元禄大判の特徴
元禄大判は、裏面の年代印をあらわす「元」の字が最大の特徴です。
この「元」の字は同時期に発行された元禄小判にも刻まれています。
このような年代をしめす印は「極印(ごくいん)」と呼ばれています。
江戸時代に発行された5種類の大判のうち、裏面に極印がある大判は元禄大判のみです。
流通時期
1695年(元禄8年)~1716年(享保元年)
発行枚数
31,795枚あるいは30,240枚の2説あり
表書き
表面のござ目はたがね打ち。
墨判は「拾両後藤(花押)」。十代廉乗および十一代通乗の二通りがある。
※花押とは簡略化された署名のこと。製造責任者のサインにあたる
裏書き
上部に丸に五三裸桐紋極印、丸と亀甲枠に五三桐紋極印、丸枠
その下部に後藤宗家当主の花押極印
左下部に小極印(判金の製作に従事した判師・延屋(のべや)、ないし金見役の験極印(しるしごくいん)
※現在見つかっている験極印の組み合わせは11「茂・七・九」「茂・さ・九」「茂・宇・九」「茂・山・九」「茂・坂・九」
側面
耳桐(大判10枚相当を重ねて丸に五三裸桐紋が打たれる)
削り取りの防止措置と考えられています
※一部の元禄大判の裏面には墨書が認められるものが見つかることがあります。
これは後藤一族や両替商らの鑑定結果をしるしたもので、多くは元禄大判を下賜された大名の名が入っています。
元禄大判のサイズと重さ
サイズ
長径15cm前後 短径9cm前後 厚さ1㎜前後
重さ
165g
※大判に墨で書かれた「拾両」は重さをあらわしています(44匁=165g)。
1両小判10枚をあらわすものではありません
元禄大判の金の含有量
金の含有率は52%前後
元禄大判の歴史的背景
元禄の改鋳のメモリアル金貨
元禄大判は、裏面(背面)の「元」の字を最大の特徴とする大判です。
その名のとおりに1695年に実施された「元禄の改鋳(吹替)」の際に作られました。
この元の字の刻印は、元禄大判と同時期に発行された元禄小判にも認められます。
発行枚数30,000枚前後ありながら、その後の改鋳によりほとんどが再利用のためつぶされることに。
現存枚数がわずかで大変希少価値が高い大判です。
元禄大判から勢力を伸ばした後藤一門
元禄改鋳によって大きく勢力を伸ばしたのが後藤一門です。
室町時代から続く金工職人の名門であり、かつ徳川家との密接なつながりから金貨の製造に重要な地位を占めてきました。
そして元禄の改鋳以後は完全に後藤一族の世襲制による一括請負制となり、大判・小判の製造工程をすべて掌握する存在となりました。
※徳川家と後藤家の密接なつながりについては第5回「万延大判」をご参照ください!
元禄大判の買取相場の目安
過去10年間の元禄大判の取引実績を検証してみました!大手古銭買取店5社の平均取引価格は「200~400万」となっています。
「ジャパニーズアンティークコイン」として認知度が高い大判小判。現在の金価格の上昇基調を受けさらなる高値が期待できます。
大判は「大黄金」とも呼ばれる通りに大名から家臣への恩賞、公家への贈答用として使われた特別な金貨でした。
本来は裏書に所持人が変わるごとに花押が押されてきましたがそれも江戸時代まで。
誰から誰に渡された大判なのか?など来歴が分かる書面が残ってませんか?
歴史的価値が評価されてさらに高額査定が期待できます!
大判小判マニアなら知っておこう!「2 意外と知らない大判小判の作り方」
大判小判の作り方=「鍛造」+「切断」
見た目はシンプルな形をした大判そして小判ですが、製造工程はいくつにも分かれておりそれぞれに担当する職人が存在しました。
主な作業工程は1826年(文政9年)「金座絵巻(文政小判などの製造工程を記した絵巻物)」にまとめられており、当時の作業風景を知ることができます。
ここでは意外と知られていない大判小判製造の主だった流れをご紹介します。
棹金
大判小判の製造は、まず決められた金純度の金と銀の合金インゴット(棹金)を鋳造することからはじまります。
佐渡金山などからの金のほか、古い大判小判や、輸入された金銀なども使用されました。
延金
竿金を焼きなましながら延べ板状に伸ばしていきます(=延金)。
最終的には大判小判の2倍程度の厚みになるまで薄く延ばします。
同時に不純物(銅)が含まれていないか、純度に過不足がないかのチェックが行われます。
切断
延金を決められた重量になるように切り分けます。
成型
大判小判の形になるように成型します。
同時にござ目、極印を打ちます。
色付(色揚)
大判小判と聞けば日本人なら誰しも金色に輝く姿が思い浮かびます。
そのため大判小判=純金と思われがちですが、一番品位が高い慶長大判小判であっても68%に過ぎません。
しかし大判小判の表面はあくまでも純粋なまでに黄金色に輝いています。
その理由は、表層部分の金純度が極めて高いからなのです。
この大判小判の特殊な構造は、「色付」色揚」と呼ばれる技術によるものです。
塩硝、硫酸鉄、ホウ酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸銅、塩化ナトリウムなど6種類もの化学薬品を使用することで、表層部の銀を除去し金だけを残す技術が確立されていました。
このように大判小判のあのゴージャスな黄金色は決してメッキなどではありません。
当時の匠たちの高度な金工技術によって成し遂げられた輝きなのです。
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