来年アメリカが好調になる理由
トランプ大統領もパウエルFRB議長も「来年は歴史的な年になる」と明言しています。
これは本コラムで今春以降から言っていることであり、特段驚くに当たりません。
理由は今までに散々説明してきましたが、今回はこれに関して解説していきます。
まず、経済というのは、去年をベースに今年の成長が決定されるものです。
2018年は、2017年末に決まった税制改革によって法人減税などが施行され好調な一年でしたが、今年2019年は景気を押し上げる「材料」がないので、去年よりも不調な一年になりました。
つまり、今年が悪い年になるのは自明だったのです。
ただし、付け加えておけば、絶対値ベース、つまり比較する数字ではない場合、アメリカ経済は好調でした。
世間一般で「今年の経済成長は貿易摩擦の影響で悪い」と言っているのは、去年と比較して悪いと言っているのであって、年間成長率が2%前後のアメリカは、決して悪くはありません。
世間では世界経済が悪いと言われているが…
アメリカ経済や世界経済が悪いと世間一般では言われますが、実態の生活水準が下がったかといえば、下がっていないと言えるでしょう。
日本の消費者信頼指数が最悪のレベルと言っていますが、これは去年の8〜9月に多くの自然災害があり、年末はその消費手控えで盛り上がっているので、統計上の数字は去年よりも悪いと出るのです。
でも、実際には生活レベルは下がっていないのですから、この統計と実態で乖離が出ています。
消費増税の影響は絶対値を見ると影響はそれほどありません。
今年の景気が悪いというのは、比較数字(相対値)であるからであり、絶対値で見ればよいのです。
来年はどうなるかという命題に対する答え
来年はどうなるかという命題に対する答えは、絶好調になるということです。
今年の経済指標は、どれもこれも低調そのものでした。
今年低調であれば、来年は比較数字においてはよくなるのが必然です。
加えて2018年は減税という材料があり、2020年は世界の経済大国1位と2位の貿易摩擦が解消したのですから、景気がよくなる材料があります。
日本はどうなる?
日本の景気は、実は皆さんの実感以上によくなっています。
増税後に今まで景気がよくなったためしがないということを勘案すれば、本気で今の状態は景気が悪いと信じている人が多数だと思います。
でも、現実の生活を考えてみれば、去年よりも生活が悪くなったと感じている人はほとんどいないはずです。
消費税の2%増税で、1000円の買い物をして現実に20円の値上げしかないと考えると、「なんてことはない」と思う人が多数だと思います。
おまけに2%の還元もあると思えば、買い物の量を減らすこともほとんどないでしょう。
むしろ、本当はアメリカより好調な日本が、さらに補正予算を26兆円も組んでしまえば、アメリカ以上に成長してしまう可能性もあります。
なによりも、この円高でも貿易量は減るどころか増え、日経平均も上昇中です。
以前ならこれだけ原油高になれば景気の下押し効果が見られたのですが、今年はそんな報道が一切ありません。
アメリカもよいけど日本はそれ以上によい、これが現時点での見通しです。
大統領選と金利
金に関しては、景気がよければ価格が下がるのが通常です。
今の金価格は金利に左右され、FRBが利下げを見送り、今後金利の上昇が見込まれます。
しかし、来年は大統領選挙の年です。
現職の大統領は、金利が安いと再選が近づくので金利安を望みます。
これはトランプ大統領に限った話ではありません。
トランプ大統領が問題なのは、それを露骨にFRBに要求することです。
歴代の大統領は、FRB議長と隠密に会談して要請しているだけの話で、中身は変わりません。
2020年の金は?
FRBには失態があります。
去年の年末に株価が急落した原因はなんだったのかを、もうお忘れになった方もいらっしゃるかと思います。
FFレートの誘導目標をトランプ大統領が上げるなと命じていたのにもかかわらず、FRBが金利を上昇させ、景気を腰折れさせました。
この現実を見れば、今年景気が過熱しても、FRBが金利を引き上げることができるか否かになります。
景気が過大に過熱したら、金利を引き上げるかもしれませんが、想定内の景気拡大なら引き上げない可能性のほうが高いわけです。
となると、金もまた最高値を更新する可能性があります。
理由は日欧で低金利が続き、アメリカでも常態化するからです。
そうなれば国債投資に妙味がなくなり、結果として金利がつかなくても値上がりが見込める金に資金が流入することは自明でしょう。
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