを4、日本を1とすると、

(日本)1:4(アメリカ)

になります。

これは実際の数字ではなく、仮にアメリカでマクドナルドのビッグマックが1ドルの場合、日本では4円になるという意味です。

本来はアメリカで現在のビッグマックは多分3ドルくらいでしょうから、日本では12円ということになります。

計算式は、

3:12=1:4

です。

つまり為替レートとは、ドル円の場合、3ドルなら日本円で12円というのでは非合理的なので、1ドルだったら4円というようになっているのです。

パーセンテージを計算しても間違いが出る

ビッグマック指数(BMI)など、経済のものさしにもされるマクドナルドのビッグマック

問題は、このドル円レートが4円の中身です。

例えば、アメリカでビッグマックを10%値上げしたら、3.3ドルになります。

日本は売れ行きが悪いので、10%値下げして10.8円にしたとしましょう。

この場合の計算式は、

3.3:10.8=1:6

になり、実際の為替レートは以前が1ドル4円だったものが1ドル6円になってしまうのです。

アメリカが10%の値上げで、日本が10%の値下げと文章で書くと、レートは変わらないようなイメージになります。

+10と-10を足したらゼロになるからです。

しかし、実際は150%も為替レートは上昇します。

つまり、パーセンテージを計算しても、間違いの答えしか見つからないのが常であり、パーセンテージは相対値というのですが、相対値と相対値は、加減乗除をしたらいけないことになります。

そもそも相対値を便利視してはいけない

AIなんて当てにはならない…

例を挙げましょう。

成功確率60%と20%の商品を販売しているとします。

この場合、あなたはどちらを選びますか?

言うまでもなく、60%を選ぶでしょう。

でも、これには前提条件があり、成功率60%といっても、1万回やっての成功率で、6000回成功するとしましょう。

しかも精緻に分析した結果、最初の4000回は失敗し、あとの6000回が成功するという商品でした。

これに対して成功率20%の商品は、5回に1回ランダムに成功するとしましょう。

あなたは、どちらを選びますか?

言うまでもなく後者でしょう。

つまり、確率なんて全く信用ならないものであり、その確率が出た前提条件をよく見なければ判断してはいけません。

ほとんどの人は前者の商品を買うと思いますが、確率をよく知っている人は、後者を選ぶでしょう。

AIが「確率何々パーセントで成功します」なんて言っても、それはデータベースがいくらあって、その上でその条件を精査しなければいけないのです。

そんなことまでやるのであれば、AIなんかに判断させなければいいだけの話です。

どうですか、AIなんて詐欺みたいなものということがおわかりになったでしょうか。

為替も同じこと…

ドル円相場が円安に行くときは、日本の景気が良いとき?

ドル円相場が円安に行くときは、日本の景気が良いことだと思い込んでいませんか。

逆に景気が悪いときは、円高だと思っているでしょう。

これ、AIなんか信用しなくてもウソっぱちというのがわかります。

上記の最初で示したように、ドル円相場は「ドル÷円」によって計算され、「ドル:円」で表記されます。

では、実際に考えてみましょう。

日本の成長率とアメリカの成長率

参照元:TRADING ECONOMICS

上記グラフの一番右に、アメリカの1〜3月までの成長が掲載されています。

その数字は3.2です。

参照元:TRADING ECONOMICS

同様に日本の1〜3月の成長は0.9です。

日本とアメリカを均衡させるのであれば、アメリカは日本の4倍経済格差がありますので、3.2の成長を1/4させて0.8としなければいけません。

表記はアメリカ:日本ですから、

0.8:0.9

になります。

この計算式はドル÷円ですので、0.8÷0.9の答えは0.888です。

4〜6月の成長率と7〜9月のドル円レート

7〜9月はほぼ間違いなく円安になると考えられる

4〜6月はまだ発表されていないので詳細はわかりませんが、アメリカは1.5〜2%の成長、日本は0.1〜0.5%の成長と予測されています。

数字に幅がありますので、ここではアメリカは1.6、日本は0.2としておきましょう。

アメリカは1/4にしなければいけませんので、表記はアメリカ0.4:日本0.7とします。

計算式は、

アメリカ0.4÷日本0.2=2

前期19年1〜3月期が0.888、19年4〜6月が2になります。

これは円高が数字を減価すること、円安が数字が増価することと考えると、7〜9月は円安になることを意味します。

しかし、0.5%の成長になった場合は、

アメリカ0.4÷日本0.5=0.8

になりますので、1〜3月期0.888>4〜6月期0.8となり若干の円高になります。

今出ている日本の経済指標を見ると、相当に弱い指標ばかりになりますので、おそらく0.4以下の成長になるでしょう。

そう考えると、ほぼ間違いなく円安になると考えられます。

好景気なら円安というステレオタイプは危険

ドル円は分子のドルの数字によって答えが変わってくる

為替相場が難しいのは、その値がアメリカと比較した相対値だからです。

「ドル÷円」は「ドル/円」という分数になり、分母の円が増大すればするほど、本来は円高にならないといけないのですが、実際は分子のドルの数字によって答えが変わってきます。

日本の景気が良ければ円安というステレオタイプの考え方は、非常に危険です。

きちんと計算して考えれば、おそらくこの7〜9月は大きく円安になるということです。

すなわち、金価格の崩落を意味します。

まとめ

円安はドル高を意味し、ドル高はドル建て金価格の下落を意味する

パーセンテージで物事を考えることは非常に危険です。

パーセンテージとは、同一の質量に対して〇:〇の割合のように考える表記であって、そもそも成功確率のデータが1万回と5回のものを比べても、結果はメチャクチャになるのは自明なのです。

60%と20%で一見60%が有利なように見えますが、精査すると20%のほうが優れていることはよくあります。

為替相場も同様ですが、景気が悪いから円高ではなく、よく分析すれば円安になるのはおわかりになると思います。

金の価格はドルが強ければ下がるのですから、ドル建て金価格は下がることになるでしょう。

円建て金価格は円安に押れて価格は直近は上昇しますが、時間の経過とともに円建て金価格もドル建てに収れんしていくのは、以前に考察した通りになります。

2020年までとこれからの金価格予想【3】円建て金価格1年間の予想


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