2019年から当コラムでは株価が高すぎると指摘していました。
そして、年明けからはFRB(連邦準備制度理事会)の金融緩和停止を失策だと喝破し、このままでは新型コロナウイルスの蔓延によって経済が崩壊すると論じました。
実は、そのきっかけになっているのが日本のGDP(国内総生産)の公表なのです。
ただし、あくまでも相関性であり因果性ではないので、一つの考えとして論じます。
日本のGDP発表と株価の関係
下記は2020年に入ってからの日本のGDPの公表予定です。
2019年10-12月期
1次速報
公表日: 令和2年(2020年) 2月 17日 8時 50分
2次速報
公表日: 令和2年(2020年) 3月 9日 8時 50分2020年1-3月期
1次速報
公表日: 令和2年(2020年) 5月 18日 8時 50分
2次速報
公表日: 令和2年(2020年) 6月 8日 8時 50分
日本の2019年10-12月期GDPの1次速報が発表されたのが2020年2月17日、下記の日本の株価を示したグラフの赤い線で記された時点になります。
この後2〜3営業日に新型コロナウイルスの感染拡大によって大きくマーケットが暴落しました。
そして、2次速報の発表は同様に下記のグラフで赤い線で示した2020年3月9日。
日経平均が最安値をつけたのは3月23日ですが、GDPから算出される2020年1〜3月の株価の安値をつけたのはその3月9日なのです。
そして、2020年1-3月の1次速報は5月18日。
この日を境に株価が急騰を始めています。
2020年1-3月の2次速報は6月8日。
この日が新型コロナショックからの戻り高値になります。
なぜGDP発表日が市場の転換日に?
ご覧のように、日本のGDPが発表されるごとにマーケットの転換日になってます。
これは偶然の一致でしょうか?
調べてみると偶然ではない事が判ります。
まずは中国の実効為替レートをご覧ください。
2018年6月からアメリカのトランプ大統領が中国に貿易戦争を吹っ掛け、その後中国の実効為替レートは多少の上下があったとしても右肩下がりになりました。
一方、以下の通り日本の実効為替レートは右肩上がりになっています。
1990年代後半から中国経済が台頭し、日本はGDP世界2位の座を中国に明け渡しました。
その間には小泉政権などがあり、デフレに苦しんだことは記憶に新しいでしょう。
日本の国力が落ちたのは、それまで日本が世界の工場だったものが中国に移転したことにあると推測されています。
この20〜30年間、日本は常に中国の後塵を拝していますが、上記の日本の実効為替レートからもおわかりのように2018年から潮目が変わったのです。
つまり、中国とアメリカが貿易戦争を始めて中国からの輸出が不安定になる中、その代替として日本に資本が移転していると予測されます。
日経平均が3万円になる、30万円になると騒いでいる人を最近よく見かけますが、その背景はこういうことです。
世界が中国からデカップリングするにつれて、一番得をするのは日本。
ゆえに今後の日本株には相当な期待が持てるということで、日本に投資をする外国人が絶大に増えていることに起因してGDPの発表ごとに大きくマーケットが変化しているのです。
次回のGDP発表は
次回の日本のGDP発表(2020年1-3月期2次速報)は、本来なら7月15日前後なのですが、下記リンクのに記されているように8月3日になりました。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/reference1/siryou/2020/pdf/announce_20200612.pdf
引用元:内閣府
これは経産省の法人統計が新型コロナ禍によって統計が遅れており、今までのGDPも正確ではないということをも示しています。
いずれにしても、次回のGDPが予想よりも低かったり逆に高い状態であれば、マーケットはまた大きく動くでしょう。
まとめ
日経平均は高値安値とGDPの発表にズレがありましたが、ドル建て金価格の場合は下記のフラフの通り見事に日本のGDP発表日が転換になっています。
この事実を鑑みても、日本のGDPは金を含めたマーケットを大きく動かしていることを納得いただけるのではないでしょうか。
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