そもそもの発端
世間は台風19号の被害ばかりに注目していますが、国際情勢は絶え間なく動いています。
日本国内の事情はさまざまありますが、同時にグローバリズムの波にさらわれており、国際情勢にも左右されることを覚えてください。
今回は香港デモ、実は中国本土と起こっていることは同じです。
そんなことはないと思われる方も多いと思いますが、調べてみると同じです。
こういう点が見えてくると、香港デモの真相も見えてきます。
デモの発端となった事件は、香港人男性が台湾で恋人を殺害したことから始まっています。
台湾と香港の間には犯人の引き渡し条約がないので、いったん中国に引き渡し、そこから香港に移送する「逃亡犯条例」を、行政長官が議会に提出したのが発端です。
犯人は何者か?
ここでもさまざまな疑問がわきます。
まず、この台湾で恋人を殺した犯人は政治犯なのか、それとも一般市民なのか?
政治的に追い詰められ、濡れ衣を着せられて逮捕されることは中国ではよくあることです。
今回のデモがこれほどまでに長期間にわたり続くことを考えれば、政治犯の可能性が非常に高いと言えるでしょう。
そのほかの問題
台湾で罪を犯した人が北京に移送されることに何の問題があるのか?
そして、北京で何が行われるのかということも問題です。
中国国内の司法制度では、犯罪を起こした地方の裁判所で行われます。
つまり、香港人が北京で裁判を受ける法的根拠がないということです。
香港市民がこれほどまでに抵抗する意味がわかりません。
香港人が外国で香港人を殺害したのであれば、香港で裁判を受けるのが通常です。
しかし、市民は北京に移送されることに強く反対しています。
ただ、過去に海外で犯罪を起こして北京に移送された人たちが、非業の死を遂げただのと無茶苦茶な扱いを受けたというのであれば話は別ですが、そういう詳細を聞いたことがありません。
地方幹部が汚職によって海外に逃亡し、海外捜査当局によって北京に移送される話はよく聞きますが、その後どうなったかという話も聞いたことがありません。
なぜ香港市民は激昂するのか?
そもそもデモの発端になった事件を分析していくと、香港市民がなぜ、これほどまでに激高するのか意味がわからないのです。
参考までに、中国の裁判は想像通り、共産党にとって都合の悪い判決は出ません。
理由は非常に明快で、習近平は共産党の最高指導者ですが、首相の李国強は国家の代表です。
共産党は国家を指導するので習近平のほうが立場が強いのです。
中国にはもともと三権分立という思想に強いアレルギーがありますが、司法、立法、行政よりも共産党のほうが立場が上になります。
共産党の独裁体制だから、共産党に都合の悪い判決が出るわけがないのです。
このデモの発生の要因が、一般的に言われるように香港人が台湾で恋人を殺害したことに起因するような、単純な理由ではない可能性のほうが高いのです。
デモ発生の本当の理由は?
中国を含めた香港では、本当のことなどは一切報道されません。
いい例が2003年に発生した新インフルエンザ(SARS)です。
当初、当局は感染者が10人以下と発表しました。
実際は、WTOの圧力と内部告発によって判明した人数は感染疑いを含めると1,000名弱だったという(旧聞に属する話ですが)事実です。
つまり、今回の香港デモの真相など、一切報道されていません。
そもそも、本当のデモの原因が何かということに対して、弊社の答えは、少なくとも台湾で行われた殺人ではないであろうというのが推測です。
専門家が否定する本当の話
実は、中国ではかなり活発化に民主化運動が行われています。
この起因は、地方の共産党幹部による汚職です。
その典型が土地取引に関するものになります。
中国ではご存知のように、私有財産の保有は認められません。
ですから、中国で商売で大きく儲けても、そのお金をなんだかんだと言って共産党に取り上げられるのはよくある話です。
具体的に不動産の話をしていくと、都市部と農村では不動産所有の制度が違います。
まず、農地に関しては、農家は不動産を所有することが認められていません。
あくまでも、農地は共産党が所有しているものになります。
地方政府が財源不足の中、何を行うかといえば、農民から耕作地をわずかばかりのお金で取り上げ、その土地を住宅やマンションにするのです。
そもそも、その土地を手に入れるのにタダみたいな値段で、しかも販売するときは市場価格になるのですからボロ儲けになります。
地方の共産党幹部は、濡れ手に粟で大金をつかむことになります。
しかも、農民に支払うべき土地収用代金の70%以上は未払いです。
誰が見てもやっていることは無茶苦茶なのです。
デモは全土で勃発している
習近平が主席に就任したときに目標に掲げたのは「汚職、腐敗を完全に一掃する」ということです。
なぜ、そんなことを言ったのかといえば、このようなことを共産党の地方幹部がやれば農民はどうなりますかということです。
ご想像通り、デモや混乱などが起こります。
状況は香港と一緒なのです。
実際に毎年、こういったデモや騒乱などは、中国では何万件も起こっており、決して香港だけではありません。
世界では、香港が大変なことになっていると大騒ぎですが、報道されませんが中国では日常茶飯事なのです。
一般人民が地方の共産党に対してこういった行動をするのは、中国政府にとっては「いつものこと」になります。
中国国内の事情など、全く報道されていなく、情報は確実に操作されているのです。
中国通とか言われる専門家が、この香港の騒動によって共産党も困っているなんて話をしますが、困っているも何も、香港でもそういったことが起こったか程度の話になります。
ただ、香港は自由主義社会ですので、情報が世界に筒抜けになっただけの話と言えます。
政府はデモには逆らえない
韓国では、前大統領が大量のデモ行進によって、政権が倒され政権が交代しました。
沖縄でも1万人デモに恐れをなし、国会周辺の原発デモを厳しく日本政府は弾圧しました。
大衆を扇動するような行動に対して、近年、政府の対策で成功した事例など世界では原発反対デモしか例がありません。
日本政府はこのデモに対して集会条例で対抗し、実質的にデモできないようにしています。
このような例外を除き、近年のジャスミン革命のように大衆の民主化要求に逆らうことはどんな独裁政権でも逆らうことができません。
つまり、政府は民衆の要求を呑まざるを得ないのです。
中国政府の人民の民主化要求に対する答え
中国でも、人民の民主化要求に対して、共産党は何もしていないわけではなく、地方の幹部を直接選挙で選ぶ選挙を実施しています。
地方といっても省レベルの話ではなく、中国では郷鎮制度という日本の市町村制度に相当するものがあります。
この郷鎮の首長や議員を民主化、つまり直接選挙で選ぶ制度を敷いています。
これは、共産党の推薦人10人を集めることができれば誰でも立候補できるという制度です。
ただし、省レベルの書記長、委員長レベルは相も変わらず北京から派遣されています。
彼らは、地方景気をよくして北京に栄転をすることを望んでいますので、地方の見せかけの景気だけをよくしようと躍起です。
そこに人民の気持ちを忖度する気持ちなどほとんどないというのが事実です。
香港の行政長官も北京から派遣された官僚であり、北京の方しか向いていません。
今回のこのような事態、つまり世界に向けて中国の失態を見せてしまったことで、彼女には出世の目がなくなったと言えます。
中国政府は瀬戸際に来ている
中国の共産党独裁体制に反対する勢力が弾圧によって消滅しているのは真っ赤なウソであり、今でも毎日200〜300件のデモや騒動が起こっているのが実態です。
報道が完全に操作されているということです。
デモの発生原因のほとんどは、地方の共産党幹部の汚職、腐敗ですので、習近平が就任早々に汚職、腐敗の防止を叫んだのは当然になります。
結局、これだけ大規模なデモや騒乱が起こっているので、本来、中国は経済どころの騒ぎではなく、この独裁体制が続くか否かの瀬戸際に来ているから不調なのだと捉えるべきです。
考えてみれば、ジャスミン革命が北アフリカから発生したときに、中国は上手く抑え込んだと評価されましたが、実際は、実態を隠しただけだったのです。
最新の情報は一切入ってきませんが、おそらくこの騒動が落ち着いているわけもないというのが種々の材料、ニュースから判断できます。
中国の今後
中国経済が下がっているというのであれば、意味が理解できますが、経済の信用収縮から中国経済が不振であるという話に全く同意できません。
民主化の波は中国にも押し寄せており、妥協を積み重ねった結果、独裁国家が結局どうなるかということは、歴史を振り返ればおわかりになるでしょう。
しかし、共産党も延命に必死でしょうから、今すぐに共産党体制が崩壊するという見方は間違っています。
どうしようもない状況が、これから20〜30年続くということです。
今後の香港の見通し
今、香港で起こっているデモを武力によって弾圧することは、中国共産党にとっては自殺行為に等しいわけです。
民主化運動が本気でできると思うのなら、とっくに武力鎮圧を行うでしょう。
しかし、ほかの地方ではいくら武力鎮圧しても、雨後のタケノコのように次から次へと民主化運動が出るのでキリがない、むしろ武力弾圧したら余計に激しくなるのは資料を見ても明らかです。
香港では何も起こらないというのが結論になります。
もちろん、小さな小競り合いはあります。
香港警察とケガ人
これは、おそらく香港警察が、このような緊張状態ですから、ケガ人を意図的に出している可能性はあまり考えられませんが、その可能性はあります。
そのけが人によって世論がどう動くかを見ているのだと、過去に起こったことを考え合わせると、可能性があります。
実際は、これだけの緊張状態ですから、ある程度のケガ人が出るのは必然です。
ただ、死者が発生すると、本土でも騒乱の緊張具合は高まりますので、できるだけ出さないようにするのが当局の姿勢でしょう。
死人が出る可能性がある武力鎮圧などは考えられません。
そんなことをすれば、中国の共産党独裁体制の崩壊になる可能性があること承知している香港政府は決して行わないでしょう。
どんなに大規模な騒乱が起こっても、香港政府、香港警察は何もできない、これが結論です。
実際に空港を占拠しても、強制排除できませんでした。
これは、香港の治安が悪い、無能だという事実を世界に示す恥さらしのことをやられても、面子を大事にする中国政府が何もできない事実をさらけ出した最大の失態です。
海外政府の反応
中国が一番気にしているのは、アメリカではなく、台湾です。
中国は建国70周年を先日迎えましたが、台湾の併合は最大の悲願です。
面子を大事にする中国では、このことは絶対目標です。
私たちが外部から見れば、今さら台湾を併合してなんのメリットがあるのだと思うのが普通ですが、中国では一度口に出したことは必ず実行することは、面子の問題ですから、この先、どんなに大国になろうとも台湾の併合を機を見て実施するでしょう。
この香港の状況が台湾にも飛び火して、中国に併合反対運動が全国的に起これば由々しき問題となります。
中国はアメリカよりも、台湾を気にしています。
米中関係の中で
一方、アメリカはトランプ大統領が通商交渉で圧力をかけ、議会は香港での人権無視に対して制裁を加えています。
この議会の行動は、現状を理解していません。
香港のようなことは中国本土では日常茶飯事であり、議会は中国のことを何も理解していないということを世界に露呈しました。
ただ、アメリカ議会の見方が標準的な世界の見方であり、現実を理解していないのは仕方のないと言えます。
中国国内で行われていることが満天下に知らされた場合、アメリカの民主党のほぼ支配下にある議会はどうなるのでしょうか。
それが大統領選前に知らされることになれば、民主党へのダメージは最悪でしょう。
トルコの情勢もアメリカ議会は間違えていると言えます。
ペロシが握る下院での民主党の立場は、どうなるのであろうかと思います。
ただでさえ、勝利が見えてこないウォーレンなどが大統領候補になった場合には、トランプ大統領の楽勝に見えます。
スキャンダルがあるとはいえ、まだ、バイデンのほうが民主党は戦えます。
これ以上の経済成長は中国には難しい?
中国の内情は、このようにひどいものであり、それが満天下に知らされてしまった場合は非常に不安定になるということです。
ただし、この中国の統制された内部情報が洩れても漏れなくても、中国経済が不安定になるのは必定です。
農家と都市部住民格差は拡大していますが、都市部の住民の生活は、毎年お給料が7%も上伸していますので安定し、デモを起こす必要がありません。
ただ、人民の9割である農家が困窮している状況で、これ以上の経済成長を求めるのは酷です。
ただし、この貧富の拡大に中国政府が本気で取り組めば、おそらくデモや騒乱は一掃されますが、これは非常な無理難題です。
金の動き
眼前で中国ができることは、金融緩和、つまり利下げです。
今年に入って、何度も預金準備率の引き下げを行っていますが、10月末に日本とアメリカの政策金利の下げが行われる可能性は濃厚です。
そのときに中国も一緒に利下げを行えば、金の価格はどうなるのかということです。
今の金は通貨価値(ドル価値)に左右されるのではなく、金利に左右されています。
世界的に金利が下がれば、金の価格は10月末に向けてどうなるでしょうか?
誰にでもわかる話です。
きちんと金利によって金の価格が動くと理解していればという前提条件が、当然付きます。
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