大判小判&古銭の総合カタログ!第16回「五両判」

五両判の特徴

 
参照元 神奈川歴史博物館

 

「五両判」は、小判の中で唯一例外的に「5両」の額面を持つ小判です。

(江戸時代に発行された小判の額面は「1両」と決まっていました)

 

また、天保年間の一時期のみ(1837年~1843年)発行されたことから非常に希少価値が高い小判です。

加えて、文政小判とおなじく金座が上位の武士や大名に献上した「献上小判」が作成された小判でもあります。

 

極印に「大」「吉」が打たれているかによって、通常の小判と見分けることができます。

「天保五両判」「中判]とも呼ばれています。

流通時期

1837年(天保8年)~

発行枚数

34,455枚

おもて面

参照元 神奈川歴史博物館

 

形状 一般的に「小判形」と広く使われるだ円形

表面 墨書を極印に改める。全体的に打目(ござ目)が彫られる。

極印上下 扇枠に囲まれた五三桐(ごさんのきり)

極印中央 上部に「五両」 下部に「光次(花押)」の極印 左右に丸枠の桐紋

うら面

参照元 神奈川歴史博物館

直径11~13mmの花押

左右に検印が1~2個

両替屋の刻印が複数ある場合も多い

五両判のサイズと重さ

サイズ

縦 89ミリ前後 横 51ミリ前後

※小判は、サイズに多少の差が生じます。

 

鋳型に流し込んで作るのではなく

「金塊をたたいて薄く延ばす → 金の板を一両分の重さに専用のはさみで切る → 小判の形に打ち延ばす」

という製法で作られています。

重さ

33.7~8グラム 前後

五両判の金の含有量

金の含有率は84.29%前後

五両判の歴史的背景

美人画 参照元 https://commons.wikimedia.org/

五両判は、慶長大判小判を超える純度を誇り、何より小判5枚分の価値を持っていました。

幕府は商取引に重宝されると期待しましが、実際に使っていたのは、庶民よりも小金を持つ武士ばかり。

落語「万病円」に代金を踏み倒す武士が登場しますが、実際も似たようなものだったようです。

 

そもそも五両判が登場した背景には、財政難に悩む大判座の苦肉の策でした。

享保大判以降長く大判発行のお役目がなかった大判座にとって、新しい大判の発行は悲願だったのです。

 

とはいえ従来の武家や公家のあいだでの贈答品として使われる本来の大判ではなく、一般に流通する通貨として誕生した5両判。

 

一般通貨であることを理由に、古都もあろうに実権を金座に奪われてしまいます。

最も5両判は金純度こそ慶長大判金を超えたものの、その重量は約33グラム。

慶長大判の165.7グラムの20%に過ぎませんでした。

また同時期の一両小判である天保小判の5枚分の金含有量にも満たないとあって、商人たちからの評判は非常に悪く短命に終わった小判でした。

五両判の買取相場の目安

過去10年間の天保五両判の取引実績を検証してみました!

大手古銭買取店5社の平均取引価格は「100~350万」となっています。

金含有量が高く、小判よりも大振りサイズの五両判は風格ある姿が魅力です。

 

しかも発行数が少ないため、希少価値が高く安定した高値をマークしている小判です。

古い小判は改鋳のたびに回収されてつぶされてしまうため、新しく発見される可能性が低く今後も珍しい小判として広漠査定が期待できるでしょう。

大判小判マニアなら知っておこう!「16 長さ17cm!世界最大級の金貨だった天正長大判」

 
天正菱大判 参照元 https://commons.wikimedia.org/

 

大判のスタンダードとなった天正大判金

大判小判とはいうものの、小判と違って大判は特別なギフトとしての意味を持っていました。

 

主に武家の主従間の贈答品として使われた大判は、

主人から手柄を立てた家来へのほうびや恩賞
(まれには)位が下の武士から主人への贈答

などの意図で渡すことが多かったのでした。

 

改鋳のたびに供出され、新しい大判が発行されてきたため古い大判ほど残存する可能性は低いのですが

にもかかわらず江戸時代から何百年も経った現在も時折豪商の蔵などから大判発見ニュースが新聞やネットで報じられています。

世界最大級のビッグコイン!天正長大判とは?

最初に本格的な大判発行を行ったのが豊臣秀吉です。

室町時代から足利将軍家のおかかえ(御用)彫金師だった後藤家(のちの後藤四郎兵衛家)に命じて造らせました。

この豊臣家の名による大判は、「天正大判金」と呼ばれています。

 

小判にはない大きな特徴は、表側に後藤家の花押が墨書されていることです。

そして上下左右には後藤家の極印があり、江戸時代の小判のスタンダードとなりました。

また大判はその名のとおりに小判の何倍もの大きさがあり、「天正長大判」にいたっては何と長さ17センチの巨大マネーです。

この大きさだけを見ても、流通が目的の金貨ではなく、贈答品としての用途で使われた金貨だということが分かります。

 

天正大判金は、もう一つ大きな意味を持っています。

それは「天正大判金」によって、はじめて日本で通貨の標準化を実現することができたことです。

それまで重量や純度(品位)がバラバラだった金貨や銀貨などの貨幣が、初めて共通で利用できる本当の意味での通貨となったのです。

天正長大判以外の天正大判

天正大判金には、天正長大判のほかにも以下の大判があります。

(また「上代板金」と呼ばれる後藤家による天正大判の試作品的大判も残されています)

 

限られた博物館が所蔵するのみで滅多に目にすることはかないませんが、チャンスが訪れたら必ず実際に見ておきたいですね。

天正菱大判

1588年(天正16年)に発行された金純度72.1% 164.9グラムの大判です。

約40,000枚発行されましたが、現在確認されている残存数は全世界で6枚のみとなっています。

天正大仏大判

1608年(慶長13年)に発行された金純度73.8% 164.9グラム の大判です。

天正大判の最後の大判として発行されました。

天正菱大判とほぼ同数約40,000枚発行されました。

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