アメリカの金利が近年の安値を更新

新型コロナで騒ぐうちにアメリカの金利は最低レベルに

新型コロナウイルスの感染者数が増加しているようには見えますが、中国での伸び率は鈍化しています。

感染者数が減っているということは、ピークを過ぎたとも言えるでしょう。

ただし、トランプ大統領が騒ぎ出したことからもおわかりのように、アメリカでも感染拡大の兆候が見られます。

今回はこの間に、アメリカの金利が近年の安値を更新したことについて解説してまいります。

下記はアメリカ債券1年物利回りの推移です。

参照元:TRADING ECONOMICS

現在のFRBの誘導目標水準が1.75で、現在の金利が1.24なのですから、実質FOMCにて2回の利下げを織り込んでいるのです。

さらに価格面でいえば、以下のアメリカ国債10年物の価格のようになります。

2008年のリーマンショック、2012年の欧州債務危機、2015年のチャイナショックなどと並んで世界的な危機であることがわかります。

特に欧州債務危機、そしてチャイナショックと今回のコロナウイルス危機は同じ価格帯にまでなってしまっています。

世界的な危機なのだから、アメリカの1年物金利がトップのような金利になるのは当然です。

この金利に金はどのように反応するのか?

何度も解説していますが、金利が直近では最低になれば金は高くなるはずです。

金の変動要因は、

1. 通貨の上下動
2. 金利の上下動

だからです。

今回の解説は2の金利に相当します。

しかし、直近の金利は過去最低を記録しているのに、金の価格はドル建てで以下のようになっています。

参照元:TRADING ECONOMICS

金利が新値を取っているのに、金は新値を取っていません。

なぜかと言えば、理由は簡単で、金の変動要因には2つあり、1の通貨の上下動を考察していないから理論通りに行かないのです。

ではドルはどうなっているのか?

金利が最低なのに金が新値にならないのは、変動要因1の通貨上下動があるからと考えればいいのです。

下記はドルインデックスになります。

参照元:TRADING ECONOMICS

実効為替レートはリアルタイムでわかるものではないので、ドルインデックスで代用をします。

2月26日から2月27日にかけて、ドルは横ばいから若干の上昇気味でした。

ドルが下がれば金は上昇し、反対にドルが上昇すれば金は下がります。

26日から27日にかけてのドルインデックスの変動要因が0.002%だったのに対して、金利は0.047%の変動でした。

金利は0.047%の減で金の上昇要因で、ドルは0.002%の上昇で金の下落要因になります。

差っ引きで金は0.045%の上昇になりますが、27日で0.27%高になりました。

この異常な相場の要因

上記の説明はおかしいじゃないかと感じる方もいらっしゃるでしょう。

本来金は0.045%しか上昇しないはずなのに、0.27%も上昇してしまったからです。

通常の相場であれば、金利とドルの上下動の分だけ金の価格は動きます。

ところが、本日の入電は通常の5倍(0.045であるはずが0.27)も動いていることが、異常な相場であることを物語っています。

この要因は、合理的に考えて2つ考えられます。

① 米国金利が直近の最低金利をつけたことによって金への資金流入
② 金の現金化の動きによって、下げ過ぎたことの反動高

ただし、①単体の材料でこうなるとは考えにくいのです。

なぜなら、投機家という人種は適正な値段にするために、高すぎると売り、安すぎると買うから、最終的には合理的な値段になるからです。

つまり、27日の外電は買いすぎたのだから、スペキュレーションをやっている投資家は高すぎるので売らなければいけないのですが、売られなかったと考えるのです。

②の要因を勘案すると…

金が安くなったときに買う準備はできていますか?

そこで、②の要因を勘案すると27日の引け値が納得できます。

すなわち、現金化の動きが強まっているということを以前に解説しましたが、今回はアメリカ金利が新安値を記録したことによって、今まで金に見向きもしなかった投資家が金を買ってきているために、通常の上げ幅よりも上になってしまったと考えるのが合理的といえるでしょう。

非常にわかりにくいと思いますが、今までの現金化の流れがいったん止まり、再び高値を目指している最中だということです。

こういった動きをテクニカルや内部要因では普通「二番天井の構成」といいます。

安くなったときの準備を今からお勧めします。

今こそ、買う準備ですよ!


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