以前から体調不安説が流布されていましたが、具体的な証拠は慶応大学病院で検査を行ったことくらいしかなかった安倍首相が、8月28日に突然辞意を表明しました。
今回は、安倍政権はなぜ崩壊したのかを原因と結果の観点から考察していきます。
安倍政権崩壊の原因は「経済」
辞意表明会見でも相も変わらず、メディアはわけのわからない質問をぶつけていました。
肝心の経済に関する舌鋒鋭い質問は、ほぼ一切ないという状態で、マスコミたちは根本的なことを間違っているということを全く理解していないようです。
本人の言葉からは「憲法改正やロシアとの平和条約、北朝鮮問題が解決できなかったことが本当に心残りだ」とありましたが、これらの問題は、誰も安倍政権で解決できると本気で信じていた人はいないだろうと思うのですが、いかがでしょうか。
また、「新型コロナ禍で途中で投げ出すことには悩み抜いた」と言っていますが、弊社の見解としては、経済運営に自信がなくなったことが、病気の再発を招いたのだろうと考えます。
安倍首相の任期と日経平均の推移
以下のグラフは過去25年の日経平均の推移です。
第一次安倍政権は2007年から2008年、第二次政権は2013年末から現在に至るまでになります。
株価は、第一次政権を病気で放り投げたあとにリーマンショックや東日本大震災によって転げ落ちるように下がり、第二次政権の2013年、アベノミクスで劇的に回復させたことが明らかです。
安倍首相と憲法、ロシア、北朝鮮
安倍首相のさまざまな言動を聞いていると、経済に関しては的確に未来を見通して語ることが多かった反面、ロシアや北朝鮮、憲法改正に関する発言は少しも将来が見えてきませんでした。
例えば、今でも町の至るところに憲法9条改正反対のポスターが貼られていますが、安倍首相本人は9条の改正には一切触れてはいないし、それをするつもりもありません。
しかし、本人の言っている言葉が非常にわかりにくいことを逆手に取って、社民党や共産党は憲法改正、9条改正を行う極悪人だと流布しています。
ただし、共産党や社会党の連中が事実にないことをベラベラしゃべる詐欺師なのかと言えばそうではないでしょう。
おそらく2013年末に当時の民主党・野田毅首相に対して「ウソつきだ」の野次を飛ばしてレッテルを貼り、政権を崩壊させた意趣返しで、安倍首相の性格が信用できないという不支持の理由第一のレッテル張りに勤しんだ結果だと思います。
とにかく北朝鮮の問題やロシア、憲法改正に関して安倍首相の口から将来の展望に関して力強い言葉など聞いたことがない、そして国民の間でその希望や将来が共有できていませんでした。
なぜ「経済の安倍」なのか?
「成城大学出の三世の七光り」と言われようが、いろいろな人の意見を聞いて、安倍首相自身の頭から出た発想がアベノミクスです。
これは自分の言葉で語り、皆さんもこれに納得したと思います。
これが「経済の安倍」である根拠です。
また、財政ではプライマリーバランスの黒字化を今までは2025年までに、新型コロナ後には2027年になると弁明し、具体的な数値目標を描いています。
そして、東日本大震災によってすさんだ日本人の心を東京オリンピックによって復興するという目標は、事象としては結果を出しています。
マインドに関しては賛否両論ありますが、自分の生まれ故郷を素晴らしいと思うのは人間として当然のことです。
あの民主党・野田政権でどうしようもなかった経済がここまで立ち直り、少なからず国民が自信を持てるようになったのは安倍首相のおかげ、これは揺るぎようのない事実だと評価していいでしょう。
病人にむち打つような非難は言語道断
病気で苦しんでいる安倍首相にこの期に及んでも「人格が信用できない」、「無能」と投げかける人たちは、人間としてどうかしています。
そういう人たちに限って、10万円の給付は我先に受け取っているのでしょう。
この決定も安倍首相は悩みに悩んで下したものと思われます。
そのありがたいおカネに対して罵詈雑言で返すというのは人としておかしい、個人的なお付き合いしたくない人たちと思われるのが普通でしょう。
我々の身近な経済やお金に関してこれだけ貢献した総理大臣は、昭和末期から平成にかけて存在しないでしょう。
そして、これだけ日本人に自信を持たせてくれた人もいません。
さまざまな問題はありますが、前任の野田、菅、鳩山をはじめ2000年代以降のほかの首相に比べれば、総合的に比較にならないほどよい評価ができると思います。
もちろん、これは相対的に評価した場合であって、安倍政権単体という絶対的な基準で見れば厳しい評価もあるでしょう。
アベノミクスの評価
肝心のアベノミクスはどうだったのか?
これは麻生副総理の言葉に凝縮されます。
「マネタリーベースをいくら増やしても、過去数年、経済が劇的に回復したという事例や根拠はないと言えよう」。
これが正当な評価です。
現在は深刻な不況の処方箋としてマネタリーベースの大量残高になっていますが、これは所詮対処療法であり根治治療ではありません。
つまり、最初の特効薬としては効果を上げたが、ここから劇的な回復はなかったということになります。
まさに安倍首相の病状と一緒で、初期効果は上げたが、今回倒れることによってまだまだ回復までの道は長いということです。
首相辞任の原因
2008年に第一政権を放り投げた原因は、実は株価の崩落でストレスが激増して病気を招いたからと言われています。
今回も新型コロナによって株価は一時的に大急落を起こしましたが、状況は2008年と一緒です。
この後、リーマンショックが起こり、株価は崩落しました。
株価を支える、崩落する具体的な方策がない、万策が尽きたということが、今回の政権辞任という結末なのであろうと思います。
どこをどう見ても、ここから株価が崩落した場合、リーマンショックや今回の新型コロナのように金融緩和を行えばいいのですが、それでは借金が積み上がるだけで、そこから具体的に日本経済を復活させる方策など誰にもないのです。
これがストレスの原因だろうと弊社的には考えています。
仕方のないことじゃないかと思われる方も多いと思いますが、この自分の一番自信がある経済に何も対処のしようがないということは、彼自身が一番堪えられないことなのでしょう。
第三次安倍内閣もあり得る!?
経済政策の行き詰まりが原因だとすれば、後任に興味がないような発言を繰り返しいてるのも納得できます。
長くやりすぎたということであれば、後任を指名するようなこともあるでしょうが、誰がやってもダメ、その原因は自分にあると思うのであれば、後継候補などどの口が言えるのかというのが本音でないでしょうか。
ただし安倍首相は、国会議員自体を引退するようなことは言っていません。
一度政権を離れ、おそらく金融や経済の勉強をして、再び首相の座に就こうとしているのかもしれません。
そのためにはかつての鳩山、菅、野田といった民主党のどうしようもない首相連同様、誰かが無茶苦茶にしてくれれば、再登板に意欲を燃やすことでしょう。
そういった観点では、石破さんもありと言えます。
国民人気ナンバー1の石破茂の実力
石破さんはかつての総裁選で2位になったこともあり、第二次安倍政権初期は閣僚に任命されましたが、それ以降は遠ざかっています。
彼の意見を聞いていると、一見もっともなことを言っているように聞こえますが、自民党の人材不足は明らかですから、本当に論理が通り、有能であれば敵であろうと安倍首相なら閣僚として採用したでしょう。
こう考えると、有能なフリをした無能な人、要するに信用できないから採用されなかったのでしょう。
彼が政権を取れば、日本は無茶苦茶になるのではないかと妄想します。
次期総理・総裁は誰か相応しいか?
安倍首相ははっきりと日本人に再び自信を待たせると言い続け、それなりの結果を出し、そして勤勉でした。
こう考えると、勤勉で理想がある人が次期総理大臣になるべきでだということがわかります。
まず、朝から晩まで一生懸命働く候補と言えば、菅義偉官房長官と河野太郎防衛大臣です。
しかし、両者の欠点は何がやりたいのかさっぱりわからない、特に菅さんは毎日会見をしていてもその政治思想がまるで見えきません。
同様に河野さんも、少しは見えるくらいなものです。
また、安倍首相の辞任の原因である経済にも強くなければいけません。
となると、甘利明さんくらいのものですが、かつて金銭問題で辞任しているので無理でしょう。
そして、下村博文さんも黒いウワサばかり…。
結局、経済に強い人物など誰もいないということになります。
となると、順当なのは菅さんか河野さんというのが真っ当でしょう。
この記事のまとめ
この記事では、安倍首相辞任の原因をメディアは取り違え、病気が原因なんて考えているから的はずれな報道しかしない。根本は、済政策が行き詰まったことが自民党内で経済に一番詳しいと自負してきた安倍首相が辞めた原因。アベノミクスは初期の対処療法としては有効でも、根治治療にはなり得なかったということ。
後任は安倍首相同様に勤勉で理想がある人という基準に則れば、菅さんか河野さんが有力。ただし両者には、安倍首相が持っていたような明確な理想に欠けるという弱点あり。
結果として安倍首相自身、死んでもアベノミクスが失敗だったとは言わないでしょうが、言わないということは、病気が治ればまた自分がやってやると思っていることの裏返しでもあるということ。
そういった記事でございました。
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