日本政府は日本海沿岸に配備するミサイル迎撃システム、イージスアショアの導入を断念すると発表しました。
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20200619/pol/00m/010/005000c
引用元:毎日新聞
今回は昔から言われる「戦争と金」という言葉の意味、そして風雲急を告げる朝鮮半島情勢についての解説です。
戦時の財政支出
一般的に戦争が起これば金の価格が上昇すると言われています。
下記のグラフ、アメリカの財政支出の推移をご覧ください。
1955年から1975年までベトナム戦争が勃発していますが、その間の財政支出は右軸の500程度から1500まで約3倍になっています。
湾岸戦争は1990年8月から翌91年2月までで、その間も支出が増えました。
9.11後のアフガン出兵やイラク戦争時も異常な勢いで伸びています。
この財政の基盤、戦費の調達は税金から行われますが、その間の税収の伸びなど多く見積もってもせいぜい3〜4%程度。
対する戦費は財政支出30〜40%が必要と一般的に言われます。
つまり、税収の伸びに対して戦費が追いつかないので、国債という借金で賄うほかありません。
「戦争が起こると金価格が上昇する」とは?
経済成長が3〜4%と仮定して戦費が30〜40%増であれば、GDPに対する借金の割合は増大します。
ゆえにアメリカ政府は借金まみれで信用を補完できないことになり、結果として金利が上昇するのです。
この金利の上昇は悪い金利上昇で、景気がよくて商品が売れに売れて上昇するのとはわけが違います。
商品が売れての金利が上昇する場合は税収の増加を意味するので、よい金利上昇です。
ちなみに現在の誘導目標金利は0〜0.25%ですが、市場金利は上昇しています。
これは雇用も回復しつつあり小売売上もよい・お給料も伸びているのでよい意味での金利上昇です。
従って現在の金利の上昇は金にとっては下げ材料となります。
ところが戦争状態の国家の金利上昇はインフレによってモノが売れません。
消費者は当然高いものは買いたくないので景気は低迷します。
その上に国家は借金漬けでドルの信用が棄損するので金の買い要因となるのです。
以上をまとめると、
【1】借金によってドルの信用が下がる(ドル安)
【2】ドルの信用が下がれば金利が上昇
【3】金利の上昇によってインフレが醸成
という3つの条件が揃って「戦争が起こると金価格が上昇する」のです。
イージスアショアと平和
北朝鮮が韓国と激しくやり合う中での日本政府のイージスアショア計画の撤回にはどういう意味があるのでしょうか?
2020年7月現在、世界をはじめ日本列島を新型コロナウイルスが席巻しています。
2011年の東日本大震災で、日本人は放射能という目に見えない脅威と戦いましたが、今回もまた見えない敵です。
このような状態でまともな経済活動ができるかといえばノーであり、この緊張状態を解かなければ日本の健全な発展はあり得ません。
思い出してください。
北朝鮮のミサイルが発射されるたびに空襲警報のようなサイレンが国中に鳴り響き、待機をしなければいけなかった不安感を。
ゆえに北朝鮮からの弾道ミサイルに対する保険として、ミサイル防衛システムの導入を決定しました。
確かにイージスアショアには全ミサイルを迎撃する能力はないでしょう。
ただし、やれる準備はやって対策を進めるのは当然のことです。
イージスアショア配備はこういった保険的意味合いが強かったのですが、
- 「北朝鮮の攻撃対象になるのではないか」
- 「レーダーが発する電磁波の影響が心配だ」
上記の様な地元住民の理由や、構造上の問題(迎撃した後のブースターが住民に当るのでは?)でとん挫しました。
首都圏人の矛盾と無頓着
そもそも首都圏の住民たちが、何のリスクもなく地方に負担を押しつけていることこそがおかしいのではないでしょうか。
これは放射性廃棄物の問題も同様です。
例えば東京の税金負担を上げるとか地方に再交付するとか、税制上の優遇があってしかるべきなのに東京圏にお住まいの方はそういったことに無頓着です。
自分たちの安全は無料だなんて意識だから、地方の人たちがなぜ反対するのか皆目見当もついていません。
あるいは税金なんて間接的な方法ではなく、直接足を運んでお金を落とすとか、寄付をやらないことにはこの問題は根本的に解決しないでしょう。
韓国の真意はあべこべ
韓国の現政権は一般的に北朝鮮寄りだと言われています。
しかし、以下のグラフ、韓国の軍事支出をご覧ください。
親北を謳っていますが、やっていることはあべこべです。
韓国にとっての仮想敵国は日本やロシアではなく、明らかに北朝鮮。
中国もイデオロギーの違いがあるから仮想敵国ですが、商売上のメリットと軍事力で対抗できるか否かを考えれば敵国にはなりません。
この軍事支出を見た北朝鮮は、心中穏やかではないというのが真意でしょう。
北朝鮮の真意
北朝鮮の真意は非常に明確です。
2018年の南北首脳会談で、韓国政府が様々な北朝鮮支援を発表しました。
しかし、その支援はいまだ何一つ実現していません。
そこで今回の南北共同連絡事務所の爆破に至ったのです。
今まで北朝鮮が国際条約を反故にして核開発をしたのは、韓国に対抗するためであり、その支援をしたのは韓国という事実が残るのみです。
よく考えてください。
表では支援を表明しつつもアメリカの反対によって実行できず、裏で軍事費を増強する隣国を、あなたが北朝鮮人であれば韓国を信用しますか?
それは対日政策でも同じです。
北朝鮮の決定は非常に合理的で、決して国際的なならず者国家ではないのです。
今後の韓国の展望
ムン・ジェイン政権の支持率は一時70%を超えました。
これは新型コロナ対策で現金をばらまいたことが大きいでしょう。
資本主義や自由主義を標榜するのであれば、成功も失敗も結果は自己責任です。
逆に競争のない社会、共産主義には活力がありません。
つまり、韓国の先行きに活力ある社会が待っているとは思えません。
そして、北朝鮮や日本といった近隣国の信用を全面的に失う国の将来が明るいとも思えません。
北朝鮮による南北共同連絡事務所爆破は、結局のところ韓国への不信からスタートしたもので、イージスアショアの配備撤回とは関連性は無いんです。
韓国と北朝鮮は交戦状態になる可能性が大きいと考えても良いですが、反対に日本へのリスクは非常に少ないと考えられます。
しかし、ここ20年で大半の韓国人には、北朝鮮は同じ民族だからそんなことはしないという意識が根づいているため、民主主義国家で国民の意に反して北朝鮮との交戦を望むようなことは恐らくないとも考えられます。
要は言っていることとやっていることがバラバラで、何がしたいのかさっぱりわからないのです。
こんな国の将来が明るいと思いますか?
今後の北朝鮮の展望
今回の一件で明らかになったこと、それは一方の北朝鮮が一番に求めているのは体制の保障だということです。
軍事力を増大させたり、日韓や米韓の合同軍事演習を行えば必ず反応します。
これらの事実を鑑みれば、西側の軍事侵攻に恐れをなしているのがわかります。
二番目の理由は、国際的な制裁によってお金がないことでしょう。
制裁を受けても北朝鮮はよくやっています。
つまり、援助はあまり関係がないのではないかということです。
やはり北朝鮮は体制を侵害する勢力に向けて刃を向けることが今までの事実から推測されます。
援助がほとんど絶たれている状況で暴発する理由は体制の侵害であり、それを端的に一番行っているのは韓国、逆に日本はイージスアショアの断念によって信用を得ているのではないかと考えるのが普通だと思います。
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