巨大資本上位5位が独占するダイヤモンド市場!
昨今ビットコイン用語としてよく目にするキーワードに
「マイニング(ビットコイン新規発行に関する承認作業。成功すれば多額の報酬が得られる)」
があります。
マイニングとは本来ダイヤモンドをはじめとする鉱石の採掘を意味する言葉です。
世界中の女性を魅了するダイヤモンドですが、年間100万カラット以上採掘可能な採算性の高いダイヤモンド鉱山がある国は全世界でわずか9力国のみです。
そして優良なダイヤモンド鉱山の採掘権を獲得している企業は、ほぼ5社で占められていることをご存知でしょうか?
良質なダイヤモンド原石が得られる優良鉱山での採掘権を求めて、ダイヤモンド関連業者が熾烈な競争を繰り広げてきました。
現在世界で採掘されるダイヤモンド生産量の約7~8割は
「アルロサ」
「デビアス」
「リオ・ティント」
の5社で占められているのです。
最近では自国のダイヤモンド鉱山における採掘権一社独占体勢を見直す国、またジンバブエやボツワナのように国有化を進める国が増える傾向にあります。
しかしまだまだ企業独占のカラーが色濃く残るのがダイヤモンド採掘の現状であるといえます。
今回のコラムでは全6回にわたりこれらのダイヤモンド・マイニングに携わる巨大資本について順にご紹介します。
そこでまずはプロローグとして、意外と知られていないダイヤモンド採掘にまつわる実情について取り上げました。
はじまりはインドから!ダイヤモンド採掘の歴史
1866年にアフリカでキンバリー・ダイヤモンド鉱脈が発見されるまで、ダイヤモンドはインドやブラジル以外の土地ではほとんど産出されませんでした。
現在では世界のダイヤモンド生産の50%以上を占めるアフリカをはじめとして、世界中に複数のダイヤモンド鉱脈が発見されています。
ここではダイヤモンド採掘の歴史を紐解いてみました。
ダイヤモンド採掘の歴史は古代インドから始まった!
紀元前にさかのぼるとされる説もある、インド産ダイヤモンドの歴史。
実は長いあいだダイヤモンドはインド以外では採掘されないと考えられてきました。
ダイヤモンドは「キンバーライト」と呼ばれる岩石の中から採掘されます。
しかし、紀元前から1600年代中頃まで一定量のキンバーライトはインドの漂砂鉱床(鉱山からの土砂が堆積した場所)以外では発見されていなかったのです。
これらの原石は古くからインドのマハラジャたちに愛され、そして中近東、ヨーロッパ諸国に持ち込まれ王侯貴族たちの王冠やジュエリーを飾ってきました。
またダイヤモンドの硬度、そして安定した性質は工業用材料としても重宝されてきました。
ローマ時代の有名な自然学者プリニウスが「ダイヤモンドはこの世の全てで最も価値のあるものだ」と称えたことはよく知られています。
1866年南アフリカで巨大ダイヤモンド鉱脈発見
全世界のダイヤモンド供給を一手に引き受けてきたインド産ダイヤモンドは、主にコロマンデル海岸からオランダの東インド会社によってヨーロッパに持ち込まれてきました。
しかし生産量の低下により、その後新たに発見されたブラジル産ダイヤモンドにダイヤモンド産出地首位の座を明け渡します。
ところが1866年にアフリカ大陸で、インドやブラジルを凌駕するダイヤモンドの巨大鉱脈の世紀の発見が起こりました。
南アフリカ共和国とナミビアの国境を流れるオレンジ川の中流に位置する現在のグリカランドウエスト、当時のケープ英国領植民地で発見されたダイヤモンド鉱脈です。
発見後またたく間にこの地は世界中からダイヤモンド・ハンターを引き寄せる一大ダイヤモンドシティとなりました。
現在もキンバリー一帯はダイヤモンド採掘の主要拠点であり、「キンバリー鉱山博物館」や史上最大規模の採掘跡「ザ・ビッグ・ホール」には観光客が多く訪れる人気スポットとなっています。
ダイヤモンド市場の覇者デビアス誕生
グリカランドウェストでのダイヤモンド・ラッシュが沸き起こる中、1888年にのちのダイヤモンド市場を支配するデビアス社が誕生します。
その立役者が首相にまで上り詰めたイギリス人起業家セシル・ローズです。
ローズはキンバリー鉱山のダイヤモンド採掘に乗り出し、ロスチャイルド財閥から出資を得て、1888年に現在のデビアスの前身となる「デビアス合同鉱山株式会社」を設立したのです。
その後セシル・ローズの失脚などの様々な理由から、オッペンハイマー財閥の手にゆだねられたデビアスは、またたく間にダイヤモンド市場の90%を支配する事実上の独占企業となりました。
世界中で発見されるダイヤモンド鉱脈
ダイヤモンドの成分や生成される過程、地球内部のマントルから地表近くに押し出される仕組みが分かるようになると、地質学や鉱物学の見地から鉱脈を発見することが可能となりました。
アフリカではアンゴラ、コンゴ、ジンバブエ、ボツワナ、ナミビア、タンザニアなど次々に大鉱山が見つかり、その後ロシアやオーストラリア、そしてカナダにもダイヤモンド鉱脈が発見されました。
デビアス1社独占体制からの脱却
新しい鉱山の発見が相次ぎ生産量が大幅に増加したことや販売体制の多様化などによって、以前のようなデビアスが1社独占体制を維持することは次第に難しくなりました。
現在ではデビアス社の一社独占体制は解消されましたが、とはいえデビアス発ダイヤモンド供給量は業界トップの地位を占めています。
まだまだダイヤモンド取引、宝飾業界における同社の影響力は強大です。
ダイヤモンド生産は5大ダイヤモンドメジャーがリード
では実際にダイヤモンド採掘はどのように行われているのでしょうか。
セシル・ローズたちのように旧宗主国が自国の植民地で自由に採掘がおこなえた時代とは異なり、原則的にダイヤモンド採掘会社は鉱脈を探すための探査権、およびダイヤモンドを採掘するための採掘権を獲得する必要があります。
そして首尾よく鉱脈を発見することができたら、実際にダイヤモンドを生産するための採掘権を得る必要があります。
採掘権を得ることができてはじめてダイヤモンドを採掘する権利を手にすることができるのです。
もちろんダイヤモンド鉱山採掘権を所有することによって、産地国側の政府に対し鉱山使用料としてロイヤルティーを支払う必要があります。
また産地国政府と共同出資でダイヤモンド採掘企業を開業するケースもあります。
たとえばデビアス社のケースを例に挙げると、ボツワナ政府とはデブズワナ社、ナミビア政府とはナミデブ社を共同出資によって立ち上げダイヤモンド採掘を行ってきました。
そして前文でお伝えしたように世界のダイヤモンド生産の大半は、優良なダイヤモンド鉱山の採掘権を所有している5大ダイヤモンド・メジャーによって占められています。
そして主要ダイヤモンド鉱脈を得ることに成功したトップ5企業とは、
ロシアの「アルロサ」
イギリスの「デビアス」「ペトラ・ダイヤモンズ」
オーストラリアの「リオ・ティント」
アメリカの「ドミニオン・ダイヤモンド」
です。それぞれが多くの関連企業を所有し、多くの従業員を抱える自国を代表する巨大資本となっています。
次回からはダイヤモンド採掘企業トップ5をご紹介!
古代ローマの時代からインドから運ばれた神秘の宝石ダイヤモンド。
ご紹介してきたようにダイヤモンドをめぐる歴史が劇的な変化を迎えたのは、アフリカを中心とした優良鉱山の発見が相次いだ事、そしてダイヤモンド市場の覇者デビアスの誕生によってでした。
しかし現在では、事実上デビアス社が世界のダイヤモンド流通のコントローラーというポジションから退いたことを筆頭に、ダイヤモンド採掘を取り巻く状況は大きな変化を迎えています。
ダイヤモンド原石生産量の増大のほか、卸・販売ともにチャネルが多様化したことや、キンバリープロセス(原産地証明書の添付義務。紛争ダイヤモンド解決がねらい)の採用、そして消費者のエシカル志向の影響など、ダイヤモンドの価値基準は大きく変わろうとしています。
従来の4C(カラット数などダイヤモンドのグレードを決める基準)の評価のみがダイヤモンドの価値を決める時代が終わりを告げようとしている現在、ダイヤモンド採掘企業は次の時代の可能性を探り、様々な試みを続けています。
このコラムでは、ダイヤモンド生産の頂点に君臨するトップ5企業「アルロサ」「デビアス」「リオ・ティント」「ドミニオン・ダイヤモンド」「ペトラ・ダイヤモンズ」を順にご紹介いたします。
【ダイヤモンド採掘企業TOP5徹底解剖!】
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