前回まではドルインデックスや円・ドル実効為替レート、ユーロドル相場は密接に金価格と関係があるという話でした。
今回は、ユーロ円相場と円建て金価格の関係性を見ていきます。
ユーロ円相場と円建て金価格相場
下記のチャートは円建て金価格が青い線(系列1、左軸)、ユーロ円がオレンジ色の線(系列2、右軸)になります。
ドルや円の実効為替レートやユーロドル相場と比較して、それほど近似していませんが、全く相関していないとも言えず、ある程度参考になりそうです。
では、なぜこのようなことが起こるのかを解説していきます。
相対的為替レートと絶対的為替レート
まず、金とドルは裏返しの関係であることを思い出してください。
金価格の上昇はドルの信認が落ちていることを意味し、ドルの価値が下がれば裏返しの金の価格は上昇することになります。
逆も同じことです。
こうした通貨ペアは相対的な関係であり、一方が高くなれば他方は必ず安くなり、ゆえに円高ドル高、円高ユーロ高などはあり得ず、円高であればユーロ安、ドル安になります。
しかし、絶対的な世界であればドル高、ユーロ高、円高の並立は存在するのです。
この相対値と絶対値の違いがわかっていなければわからないことです。
ユーロ円と円建て金価格の近似を計算式で考える
なぜユーロ円と円建て金価格が似たような形をするのかを計算式で考えていきましょう。
まずユーロ円の成り立ちですが、
ユーロドル×ドル円=ユーロ円
になることを実際のレートで計算してみてください。
この関係性を理解すれば、わかりやすくなるでしょう。
では、この計算式を細分化していきます。
(ユーロ÷ドル)×(ドル÷円)=ユーロ円
最初の()のドルが分母、二番目の()の分子がドルなので相殺したらユーロ円になります。
さらにユーロドルは、金のドル建て価格と近似します。
ドル建て金価格×(ドル÷円)=ユーロ円
ドル建て金価格にドル円を掛けると円建て金価格になりますので、
円建て金価格=ユーロ円
になります。
だからユーロ円と円建て金価格は近似しているのです。
今回紹介した予測手法の注意点
注意点としては、ユーロドルの実際のドル価格は44%しか含まれておらず、さらにユーロ円のユーロの価格は80%程度しか含まれていないので、ドルの実効為替レートと比べると44×0.8=36%程度しか近似しないことになります。
ゆえに、ドル実効為替レートと金は反相関100%とするとユーロ円と円建て価格の36%しか近似しないのです。
本来ならばドル実効為替レートとドル建て金価格が反相関関係なのですが、実際にはドル実効為替レートはリアルタイムで発表されません。
信頼性は下がりますが、上記のようにユーロドルやユーロ円で代用すれば参考になります。
言うまでもありませんが、ユーロ円よりもユーロドルのほうが信頼性が高く、それよりもドルの実効為替レートのほうが高くなる点はご留意ください。
この記事のまとめ
この記事では、ユーロ円相場は、ドルや円の実効為替レートやユーロドル相場ほどではないにせよ、円建て金価格と近似している。為替には普段目にする相対的なレートのほかに絶対的レートが存在していることを踏まえた上で、上記の計算式に実際の数字を当てはめてみると、ユーロ円と円建て金価格の近似が見えてくる。
ただし、このユーロ円よりもユーロドルのほうが金価格を読む上で信頼性が高く、さらにはドルの実効為替レートのほうが高くなる点は理解した上で、臨機応変に用いていただきたい。
そう言った記事でございました。
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