日本の株価が高い理由
株価は新値を窺うような姿勢を見せ、金は史上最高値更新、これは規定路線であり、なぜ金が新値を更新すれば売り、株価が新値を更新すれば売却ないしは新規売りを仕掛けるのか意味がわかりません。
日本の株価が高い理由は非常に簡単です。
皆さんの中には、10月から消費税を引き上げたから過去の例にならい、景気の下押しする圧力になるのではないか?
秋口に関東地方を襲撃した台風によって、その消費マインドが落ち込んでいるのではないか?
そもそも私自身のお給料が上がらないのに、なんで日経平均は上昇するのか?
なんて、ことをほとんどの人が考えています。
日経平均に関しては悲観的な見方を去年の中頃まで取っていましたが、それ以降は強気一貫です。
理由は、非常に簡単なことなのです。
日本のマネーサプライ
以下のグラフは日本のマネーサプライ、M2というものになります。
マネーサプライとは、日本語に訳せば明らかですが、お金の供給量です。
日本銀行はグラフの通り、去年の11月からお金のバラマキを増やしています。
「これで景気がよくなるの?」と思いの方が多いと思いますが、これはアベノミクスを始めた当初と、2013年4月の黒田バズーカ―という超金融緩和を行ったときと同じ現象です。
上記はアベノミクススタート時のマネーサプライの推移になります。
第二次安倍政権誕生は2012年12月になり、黒田バズーカという超金融緩和は2013年4月からです。
2013年3月から4月にかけて、大きくマネーサプライの量が増えているのがおわかりになると思います。
安倍政権発足のときから、黒田バズーカを行ったときの抽出になります。
青い線はマネーサプライ、黒い線は株価です。
2012年12月には、1万円そこそこの株価が2013年3月には1万2000円になり、4月から6月までは1万6000円になってしまいました。
つまり、安倍政権発足が12月から3月までの4ヵ月で2000円しか上がらなかったのが、2013年4月から金融緩和を本格化させると、3ヵ月で4000円上昇してしまったのです。
このように見ていくと、金融緩和の影響は甚大であり、この11月に貨幣の供給量を増やした日銀が本格的に株価を立ち上げようとしている意図がおわかりになると思います。
このマネーサプライが前年比で5%を超えるような供給になっていけば、株価は下がりません。
つまり、2020年の日本の景気は非常によくなります。
長期金利の推移
金のマーケットでは金利も重要だという話をしてきました。
では、現在の長期金利の推移を見ていきましょう。
現在の日本銀行は、日本国債10年物金利を0%に近づけようとしています。
9月から見ていると、金利を上昇させているのは明らかです。
これは、金にとってはあまりよくないことですが、皆さんにとってはよいことです。
もちろん、企業の経営者や不動産などに投資をして、借金をしている人にとっては金利負担が増えますので、思った以上に借金をしている人にとっては、金利負担が苦痛になっているはずです。
金利を低下させるのは、企業経営者や不動産投資などの投資を行っている人には、パラダイスのような世界です。
10〜30年の長期にわたって借り入れをする人にとっては本来5%以上の金利を支払わらなくてはいけないのですが、それが1%台なのですからパラダイスです。
低金利の最大の被害者は庶民
ところが庶民の生活にとってはどうでしょうか?
下記は日本のインフレ率になります。
お給料は据え置きで、物価は毎年0.5%程度上昇すれば、生活が苦しくなって当たり前です。
インフレ率0.5%とは、100万円の貯金が翌年には99.5万円の価値になるということです。
たいていの場合の経済は、この預金にインフレ率と同等の利子を付与するのですから、銀行利子は0.01とかあってないような金利になります。
おまけにそこから所得税を取られれば、あってないような利子になることは想像がつくでしょう。
つまり、庶民の生活は毎年困窮していっているのが実際です。
企業は最高益なのは、金利が安いことの恩恵を最大限に生かしているからです。
一方の庶民、大衆は、金利が安いことに最大の被害者になっています。
皆さんが、生活が豊かにならないと感じているところはこういうところにあるのです。
汗水を垂らして働いても、そのお金は放置していくと価値は低下してしまいます。
そのお金を借りている企業や不動産などの投資者は、金利安の恩恵を最大限に被っているのです。
庶民の暮らしのほうをよくするためには?
これを逆転させるのは、非常に簡単です。
金利を上げれば、庶民の暮らしがよくなり、企業や投資家は、金利負担が増えることによって経営が苦しくなります。
要するに今までの社会、日本の失われた20年、30年とは、企業経営者や投資家が最大に優遇を受けていたのですが、金利を上げることによって庶民の生活がよくなるのです。
例えば金利が5%、給料の昇給が3%、インフレ率が3%としましょう。
この場合、給料の昇給とインフレが一緒なので、実質の所得はお給料の額面が増えても変わりません。
しかし、その可処分所得の残余の金額は預貯金に回すことができます。
今までは金利ゼロで物価だけが上昇していたので、預貯金などをしても仕方がない部分がありました。
なぜなら、物価上昇(インフレ)の分だけその預貯金の実質の金額は減額していたからです。
今回の場合は預貯金の金利が5%で、本来庶民が受け取る金額を企業や投資家が受け取っていたので、庶民は景気がよいと世間が言っていても、悪いように感じ取っていました。
この5%を庶民が受け取れた場合は景気はどうなりますか、という簡単なことなのです。
そして、長期金利は上昇してきています。
この金利を上昇させれば、企業経営者や不動産投資家で即倒産や破産をする人は激増するでしょうが、この人たちは本来、私たちが受け取らなくてはいけない金利を不当に受け取っていただけの話ですから、同情の必要はありません。
低金利の恩恵がもたらした勘違い男たち
20年も30年も低金利の恩恵を受けていて、金利が上がれば倒産する人は、経営や投資のセンスがないので仕方がないと言えるでしょう。
むしろ、この10〜30年の間に人がうらやむほどの財産を築けなった自身に責任があります。
この金利の搾取は合法的ですから罪に問えませんし、その構図に民主党あたりがきちんと気づいて政策提案を行えば、これほど長い庶民の不況はなかったでしょう。
人から施してもらって、その間に大きく稼げないのはその人の能力不足ですから、完全なる自己責任です。
この低金利の影響を受けて大金持ちになった孫正義などは典型的な勘違い男なのです。
低金利が永遠に続くと彼は思っているから、投資をするために借金を重ね、クビが回らなくなったのが昨年の決算です。
その上に金利が上昇すれば、多分即死でしょう。
ゴーン容疑者も同様、要するに人の犠牲の上に彼の成功はあったのに、それを無視して自分だけ儲かればよいという姿勢でした。
彼の功績とは、結局日本の低金利のおかげが一番の要因です。
安倍首相の思惑と日本銀行の思惑
なぜ、こういう話をするかといえば、日本のGDPの6割は個人消費であり、安倍首相の性格を考えれば、おそらく企業は充分に優遇した、日本を60〜80年代のように活気づけるのには金利を上げるしかない、という考えに最近の言動をみると思うのです。
現に日銀は長期金利の誘導目標を上げてきており、マネーサプライを増やしにきています。
財政的刺激も26兆円もやる必要がないのに行っている。
ただし、金利の急激な上昇は企業や投資家の即死者続発になりますので、社会の不安定化を招きます。
ですからマネーの供給は増やし、金利をゆっくり上げるようなことをやっているのです。
その考えを吸収できないのは、この長期停滞の原因を作った日本銀行です。
相も変わらず金利を引き上げることに慎重で、むしろこの低金利を続けたいという思惑を至るところで発信していると感じます。
またもや日本銀行の機能不全が日本経済復活の妨げになっているようです。
金利上昇が始まれば日本経済の復活は近い
この金利の上昇が始まれば、日本の経済復活の日は近いと思います。
当面はマネーサプライと財政的刺激を続けることが続けば、日本の株価は上昇するでしょう。
そして金利を引き上げれば、おそらく庶民の景気は劇的に改善するでしょう。
金利生活者がいっぱいいるほうが経済は活性化するのです。
現実的に80年代の日本は金利生活者がたくさんいました。
それでもバブル経済が起きたのです。
金利を上げること、これが日本経済復活の要件です。
金について
最高値を金はドル建てで更新しています。
しかし、この値段は金利安によって招かれたものです。
この金利安は当面続くというのがコンセンサスになりますので、最高値を更新してある程度値段が落ち着けば、また上値を更新します。
金利が上昇したら、今の金の価格は砂上の楼閣になるでしょう。
コメントを残す