現在の金の上昇は低金利がキーワード
今回は今までの要約の要素がありますが、金が上昇するための条件について記していきます。
そもそも今、金が上昇しているのは「低金利」がキーワードです。
アメリカ国内の金価格とFRBの政策金利を同時に並べてみましょう。
上がドル建て金価格、下がFFレートになります。
6月から金利が下がる前に金価格が上昇しているのは、トランプ大統領がFRBに「金利を下げろ」とプレッシャーをかけたからです。
このように、金利が上昇すれば金価格も上昇するというのが、今の金価格を知るための術になります。
金利を見ておけば、金の価格の動向はわかるのです。
金価格の変動要因
金価格の変動要因は、さまざまありますが、時代時代によってその割合は変化します。
今回は、おさらいを含めて2つのことを説明していきます。
金の変動要因の主なものは2つです。
① ドルの上下動
② 金の上下動
この影響は半端なく、ほかのトランプ大統領の暴走やブレグジットの影響などと比べれば100:1くらいの関係性にあります。
影響力はドル、金利の上下動が100でブレグジット、トランプが1です。
トランプのツイートの影響は?
本当にトランプ大統領の発言でマーケットが動くのであれば、ツイートのたびに金は乱高下するはずです。
しかも、日本時間の早朝にツイートすることが多いのですが、金マーケットが急変動しているのをほとんど見たことがありません。
トランプ大統領がツイートをするのは執務時間が終わり、自分の寝室のこもったときです。
ホワイトハウス関係者はこの時間を「悪魔の時間」と呼んでおり、トランプ大統領が何を言い出すかわからない時間帯のです。
これが日本時間の深夜から早朝にわたり、トランプ大統領の言動にハラハラしているホワイトハウス関係者は寝れない、地獄のような時間です。
トランプ大統領の言動で動くのであれば、もっと日本時間に金価格は動くはずですが、動いていません。
現在の金価格は金利の上下動で動いている
金の価格の大部分は①ドルの上下、②金利の上下で動いています。
ここ数年に限っては、②の金利の上下です。
その根拠は、ドルの2019年の動きは変動率が年初から3%程度しか動いていませんが、金利は40%近くも動いています。
影響力は、①のドルよりも②の金利の上下が金の価格を動かしているのです。
以下はいつものグラフです。
ご覧のように金利(黒)が下がれば、金(青)は上昇しています。
このように、金が上がる条件の第一番目は金利なのです。
この金利がアメリカが10月末に下げる予定が濃厚で、日本も追随する可能性が高いのです。
ヨーロッパは9月に利下げをしています。
金利が下がれば金は上昇するのだから、日米欧の先進国連合が金利を協調して下げれば、金の価格はどうなるのか?
何も考えなくてもわかる問題です。
ドルの上下動と金価格の関係は
下記は黒のドルインデックス(右軸)と青の金になります。
黒い線の目盛りが96〜99くらいのレンジにあり、金が1200〜1500のレンジにあることを見ても、黒のドルが全く動いていないことがわかります。
金が動く主要因であるドルが全く動かず、金利は年40%も動いているのですから、今は金利が金の主要の変化要因になっているのです。
ただし、今は金利が動いているので金利の動きにフォーカスされていますが、ドルが動くなるようになれば金の動きはドルにフォーカスされます。
金価格の暴騰には何が必要?
金価格が暴騰するのはどういったことが必要でしょうか?
現在の状態は、金が上昇しているという状態であり、金が暴騰している状態ではありません。
暴騰という表現は、金の価格が現在5,000円だったのが、1ヵ月のスパンで5,500円になってしまったということを一般的には暴騰と言います。
1ヵ月に10%以上上昇することを暴騰と言うのが通常です。
そんなもの何も根拠がないという人は多数いると思いますので、書いておきます。
日本では、特に急激に円高になるケースでは為替介入が期待されます。
あの介入には規準があるのです。
それが10%以上1ヵ月の間で進行したら、やりすぎということで実弾が飛ぶのです。
そのほか5%以上進行すると、財務大臣あたりが「円高が進行しすぎ」と表明します。
以降7%、8%、9%と円高が進行していくたびに内閣の誰かがマーケットに向かってメッセージを発信します。
金利が動いているからフォーカスされているだけ
5%円高が進行しただけでも、いわゆる専門家連が「介入しろ」と主張していますが、無知を天下にさらしているようなものです。
介入するのは、円高が1ヵ月に10%進行したときだけです。
だから1ヵ月に10%の高騰や急落は、正解と考えても瑕疵はないと考えています。
話が逸れましたが、ドルだって今は動いていませんが、金利のように1年の間に40%も動いた時代があったことを忘れてはいけません。
あくまでも、今は金利が動いているから金利にフォーカスされているのです。
さて、最初の問題に戻りましょう。
では、1ヵ月に10%以上金が高騰するのはどういうときでしょうか?
この質問は、きちんと理解していれば回答は非常に簡単でしょう。
ドルと金利の関係
回答は非常に簡潔で、このまま金利が下がり、ドルが下落すれば1ヵ月に10%以上金が上昇するでしょう。
でも、現在はその状況にありません。
なぜなら、現在の状況は金利が下がっていけばいくほど、ドルが上昇するのです。
上記は金利(黒)とドル(青)になります。
ご覧のように青が上昇していくと黒は下がっていますよね。
これが黒がもっと下がり青も下がっていけば、金は暴騰するということです。
つまり、金が暴騰する条件とは、ブレグジットもトランプも関係なく、ドルが下落すればいいだけなのですが、ドルは現在、金利が下がれば下がるほど、上昇する状況において、金利もドルも同時に下がるなん条件下にありません。
それで「高騰する、高騰する」なんてあり得ません。
しかも、日本やヨーロッパの金利はすでにマイナス状態です。
これ以上の利下げ、アメリカのようにあとゼロ金利まで、2%近く余裕がありますので、その辺までは可能性がありますが、日欧がここから10%も金利を下げるのは、現段階では考えられません。
つまり、金利の下げなんてある程度見えているのです。
金の頭などもうない
金と金利が相関しているのであれば、金の頭などそれほどもうありません。
ところが、ドルは上記のグラフでは90〜100の水準にあるのですから、半額になっても50です。
50%の変動が見込めるとは言え、見えていないだけかもしれませんが、今のアメリカにはドルが半額になるような要素はどこを探してもありません。
もし今後、アメリカの金利がゼロ金利になって、ドルが半額になれば、円建て金は軽くグラム当たり1万円を窺うような展開もあるでしょうが、その可能性がないのに、それを「ある」と言いうのは、単にデタラメです。
現時点のアメリカの金利が言って、1.4か1.2があらゆる経済指標を眺めても妥当な水準です。
現行のアメリカ金利1年物が1.6とすれば、20%の金利の下落です。
単純に計算して、現在金価格が5,000円とすれば、20%増しになりますので、6,000円になるでしょう。
しかもその間に、ドルは3%くらいは上昇しますので、高値はあっても6,000円手前というのが極めてロジカルな話なのです。
新興国の金買いも眉唾
新興国が金を買っているという話はウソです。
そもそも地球上に何トンの金があるかもわからないのに、その話に信憑性があるかの問題です。
ベースの数字がわからないのに新興国が買っているから金が上昇する、一見ロジカルに聞こえますが、新興国が全世界の埋蔵に対して何パーセント買っているのかが問題なのです。
全体の在庫のうちの0.00000000001%かもしれませんし、10%かもしれません。
在庫の10%だったら価格は3割上昇しますが、そんなことないでしょ。
だから、新興国の買いなんて、一見本当そうに見えますが大ウソなのです。
何度も繰り返しますが、今の金を見るのであれば、金利を見ればいいのです。
先進国の中央銀行が金利を下げる可能性があるのに、今の金に売りの選択肢があるようには思えません。
ここまで材料が揃っている金を買うか、買わないかの選択はあなた次第です。
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