アメリカ経済の実態
トランプ大統領が仕掛ける貿易戦争の結果、世界的な景気が減速している…。
これが世界的なコンセンサスになっていますが、アメリカの景気は絶好調です。
なぜ、専門家たちが「アメリカが減速しているから、世界的に景気が悪い」と言うのかを検証します。
上記は、アメリカのGDP総額です。
一般に報道されるように、去年よりいくら伸びたかのパーセンテージではなく、アメリカ国内で1年間にいくら稼いだかの総額になります。
2019年は終了していないので、グラフにはまだ反映されていませんが、2018年まではずっと成長していたのがわかります。
ちなみに日本経済は?
こちらは日本です。
1994年以降、経済が成長していないのがわかります。
これはドル建て表示ですので、円建てにすると伸びているようには見えますが、ドルでは伸びていません。
こうやって見ると、アメリカと日本のどちらが景気がよいかと聞かれれば、迷わずアメリカと言うでしょう、アメリカは2018年まで右肩上がりの成長をしているのに、日本は横ばいですから。
参考までに、円高になればなるほど日本は成長しているように見えます。
なぜなら、上記のグラフは円建てで円高になれば、当然、国の成長は伸びているように見えます。
ですから、アベノミクスの2013年以前に異常に成長しているように見えるのは、円高のためです。
東日本大震災が2011年で、このときも1ドル70〜80円の円高です。
アメリカの景気は悪いのか?
社会一般は、2019年のアメリカの景気が悪いと言っています。
アメリカのGDPが悪いということは、一番最初に出したグラフの右肩上がりが止まり、ダウンすると捉えるのが通常です。
一般的な国語的解釈にすれば、2018年にアメリカが稼いだお金が2019年のほうが少なくなるというのが一般的な解釈です。
こういう状態になれば、「アメリカ経済は悪い」という意見にも賛同できます。
では、2019年のアメリカはどうなっているのかを話してまいります。
こちらは、一番最初のアメリカGDP総額ではなく、去年に対して4半期ごとに何パーセント成長したかというグラフです。
一番右端の2.3という数字は、2018年の4〜6月期よりも2.3%アメリカの稼ぐ金額が増えたという意味になります。
アメリカの2018年の4〜6月期よりも、2.3%2019年の4〜6月期に稼いだという意味です。
これを一番最初のグラフに、2019年に稼いだ金額として上乗せすると、少なくとも1〜3月期が2.7、4〜6月期が2.3、7〜9月期も4〜6月期よりは減るでしょうが、去年よりもプラスでしょう。
10〜12月期は7〜9月よりも増えるでしょう。
この推移を見たとき、2018年よりも2019年のアメリカの稼ぐ金額は少なくなるというのが一般の専門家やそのほかの人たちの認識です。
だから、「アメリカの景気は悪い」と言うのです。
アメリカは18年より19年のほうが稼いでいるのに…
上記の推計がズレたとしても、間違いなくアメリカは2018年よりも2019年のほうが稼いでいます。
毎年稼ぐ金額が増えているのであれば、景気が悪いという表現が正しいのでしょうか?
あなたの年収が毎年100万円ずつ上昇しているのに、謙遜で「いやいや景気悪いですよね」と周囲には言いながらも、本心は間違いなく景気がよいと思っているでしょう。
もちろん、自分の実力と年収が見合っていないと感じている人は多くいるでしょうが、客観的に見れば、誰しもがその本人は儲かっていると認識するのと一緒です。
誰が見てもアメリカは儲かっているのに、専門家を筆頭とする人たちは「儲かっていない」と連呼しています。
これが転じて、アメリカは景気が悪いというコンセンサスにつながっているのです。
こうなる理由
こうなる理由は非常に簡単です。
ここで、前掲したグラフを再表示します。
これは前にも説明したように、GDP総額ではなくGDP成長率です。
去年の4半期ごとに出ているGDP総額に対して、今期10〜12月期が何パーセント増えたかというパーセンテージ表記になります。
上記によると、2018年を挟んで、2017年と2019年の成長率が鈍化しており、真ん中の2018年が異常に成長率が高い状態です。
もし、どうしてもアメリカ経済が悪いというのであれば、正しい表記は以下のようになります。
すなわち、アメリカ経済は去年よりも成長率が悪い。
ところが、言葉のプロであるメディアは、肝心要ところを省略して「アメリカ経済は悪い」と言ってしまっているのです。
大した問題ではないと思うかもしれませんが、金投資を行っている人からすれば大問題です。
日本語表記の問題
まず、日本語表記の問題から片付けます。
言葉のプロであるメディアが事実を正しく表現できないことが、皆さんが勝手にアメリカ経済は悪いと信じている根拠です。
参考までに、アメリカから直近で帰国した人が周囲にいらっしゃるのであれば聞いてみてください、「アメリカは不景気ですか?」と。
98%の方が「アメリカは景気がよい」と言うでしょう。
そのくらいアメリカ本土に滞在した人が感じる方が多いのに、メディアでは「アメリカは景気が悪い」と言っている神経が信じられません、言葉のプロであるメディアが正しい表現ができないのですから。
ともかく、SNSなどやるヒマがあれば、本を読んで言語能力を磨いたほうが絶対に自分自身のためになります。
なぜ景気の良し悪しで投資に雲泥の差が出るのか?
アメリカの景気がよいのであれば、株価は下がるはずです。
見方によっては「下がっている」と言う人もいるでしょうが、長いスパンで見れば誰もが一致することは横ばい、ないしは高値保合いというのが感想になります。
アメリカの株価になりますが、景気が悪いのであれば株価が下がっていると言うこともできますが、実際は下がってなどいません。
わずかに去年の末に急落しただけの話で、全体では下値を切り上げながらも上昇しています。
ここからでも、景気が悪いというのはウソっぱちというのはわかりそうなものです。
投資家にとって、株を持っている場合、景気が今後悪くなるのであれば利益のあるうちに利食いをして手元にキャッシュを置き、もう一度安くなったら買うという行動に出るのは当然です。
しかし、世間は景気が「悪い、悪い」と言いながら、株は下がっていません。
金の場合はどうか
だいぶ説明しましたが、今の金は金利で動いています。
金が動く要件はドルの上下と金利の上下になりますが、ドルは現状大きく動いておらず、金利がよく動いているので、金利を見ていれば金の動向はわかります。
ひと昔前まで、金利は景気が悪いと下がり、景気がよいと上がるのが一般的な認識でしたが、今の金利は全く違うのです。
従前の解釈は、金利を下げることは、景気が悪いという認識で、一度、利下げするとさらに景気が悪くなるので連続して利下げを行なわなければいけないと学実的にも一般的にも認識されていました。
ところが現在は、利下げをすればするほど景気がよくなるのです。
現在のアメリカは景気がよいのですから、本来は利下げの必要はありません。
でも、おそらく10月末にまたアメリカは利下げするでしょう。
利下げをすればするほど、アメリカの景気はよくなるのです。
利下げの解釈の仕方
今の経済は、例えば9月にインドやタイなどが緊急で利下げをしましたが、景気が後退するどころではなく、さらに景気がよくなっているのが現実です。
アメリカは、景気をもっとよくするために利下げをするのであって、決して経済が退行をしているから利下げをするのではありません。
通常は金の相場観の形成とは、景気が悪くなると金利が下がるので、株や債券などが利回りが得られるのに、ほとんど得られることがなくなるから、金投資にシフトするのが一般的な理論でした。
今は違うのです、アメリカは金利があるほうですが、日本やヨーロッパはマイナス金利なのです。
つまり、金利が存在しないので金が高騰します。
アメリカが利下げをすればさらに経済はよくなるのです。
今までの金であれば、景気がよければ金は売りだったのですが、今は景気をよくするために金利を低くすると解釈しなければいけないのです。
金買いの本当の理由
一般で言われている「景気が悪いから金は買いだ」なんて真っ赤なウソです。
本当のところは、景気をもっとよくするためにもっと金利を下げるはずだから、金は買いなのです。
景気をよくする手段としてはさらなる利下げなのですから、日米欧の中央銀行や政府が利下げを検討しているということは金はもちろん買い、そして景気が悪いから株は売りではなく、景気の拡大が持続するから株も買いなのです。
今、経済の学校でならった常識がガラリと変わっています。
すなわち、金利上昇は景気がよい、下落は悪いなんて一元的な解釈ではなくなっているのです。
わかりにくい説明だと思いますが、金利を下げれば下げるほど金の価格は上昇していき、株価も上昇するということに気づいたもの勝ちになっています。
今までの説明で今のマーケットを説明しようとすると、矛盾だらけになることをよく覚えてください。
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