石油王は金持なのか⁈

今後もアラブの王様は金持ちなのか問題(笑)

昔からアラブの王様というと大金持ちというイメージです。

今回は、この石油の王様のイメージをサウジアラビアに絞ってお話ししていきます。

アラブの王様、石油王と結婚すれば一生贅沢三昧!?

結婚するのであれば、アラブの王様、石油王というのは夢見る女子の定番でしょう。

しかし、冷静に考えると、現実的にアラブの王様なんて星の数ほどいるわけではないよねなんて思う女子もいるはず。

あるいは男子は、アラブの王様とお知り合いになって商売することで、少しおこぼれをあずかろうとするのが普通ですよね。

でも、ご安心ください、王様ではないけどサウジアラビアにはいっぱいお金持ちがいます、しかも王族です。

そう、お金持ちを夢見る女子、おこぼれにあずかろうと考える男子にとっては夢のような国なのです、サウジアラビアは。

サウジに王族がいっぱいいる理由

5リヤル紙幣に描かれた現国王の肖像

そもそも、サウジアラビアという国を統治する王様は遊牧民族です。

考えてもみてください、広がる風景は一面の砂漠、その中で農作物を育てようとしてもものすごく苦労するわけで、それであれば季節によって各地を転々として、過ごしやすい土地にいたほうがいいわけです。

昔のサウジには地方の豪族がいっぱいいたのですが、その豪族をまとめ上げたのが今の国王の祖先になります。

この王様の一族をサウード家といい、統治に協力した豪族のことを王族というのです。

もちろん、国王になるにはサウード家の血筋が必要で、基本的にはその弟や息子が次の王になります。

王族たちは何をしているのか?

皇太子の身分で、第一副首相兼国防大臣等を務めるムハンマド・ビン・サルマーン

そのほかの豪族や王族たちは何をするかと言えば、国王は、治世に協力する対価としてお金を払っています。

サウジ国内では王族の血筋の人は、王族というだけでお金をもらう資格があるのです。

その代わり、サウジの国王になり代わっていろいろ国の統治機構の設立などを行います。

日本で言えば、東大などの超一流大学を卒業した官僚ということになります。

つまり王族は生まれたときから王族であって、死ぬまで王族から外れることがありません。

そして王族として生まれた以上は、国王からお金をもらう権利があるのです。

そのお金で起業したり投資をしたり、また、国と民間企業などをつなげて仲介料をもらうなどのことをしているのです。

現在、サウジは人口が2200万人程度ですが、そのうち300万人ほどが王族と言われています。

サウジには公式な人口統計はあるのですが、その数字を精査していくと、矛盾点が多々存在し、この人数は定かではありませんが、星の数ほど王族がいることは確かなようです(笑)

なぜ王族がこんなにたくさんいるのか?

サウジアラビアの砂漠に立つ遊牧民の住居

こんなに王族がいるのは、現状の国王体制を維持するためにはその人数が必要だから、お金を配ってまでも『王族でいてください』と国王がお願いしているからです。

それは、サウジアラビアという国の成立に関わります。

そもそも、第一次大戦以前の中東には国家というものが存在せず、民のほとんどは砂漠で農業ができないので遊牧民でした。

そして各地に有力部族がおり、勢力圏争いに勝ち残ったのがサウジの祖であるサウード家だったのです。

当然せん滅した部族もいますが、政略結婚で手を組む姿勢を見せて国家を成立させました。

そのサウード家に忠誠を誓わせるためには、やはり何がしかの見返りが必要になります。

それがお金なのです。

サウジアラビアが成立したときにはまだ石油は出ていませんが、欧米の石油メジャーによって石油が採掘されたときからお金が潤沢になりました。

サウジ平定と政略結婚

サウジでは一夫多妻制がいまだに継続

サウード家がサウジを平定するのに多用されたのが政略結婚です。

各地に星の数ほどいる豪族と共同体を作るのには、裏切らない証拠として、自身の娘を相手豪族に差し出したのです。

それこそ星の数ほど必要でした。

つまり、子供の数がサウジアラビアでは異常に多いのはそのためです。

日本の出生率が現在1.3人程度になりますが、サウジは1970年代で6人以上の数字を記録(女性一人当たり6人の子供を産むという意味)した上に、現在でも出生率は3人をキープしています。

しかし、いくら子供が多く必要だといっても、生む女性は大変です。

その過度な要求は無理があるので、中東では一夫多妻制が認められるのです。

いわゆる男子の憧れ、ハーレムのゆえんはこの辺にあります(笑)

中東=金ピカのイメージは間違っていない

中東のとある町のとある金ショップ

国家を成立させるためには子供の数が必要だった結果、国王に100人の子供がいるようなことは事実になります。

そして、各部族や王族は統治の最初はそれなりに力を持っていますので、娘を差し出してももたないので、お金が必要になったのです。

そのお金とは、「金」にほかならないことは言うまでもないでしょう。

まともな国家がない上にその国民は遊牧民族ですから、いつそのお金が通用しなくなるかわからないので受け渡しが金になるのは必然です。

中東というと金ピカというイメージがありますが、それはイメージだけではなく実際そうなのだ、ということも想像に難くないでしょう。

コロンブスの卵的な官僚機構

王政時代の切手に描かれてたイラン最後の国王であるモハンマド・レザー・パフラヴィーの肖像

実は中東にはイラン、イラク、ヨルダン、イエメンなど、かつて王国だった国がたくさんあります。

しかし、上記の国では王政が廃止されて民主化されました。

理由はなぜでしょうか?

これは1980年代にアメリカで多く研究されたテーマになりますが、イランのシャーリア(国王)がホメイニ革命によって追放されたのは、官僚に政治を委譲していたことが原因に求められています。

つまり、国王以下の官僚が王族か王族ではないかによって、国の運命が決まっているとのことです。

王政が廃止されたイラン、イラク、ヨルダンなどでは、難関試験を突破した優秀明晰な頭脳の持ち主が官僚としての役目を担いました。

一方でサウジでは、生まれたときに官僚になるかならないかは決まっているのです。

優秀な官僚な場合は、そのうちに欧米の民主主義に目覚め、王政打倒を目指すのですが、サウジの場合は王族が官僚ですので、王政が打倒されてしまうと自分たちも路頭に迷うのは自身がよく理解しています。

そこで、官僚が一致して国王体制の護持を願うのです。

つまり官僚が民主化されて優秀であればあるほど、王政は倒されやすくなるのです。

中国に見るサウジ王政がつぶれないわけ

中国の町に掲げられた国旗と共産党旗

いい例が中国です。

共産党の一党独裁ですが、官僚は必ず共産党員でなければならないという規定があります。

国家権力の代表者である総書記が代表で、そのほかの有力ポストはすべて共産党が支配するという状態は、中国がいつか転覆するだろうという論調が日本では大流行りですが、サウジの例を見れば、一党独裁はつぶれないと見るのが通常の判断でしょう。

同じく北朝鮮も、金正恩がひどいことをやってもいまだに暗殺されることなく治世を行えるのは、国家の運営を共産党が握っているからと言えます。

つまり本来なら国王以下、優秀な官僚によって運営されるのが近代の独裁国家であって、民主化の流れなのですが、サウジの場合、王族や豪族の反乱が怖く、官僚を民主化できなかった結果、王政が維持されているのです。

アラブの王様と結婚すると大金持ちになれる伝説は本当?

サウジアラビアは絶賛人口爆発中!!

答えは簡単明瞭です。

まず、サウジの王族やサウジ人たちは、子供をたくさん産みます。

これは何を意味するかと言えば、人口爆発です。

現実的に第二次大戦後300万人程度だった人口が、現在では2200万人。

70年で7倍というとそれほどでもないのですが、ここ30年では3倍になっているのです。

これはまさしく、人口爆発と言ってよいでしょう。

人口が増えるということは、王族の人数も飛躍的に伸びているのです。

一方でサウジ政府の収入は今も昔も変わらず、石油以外はほとんどありません。

その石油価格は一時期に1バレル120ドルを超える場面もありましたが、現在は60ドル程度です。

要するに『収入は半分になっているのに王族の数は増えている』

ただそれだけです。

収入が減って王族が増えれば、王様からの分配金は自動的に減ります。

1970年代はアラブの王様と結婚すれば一生お金持ちという伝説がありましたが、今から結婚する方はどう見ても…、将来は暗いですね。


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