あなたが不景気だと感じる理由

比較の問題ではない!

日本政府やメディアは景気が回復してきていると盛んに喧伝していますが、実際のところ、本当に景気がよいと感じている方は少ないと思われます。

出生率は上昇してもそもそも出産可能な助成の人数が減っているので新生児の絶対数も減っている

これはいつもの相対と絶対の問題で、例えば東日本大震災のころと比べると景気がよくなったという話ではありません。

人間の判断は、たいてい何かと比較して下しているケースが圧倒的です。

以前、出生率の上昇と赤ちゃんの数を例にしたことがあります。

女性活躍化社会の本当の意味

最近、出生率が上昇しているから、当然、赤ちゃんの数も増加するだろうと考える人が多数ですが、実際は赤ちゃんの数は年々減っています。

どういうことかと言えば、出産可能な女性が減っているので、その出生率が上昇しただけの話であり、結果として赤ちゃんの絶対数は減っているのです。

つまり、比較した判断は間違える可能性が大きく、赤ちゃんの絶対数で見れば、日本の少子高齢化は進行したままだということが認識できます。

誰しも東日本大震災のころと比較すればよくなったけど、絶対的に景気が良くなったと感じないのはどういった部分なのかを検証していくことが今回のテーマです。

まずは労働生産性を知ろう

労働生産性とは?

労働生産性を改善すると景気が上昇するというのが世界的なコンセンサスです。

まず、この労働生産性とはどういうことか、きちんと知る必要があります。

例えば、現在の労働基準法の規定では1日の労働は8時間です。

これ以上働くのであれば、雇用者は残業手当として賃金を割り増ししなければいけないと定められています。

日本だけの規則ではなく、世界的にたいていの場合は8時間労働が標準です。

この、8時間働いて企業にいくらの利益をもたらしたのかというのが労働生産性になります。

日本人と労働生産性

あなたの会社にも給料泥棒のような社員がいますよね?

日本は労働生産性が低く、ほかの先進国と比べても極端に低い状態です。

働いている割りにはお金を稼いでいないのが、日本の会社員の実態になります。

例えば、1日の日当1万円に対して、最低でも通常は2万円の利益を会社にもたらしてくれないと困るというのが経営者側の本音です。

その残りの1万円を設備投資や将来の万が一の預金などに当て、余った部分を経営者の配分として取ります。

ところが、日本の場合は1万円のお給料を払っても、1.5万円程度しか社員が利益を出してくれないのが実態です。

その上、お役所や大手企業では仕事もなく、何もやってもいないのに残業代を請求する輩がたくさんいます。

家計が苦しいというのが理由のほとんどですが、経営者側から見れば、そういう何の利益も生み出さない人材は放出したいというのが山々です。

働き方改革の真相

仕事帰りにビールが飲めるようになったとはいえ、給料自体が少なくなったらどう感じます?

企業は利益を生み出すために会社を運営しているのであって、残業代のために働く人材は、高すぎる経費になります。

こういう人材を放逐したいというのが、働き方改革が始まった一因です。

日本人一人一人の生産性が低いために、2000年くらいから始まった雇用の非正規化、そして今後は働き方改革によって正社員の放逐が始まったといっても過言ではありません。

不良化した人材は非正規へ転用して、終身雇用で硬直した人材を流動化させ、それでも生産性が改善しないので、言葉は悪いですが残業代で稼ぐ社員を放逐しようとしたのが働き方改革です。

そもそも、働き方を変えてより豊かになる条件が、「以前よりも残業を少なくして定時に帰りましょう」というキーワードが矛盾しています。

より豊かとは、ほとんどの人にとってよりお金を稼ぐことであり、以前より働く時間が少なくなって、お給料が増えることはないはずなのです。

月末の金曜はノー残業デーなので早く退社して居酒屋に呑みに行き、旅行に出かけましょうとか言っているサラリーマンが非常に多いですが、甚だしい勘違いです。

働く時間が減って、お給料が増えることはあり得ません、余程業務効率を改善しない限りは…。

働き方改革の矛先

働き方改革はバブル以前に入社した社員の体のよい残業カット

ここ数年、ITなどの普及によりかなりの効率化がどの職場もなされているのに、これ以上の効率化が示現するとはとても思えません。

働き方改革が、バブル以前に入社した社員の体のよい残業カットだとお気づきになっている人は非常に少ないのです。

ご存知のようにバブル以前の入社組はほとんど正社員であり、この人たちのクビを切るのには相当なコストと労力が必要になります。

この人たちの残業代を少なくすれば、相当なコストダウンになることは明白です。

そして、その副次的効果として、短い時間で多くの収益を挙げることを狙っているのは言うまでもありません。

改革の先に待つ未来

働き方改革の先には明る未来はあるのか?

働き方改革の結果がどうなるか、誰が考えても当たり前の話です。

残業代を生活費の一部に充てている人は、生活が成り立たなくなります。

この人たちは、本来の業務時間も残業時間もダラダラと過ごすわけですから、その影響は甚大です。

やる気のある若い社員のやる気をそぎ、社内のムードが最悪になります。

この人たちが職場から一気にいなくなれば、かなり効率が良くなるのは必然です。

限られた時間で業務をこなそうという雰囲気が生まれるからです。

そうやって効率化を進めれば何が起こるか、おそらく今の人員はいらなくなるということが必然的に起こります。

そこで今度は政府が副業を推奨し、収入減を補えと言っているだけです。

これが働き方改革の実態であり、このような働き方が社会を豊かにするとは微塵も思えません。

これによって恩恵を受けるのは経営者だけであり、従属的労働を強いられている普通の人間は損をするばかりです。

働く時間が減ってお給料も増え、遊ぶ時間も増える、そんなバラ色の世界がないのは当たり前なのに、ほとんどの人が明るい未来が約束されていると信じているのです。

経営者は人格者なのか?

依然残る福島県の帰宅困難地域

東日本震災での福島原発の事故責任において、無罪判決が出されたのは周知の事実です。

あれだけの被害を出し、家を失い、住む場所がなくなった人が想像を絶する数いるのに、訴えられた3人ともに無罪を主張しています。

法的には、義務の履行を命ずる根拠はなにもないので、裁判所の決定はある意味当然といえば当然です。

しかし、あれだけの人が犠牲になったのだから、国民からすれば誰も責任を負わないことに疑問を呈する人もいるのではないかと考えられます。

そもそも、彼ら3人は退職後も豪邸を構えているのに対し、被災者の方々は住居を失い、故郷を離れるという苦しみを味わっているのに、なぜ無罪を主張できるのか理解に苦しみます。

せめて、事故を起こした責任を全面的に認めて謝罪し、被害者たちに全財産とは言わずとも、多くの部分を寄付すべきでしょう。

それが最も人間らしい行為です。

当時の経営トップなのですから、責任がないということは絶対にあり得るはずもなく、その一端は必ずあるのに、世間の人以上の生活ができていることが理解できない人がほとんどになると思います。

元日産のゴーン社長や西川も…

ゴーン元社長がやったことは他人に苦しみを転嫁しただけ

日産にしても同様で、コストカッターとして乗り込み、社員の人生をもてあそんだ結果、一生使い切れないようなお金をため込んだゴーン元社長が逮捕されるのは不思議なことでがありません。

元日産の社員は拍手喝采のはずです。

なぜ、人に苦しみを転嫁しただけの人が、裕福な生活ができる権利があるのか理解に苦しみます。

松下幸之助が今でも尊敬されるのは、どれだけ不景気になっても人を切らなかったからです。

ゴーン元社長や西川がやったことは、ただ単に人に苦しみを転嫁しただけです。

にもかかわらず、一番楽な方法を選択した彼らが世間が、うらやむような生活ができるのを不思議に思わない人のほうが圧倒的多数なのです。

ゴーン元社長が宮殿で結婚式をあげたことを、うらやましいと言っている人が大勢いるのに唖然とするほかありません。

経営者というものは…

お金持ちの大半は苦しみを他人に添加して豪華な生活を強いるに過ぎない

経営者やエリートという人たちの過半は、自分の苦しみを他人に置き換えることによって自分が豪奢な生活しているに過ぎません。

やっていることは泥棒と一緒、もちろん罰する法律はありませんが。

あなたがリストラを命じられた会社の上司であれば、心は痛むけど、人を切らなくてはいけない状況になるでしょう。

でも、それが本当に正しいと信じている人間は、人を一人切る度に「経費節減ができました」と上司にご注進に行き、わずかばかりの昇給や昇格を得ます。

これも盗っ人と同じ行為だと思っていない人も多いのではないでしょうか。

経営者にとって本当の成功とは

東京電力の元経営陣をはじめ、都合が悪くなれば自分の身を守るために他人に面倒を押し付ける…

女優がよくIT経営者と結婚します。

彼らは優秀な人材なのでしょうが、そこで働いている社員で裕福な人があなたの身の回りにいますか?

法律ぎりぎりの賃金で、しかも契約社員という立場で必至にやって、苦しい生活を送っている人がほとんどです。

それが本当のお金持ちと思う、その感覚がおかしいのです。

本当の成功とは、社員がその会社で幸せだと感じることでしょう。

安い賃金で身を削って働き得られるわずかばかりのお給料で、何が楽しいのだろうと…。

そして、ボスが自分の苦しみを他人に擦りつけるだけの人間ですので、客にもそれを押しつけていることでしょう。

本当の成功者とは、そこで働いている社員の幸せであるのにもかかわらず、創業者だけが幸せで、従業員が不幸な会社でさえも一律に尊敬されています。

金持だとテレビなどで取り上げられますが、従前の企業では人件費が相当かかっていたものを半分くらいの人件費で経営できるのだから、金持ちになって当たり前です。

どうせこういう連中は、都合が悪くなれば自分の身を守るために、従業員や取引先、客に面倒を押しつけます。

その最たる例は、日産や東京電力だと言っているのです。

これが人として尊敬できる行為なのかをもう一度考えてください。

諸悪の根源はワシントンコンセンサス

ワシントンに立つIMF本部

グローバリズムという言葉を聞いたことがあるでしょう。

具体的に言えば、自由化という言葉で代表されます。

これはIMF(国際通貨基金)が推奨している世界的な政策で、そのIMFの本部があるワシントンにちなみ、通称ワシントンコンセンサスと呼びます。

このワシントンコンセンサスが、諸悪の根源だと弊社は考えています。

米中貿易戦争も…

善処してきているとは言え、いまだに中国には偽物が多いが…

例えば今、米中の貿易戦争が世間をにぎわしています。

この問題の根幹は、中国のお行儀が悪すぎるというのが皆さんの認識です。

トランプ大統領のお行儀が悪いと思う方も多数いると思いますが、そのトランプ大統領の主張は、「中国はアメリカの技術を盗んで発展しているけしからん国だ」と言っています。

ファーウェイという会社は、アメリカの技術を盗んで大きくなったという主張なのです。

ただ、1990年代からこの知的所有権は問題で、ミッキーマウスの使用権やマクドナルドの商標なども、中国が善処を約束して解決してきた側面があります。

要するに、アメリカの利益を増大させるためだけに「自由化」という心地のよいスローガンを叫び、中国に自由化を求めているだけなのです。

今回の米中の貿易摩擦にしても、「アメリカにもっと利益を寄こせ」と言っているだけの話なのです。

上記のIMFは中国に「もっと市場を開放せよ」と迫っているのですが、実際に中国が市場開放をして衰退しても、アメリカやIMFは見て見ぬ振りをするだけです。

見て見ぬ振りをするIMFの例

IMF管理下後、経済を吹き替えした韓国の首都ソウル

実際にこれは歴史が証明しています。

1997年に韓国はIMF管理になりましたが、IMFがやったことは、緊縮財政と総需要の停滞政策です。

つまり、もっと不景気になるように促したのですが、韓国はこれを拒否して現在のように隆盛しました。

反対に、言うことを聞いてダメになったのは、最近またデフォルトしそうになったアルゼンチンや東南アジアのインドネシアやタイになります。

言うことを聞かないインドや中国、マレーシア、シンガポールなどが、インドネシアやタイ、アルゼンチンと比較して隆盛しているの事実です。

アメリカのグロバリゼーションが自由化を求めてやっていることが、世界経済がそもそもおかしくなった原因だと弊社は考えています。

アメリカ自体が泥棒みたいなもの

「自由化」という錦の御旗で一方的に利益を享受しているアメリカはもはや泥棒のようなもの

アメリカのやっていることは、東電や日産のやっていることとほとんど変わりがなく、相手に「貿易を自由化せよ」と錦の御旗をかざして利益を最大に享受し、その結果、その国が傾きかけても「知らない、自己責任」と言っているだけの話です。

日産は「社員をクビにしなければ会社がつぶれる」と社員を脅し、得られた果実を社員や社会に還元せず、特定の個人、ゴーンや西川の財布の中に納めてしまっただけの話です。

東電は、国が原発を推奨したので、経営者には責任がないという論法を取り、経営する原発で事故が起こっても知らぬ、存ぜぬを決め込んでいるだけの話です。

自由化というのは錦の御旗のような感じがしますが、なんでもかんでも自由化すればいいというものではありません。

自由化によって、必ず巨大な利益を貪る連中がいますが、そういう連中は自分だけの利益しか考えておらず、他人の所有権を自分の所有権に替えただけの連中であることがほとんどになります。

それを格安で購入し、それが値上がりした結果、金持ちになった連中が今、社会で尊敬をされているだけの話です。

やっていることは泥棒と変わりがないのです。

皆さんが豊かになるためには

お金持ちと貧乏の分かれ道は?

冒頭の話に戻って、働き方改革で生産効率が上昇すれば、その国の経済が活性化するのは残念ながら事実です。

しかし、日本でいくら生産効率を上昇させても、おそらく国は発展せず、生産効率が改善すればするほどもっと貧乏な国になっていくでしょう。

生産効率の改善とは、一人一人の生産量が上昇することです。

でも、日本の総需要は一定のパイが決まっており、この総需要は今後減少していくことでしょう、なぜなら少子高齢化なのですから。

若いときは無節操にお金を使うことができますが、加齢とともに消費量は減るのが必然です。

なぜなら、日本は年金制度が縮小する傾向にあるのですから、老後に備えて国民が貯蓄や投資に走るからです。

平均年齢が上昇していく日本で生産効率を上げたら、人の雇用はもっと少なくなります。

今の日本の働き方改革では、総供給をもっと増やせば、日本はもっと元気になると言っているのですが、総需要がこれから見込めないのに、供給を増やそうとしているチンプンカンプンな政策なのです。

つまり、絶対にうまくいかない政策を、何も考えていない連中が安倍政権への忖度を図るために持て囃しているだけの話になります。

供給を増やしても作りすぎになり、結果としてその単価が下がり、もっと貧乏になるだけなのに、なぜ働き方改革が素晴らしい未来を提示してくれるのでしょうか?

これに対する処方箋

ますます広がる経済格差

世界では今、中間層が消滅しつつあるといわれています。

この意味は、日本で言えば350〜800万程度の年収の人たちが消えつつあるということです。

ITなどの普及によって、企業がこのクラスの年収の人を積極的にリストラしている結果になります。

かつて日本は「一億総中流」と言われましたが、なぜあの時代は皆が幸福を感じられたかと言えば、皆がそこそこのお金を持って、そこそこの消費がなされたからです。

この中間層が人口分布では一番厚い層になるのですが、現在では二極化してきて、貧困層と大金持ち層が強化されています。

つまり現在では、貧困層はぎりぎりの生活なので消費ができず、裕福な層は生活のために全部のお金を使いきることはありません。

ゆえに、消費活動は以前と比べれば減少するのが通常です。

以前のように全員がそこそこのお金を持っていれば、おそらく消費が沸騰し、昭和時代のバブルのようなことが起こり得るでしょう。

しかし現在では、お金を極端に持っているか、持っていないかになってしまっていますので、以前のような消費拡大は起きないでしょう。

日本がやるべきこと

中間層の復活が急がれる

日本がやるべきことは、この中間層の復活です。

つまり、大金持ちの持っている所得を低所得者に再配分しなければいけないのですが、世界にそれが敢行できる政府はありません。

個人においては、これをミクロというのですが、たいていの場合は泥棒同然のことをやって金持ちになっている人がほとんどだということを認識すべきです。

人のお金を盗んで金持ちなっても、真の満足感は得られず、いつかは自分も収奪されるのではないかという不安感を持って生きるのが、不幸だと思いませんか?

人間が幸福感を持つのには、人に必要とされる感覚、もっと日常的な感覚で言えば、人から褒められることが人間の存在意義そのものだと考えます。

だからゴーン元社長や西川は失脚しました。

流行りの言葉で言えば、WIN-WIN関係の構築がこれからのトレンドになります。

他人の時間や利益を収奪してお金持ちになった人たちを尊敬しているようでは、いつまで経っても自分自身はちっとも豊かになれないでしょう。