金価格を左右するもう一つの材料

6月25日にアメリカのGDPの発表がありました。

この発表を境にマーケットの様相が変わる可能性が高いと記してきた通り、6月27日の入電は株価が700ドル以上の下落。

今回は金価格変動要因であるThird ManことGDPの他に、実はもう一つ金価格を動かす材料がある可能性について触れていきます。

日米のGDP発表と金価格の関係性

下記のグラフはドル建て金価格日足で赤い線が日本、黄色い線がアメリカのGDPの発表日です。

GDPの発表を境に値位置の変化が現れるのが見て取れます。

先だっての6月25日、アメリカGDP1-3月期確報値が発表された直後には大きく下がりましたが、週末ということもあり値位置を元に戻しました。

リファスタ的には下がると考えますが、まだ流れが見えてきていません。

市場を動かすもう一つの材料

下記のチャートは青い棒グラフがアメリカの中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)のバランスシート、黒い点線がアメリカの株価の過去5年の推移になります。

参照元:TRADING ECONOMICS

FRBのバランスシートとは、FRBがどれだけのお金を発行したかの総量を指し、言い換えればヘリコプターマネー、バラマキの量です。

わかりにくいのでもう少し拡大し、過去1年で見てみます。

参照元:TRADING ECONOMICS

黒い点線の株価は新型コロナウイルスの感染拡大と同時に下がり、数週間後にFRBが緩和を拡大し『バラマキ』を始めると急速に戻しました。

今回のような株価急落の場面において、各国の中央銀行は流動性を確保し収束を図るためにお金をバラまくことが過去の歴史経験から正当化されてます。

これはリーマンショックや東日本大震災でも同じでした。

そして、現在は緩和の拡大を行っているのですが、そのお金のバラマキがだんだんと減ってきている段階になります。

すなわち、もう経済が立ち直ってきたと判断しているわけで、これ以上の緩和の拡大はないとマーケットが見ているから株価は先取りして下がっているのです。

金価格とFRBのバランスシートの相関性

金価格の場合も株価と同様、下記のグラフの通りFRBの緩和の拡大ごとに上昇しています。

参照元:TRADING ECONOMICS

GDPや中央銀行の金融緩和によって価格が左右される、この因果関係が解明されたとすれば、今後の金の展開を考えることができます。

すなわち、金の価格が上昇するのにはFRBがもっと緩和を拡大すればよく、逆に金の価格が下がるのには緩和をやめればよいのです。

今後の金融緩和の有無の判断材料

2020年6月、アトランタ州ジョージア。新型コロナウイルスの感染が再び拡大する中、警察による黒人射殺に講義する市民

今後の緩和はどうなるか。

まずは新型コロナの感染拡大か縮小かという問題があります。

感染が拡大し再びロックダウンなどの防止策が決定されれば緩和は拡大するでしょう。

加えて今後の経済指標がさらに悪化する可能性があります。

ただ、今後発表されるアメリカの経済指標にはISM指数や雇用統計などがありますが、今までの指標と比べるとおそらく相当良くなります。

つまり、緩和拡大の材料とならない可能性のほうが高いのです。

さらには事件や事故などになります。

これは上記の感染拡大と似た点があり、ヒマラヤの係争地を巡って中国とインドが現在バチバチやっていますが、こういう事件が拡大するという意味です。

ただし、トランプ大統領の最近の行動を見ていると何をしでかすかわからない危うさがあるので、実のところそれが一番の警戒材料だと思っています。

金価格は上がるのか下がるのか?

現在の日米の株価は実体経済とかい離していると指摘するIMF

IMF(国際通貨基金)も今後株価が下がる可能性について警告を与えています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200626/k10012484661000.html

引用元:NHK

この記事によると、日米の株価は割高なのでよい材料が出ても買えない状態にあり、悪い材料が出た場合にそれにプラス下値余地になるので下がりやすいわけです。

こう考えると、下がる可能性のほうが高いことになります。

さらに言えば、もし株価や金がこれ以上に下がれば、政府や中央銀行はさらに金融緩和を行う可能性が高くなります。

ただしこれにも瑕疵があり、例えば6月15日にFRBは社債の買い入れプログラムを発表しました。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-06-15/QBZBLBDWLU6I01

引用元:ブルームバーグ

記事では難しく書かれていますが中味は金融緩和、要はバラマキです。

株価はこの発表を受けて一時的に上昇していますが、6月27日時点ではその効果は剥落しています。

金の場合は6月15日は無反応でしたが、6月19日から急騰して新値を取りました。

6月27日現在、まだ6月15日水準まで戻っていません。

こういった材料を見ていくと下がる可能性が高いのですが、下がれば中央銀行が緩和すると思われますので下がりにくいのです。

ただ、FRBの6月15日社債買い入れプログラム発表の効果がないように、その効果は疑問視されます。

いずれにせよ、根幹はGDPによって動いていることは変わりがありません。

夏から秋まで発表される日米のGDPは減少する可能性のほうがはるかに高いわけですから、結局は金売りの方針は変わらないということになります。


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