享保大判の特徴
参照元:三菱東京UFJ銀行貨幣資料館
享保大判は、慶長大判と同等の純度68%を誇る貴金属価値の高い大判です(1714年の改鋳)。
現存する享保大判はもはや博物館所蔵品のみとみなされてきました。しかし2014年に重大発見がありました。
三重県松阪市の旧家、旧長谷川邸の蔵にあった千両箱から非常に保存状態のよい享保大判を含む大判小判が発見されたのです。
当時は大きな話題を呼びニュースとなりました。
また享保大判は、100年以上にわたる長い流通期間を誇ります。
そのため大判座の責任者である後藤家の代替わりも、12代寿乗から17代典乗の6代にわたります。
流通時期
1725年(享保10年)~1837年(天保8年)
発行枚数
8,515枚(内15枚は金座で所有)
表書き
表面のござ目はたがね打ち。
墨判は「拾両後藤(花押)」。
十二代寿乗、十三代延乗、十四代桂乗、十五代真乗、十六代方乗、十七代典乗の六通りがある。
※花押とは簡略化された署名のこと。製造責任者のサインにあたる
裏書き
上部に丸に五三裸桐紋極印、丸と亀甲枠に五三桐紋極印、丸枠、その下に後藤宗家当主の花押極印
左下部に小極印(判金の製作に従事した判師・延屋(のべや)、ないし金見役の験極印(しるしごくいん)
※現在見つかっている験極印の組み合わせは「久・さ・竹」「久・石・竹」「久・坂・竹」「久・宇・竹」「久・七・竹」
側面
耳桐(大判10枚相当を重ねて丸に五三裸桐紋が打たれる)
※削り取りの防止措置と考えられています
享保大判のサイズと重さ
サイズ
長径15cm前後 短径9cm前後 厚さ1㎜前後
重さ
165g
※大判に墨で書かれた「拾両」は重さをあらわしています(44匁=165g)。
1両小判10枚をあらわすものではありません
享保大判の金の含有量
金の含有率は68%前後
享保大判の歴史的背景
公定価格が制定されたはじめての大判
享保大判は、大判の歴史の中ではじめて公定価格が設定された大判です。
その価値は「7両2分」と定められました。
実際にはほかの大判同様に武家や公家のあいだで献上・下賜品として利用され、庶民の目に触れることはまずありませんでした。
しかし、1874年の明治政府によって新通貨の材料として回収(「旧金銀貨幣価格表」に基づく)されるまでは、実際に利用できる「お金」だったのです。
発行枚数は8,515枚(内15枚は金座で所有)と非常に少なく、また金純度が高いため市場では高く評価されています。
作られた期間が長い
100年以上にわたって作られた大判だけあって、墨書(大判の表側の墨書き)も12代寿乗から17代典乗にわたります。
大判は表側の墨書がはがれてしまうと価値が認められませんでした。
そのため墨書がうすれると手数料を払って「書き改め」を依頼しなければいけませんでした。
金純度が慶弔大判並の高さを誇る
享保大判の一世代前は「元禄大判」という大判が使われていましたが、吹き替えによって大判や小判の品位がかなり下げられていたため、含まれている金の量はかなり少ないものでした。
それにより起こった経済的な混乱(インフレ)を改善するために、享保年間でも「吹替」を行います。
そのときに発行されたのが「享保大判」で、大判・小判の金品位が、初期の慶長大判と同等のものに戻されました。
享保大判の買取相場の目安
過去10年間の元禄大判の取引実績を検証してみました!
大手古銭買取店5社の平均取引価格は「400~1000万」となっています。
大判の表面には、金の純度を示す墨書きがしるされているのが大きな特徴。
この墨書きが美しく鮮明なものほど高値で取引されます。
ただし作られた当初の「元書き(ほとんど現存せず)」後藤家による「直し書き」以外の修正は、「後書」「加筆」として一段低い評価を受けますのでご注意を。
大判小判マニアなら知っておこう!「3 豆銀ってなに?三貨制度の基本単位について」
江戸時代の貨幣制度は「金・銀・銅」
江戸時代の貨幣制度である「三貨制度」は、現在「日本円」のみを自国通貨としている私たちから見るととても複雑に思えます。
なにしろ、金銀銅それぞれの通貨が独立して流通していたわけで、現在の感覚でいえば日本国内に「円」「ドル」「元」が流通するようなものです。
しかも両替率は必ずしも一定ではありませんでした。
三貨制度が始まった当初の1609年には「金1両=銀50匁=銭4000文」といういわば江戸幕府による公定歩合のお触れが出されました。
その後もたびたび両替率を示す幕府からの通達はあるものの、実際の取引はその時々の相場によって変動しました。
当時の人々が楽々と3種類の通貨を使いこなしていたことに驚かされます。
金銀銅それぞれの違いを知っておこう
三貨制度を理解するには、まず金と銀、そして銅に分けて整理することが必要になります。
まず単位が大きいほうから順にすると、
- 金は「大判」「小判」「一分判」
- 銀は「丁銀(150g前後)」「豆板銀(5~20g)」「露銀(約1g)」
- 銅は「銭(寛永通宝)」
が該当すると覚えておくとわかりやすくなります。
また大きな違いは金と銅が純度に関係なく一定の価値を持つ「計数貨幣」であるのに対して、銀は純度がそのまま貨幣価値につながる「秤量貨幣」であったことです。
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