金は現金化の動きに注意すべき|アメリカの株式市場の急落

やっと来た!

2月24日の天皇誕生日の振り替え休日に、アメリカの株式市場が急落しました。

下落幅は3.56%であり、アメリカ株の押し目が通常1回で10%程度と考えると35%も1日で動いてしまいました。

これは急落といってもよい形であり、今後の展開を考えなければいけない状況です。

マスクを着用した人が目立つので感染者こそが経済にとって問題と感じてしまうが…

当コラムが1月から新型コロナウイルスの問題に関連して、感染者数ではなく生産性の問題で世界の景気が低迷し、結果として株価が暴落するといってきた通りの展開です。

世界的な生産性の低下の中、株価が特にアメリカを中心に新値を更新するのはおかしいことではないかと考えていた方は多かったでしょう。

こういう急落場面はいつもそうですが、いつ来るのかさっぱりわかりません。

今回の場合、日本のGDPでは急落せずにIMFのWEO(世界経済見通し)の発表から急落しました。

これをどのように考えればいいのかお話ししていきます。

問題は感染者数ではなく生産性

中国国内にも工場を持つ台湾の鴻海

当コラムで再三にわたって指摘しましたが、このコロナウイルスの問題は感染者数ではなく生産性だということです。

例えば、自動車の部品はものすごい点数になり、日本車を作るのには日本の中小企業の生産だけでは間に合わず、世界各地で部品を製造しています。

昨今では、アイフォンが中国で製造していることから、中国の製造工場が動かず売上減は免れないとアップルが発表したのと同じです。

肝心なことは、アイフォンの製造は確かに台湾の鴻海(ホンハイ)で行っていますが、部品の製造は日本や台湾、中国、韓国などで行っています。

その組み立ての最終拠点が中国なだけなのです。

ここから類推されること

マスクの原材料である綿花

ここから類推されることは、日本製のスマホも廉価な中国製のスマホも、極端な供給不足に陥るということです。

アイフォンと日本のスマホが機能的にそんなに差があるかと言われれば、おそらく共通の部品があるでしょう。

自動車にしてもスマホにしても部品は星の数ほどあり、その製造は世界各地です。

1ヵ所でも機能しなくなれば、アイフォンが完成しないように、自動車を筆頭とする多くの工業製品が完成しません。

こうした我々の日常生活に必要なものが大量にあるということであり、これで経済成長が通常通りのわけがないのです。

現在、マスクがなくて皆さん右往左往していますが、これも原材料である綿などの産地はインドやパキスタン、中国となり、いずれ不足するのは目に見えているわけです。

日本は製造をしていますが、世界が競って製造すればたちまち原材料不足になります。

ただし、石油化学商品のナイロンなどがありますので、事態が混とんとしないだけの話です。

ともかく、経済が成長しないのに株価が新値というような事態は長続きしません。

ですから、今回下がったのは常識外れのことではありません。

加えて生産性の問題は、ここから1ヵ月から3ヵ月以上はかかります。

金の価格はどうなるか?

次回のFOMCはどうなる?

現在アメリカの1年物金利は1.37%(2/24引け)、そして現在のFRBの誘導目標金利は1.75%です。

乖離が0.38%もありますので、次回のFOMCにて利下げが行われることが確実です。

今回の場合、いつもの変動幅0.25はすでにほぼ確定的ですが、今0.38もありますので、予防的な意味合いを含めて、2段階引き下げる可能性があります。

つまり、現段階の予想では1.75から1.5に誘導目標を変更するのは確定的で、それを一気に1.25まで引き下げる可能性が現実味を帯びてきています。

この場合、金の変動要因②金利の上下動において金利が下がれば、金の価格が上昇するのは必然になり、金の価格が現在新値であるのはある意味当然です。

しかし、これは誘導目標金利が1.75から1.5になることを織り込んでいる最中であり、1.25までは織り込んでいないと思われます。

2月24日の株価の急落によって、織り込みつつあるという見方もできますが、それはまだ定かではありません。

こういったリスク回避の動きになってくると…

リスクを前にして投資家が考えることは…?

こういったリスク回避の動きになってくると、こんな危なっかしいマーケットにお金を置いておくと自分の財産が減るという動きが出ます。

今回の場合、株がこれだけ下がるのは、皆一気に株を利食いしているからです。

株を利食い、すなわち現金化することによって自分の財産の保全を図るのです。

そして、銀行預金と債券を保有することは経済学的には意味が同じですので、債券を皆一斉に買います。

ところがその債券も危なっかしいという事態になれば、皆債券も利食いし出し、債券価格も暴落します。

つまり、金利は急騰することになるのです。

金利が急騰をすれば余計に株価が下がり、負のスパイラルのスタートです。

金利が急騰すれば…

今はリスク回避の現金化の流れ

現在の金の新値は金利の低下に伴い上昇しました。

金利が反転して急騰すれば金はどうなるか、非常に簡単な問題です。

金は暴落します。

現在、株価がこれだけ急落しているので、債券も新値を更新するのが通常なのですが、逆に債券の価格も下がり始めています。

裏を返せば、金利が上昇し始めているのです。

この動きは、投資家が株式市場からも債券市場からも逃げて(この現象を本来の「リスク回避」といいます)、現金化している兆候が見えます。

金は金利の低下によって新高値を更新しているので、反対に金利上昇の動きになれば急落するのです。

だから、もう金を買ってはいけません。

金をどうすればよい?

このあと金はどう動く?

では、今持っている金は手仕舞い、売却したほうがよいのかといえば、それは違います。

これだけの急落になれば、政府は企業活動支援のためになお一層の金利安を示現しようとします。

低金利で企業の設備投資を促し、景気を回復させるのです。

いったんマーケットが落ち着きを取り戻せば、金はおそらく低金利を背景に再び新値を更新するでしょう。

つまり、今回金が急落したとしても、安くなったところで追加の買いや、まだ買っていない人が買う場所になるのです。

金の買いごろは?

日本円建てなら5000円以下になったら買いごろ

言うまでもなく、金の価格が少なくとも10%以上下落しなければお話しにならないことはお忘れなく。

現在が1700ドルとすれば、1530ドルくらいまでくれば買ってもよいでしょう。

日本円でしたら、5000円以下というのが一つの目安ではないでしょうか?

あくまでも予測であり、当たるか否かは保証しません。

ただ、安いところを買うのが投資の鉄則です。


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