金融緩和の意義とは?そしてまだ緩和は続くのか?

今回は、金の高騰の原因とされる金融緩和についての基本的な知識、なぜ金融緩和が必要なのかを解説します。

経済には普遍の法則がある

以下の数式は、実際に経済がその通りに動いていることから、経済学者の間ではよく知られている恒等式になります。

少し難しいのですが、

マネーストック×流通速度=生産量×価格

一体全体この式は意味不明という方も多いと思われますが、簡単なことを小難しく表現しているだけですのでご安心ください。

右辺「生産量×価格」について

「生産量×値段」とはGDPのこと

まず、最初に右辺の「生産量×価格」について解説します。

小学校の算数に変換すればわかりやすいので、例えば1個100円のお豆腐を100個生産したら総額はいくらか?

100×100=1万円

これが世の中にある価格のあるすべてのものに生産量を掛けたもの、この答えがGDPになります。

例えば皆さんのお給料の総和も含め、GDPとは世の中にあるすべての商品の総和なのです。

値段がつけば客観的な評価がつき、売買、経済活動の対象になります。

つまり、「生産量×値段」とはGDPのことです。

この式はあまりにも有名ですが、ここまで砕いた解説がないので、誰も理解できないのです。

左辺「マネーストック×流通速度」について

難しい計算式に出くわしたら、豆腐のようにわかりやすいものに置き換えてみればいい

右辺に対して左辺は多少難しいです。

まず、右辺のGDPと左辺の「マネーストック×流通速度」は、イコールの関係にある前提を認識してください。

マネーストックとは、簡単に言えば金融緩和のことで、もっと具体的に言えば金融緩和の「量」になります。

それに流通速度を掛けるとGDPとイコールの関係になり、実際の経済でもそうなります。

総額100万円のお豆腐に対して、それにかかるコストに金利を掛ければ100万円になるということです。

お豆腐を生産するのに100万円かかった、その内訳は機械や原材料の仕入れが90万円、売上はないのでお金を借り、その金利が10%であれば約100万円になります。

そもそも1個100円というお豆腐の値段がどのように設定されたのかを考えればいいのです。

商売をやる者にとっては常識ですが、お客さんが買える範囲で自分の利益を計算に入れて設定します。

右辺が自分の収入金額であり、左辺がコストと考えればいいのです。

金融緩和の実態

金融緩和では、右編のGDPが日米ともに約3割下がったのですから、左編を3割増やせばGDPはもとに戻るという考え方です。

要約すれば、

生産量×価格×0.7

になり、これは事実だから変えようがありません。

現状この上記の式が、

マネーストック×流通速度≠生産量×価格×0.7

になっているのです。

では、「マネーストック×流通速度=生産量×価格」が等式になるためには、どうすればよいのか?

ほとんどの国の政策目標とは、GDPに当たる右辺の「生産量×価格」の答えを大きくすればいいわけで、普通、右編が0.7掛けになったのだから、左編も0.7を掛ければいいという発想になります。

これは、お豆腐の値段を100円から70円にするのと一緒のことです。

しかし、こんなことをすればGDPは減少したままになり、引いては国の衰退につながります。

そこで国は何をやるのかと言えば、逆にコストを上げる、つまりお豆腐の値段を100円から150円にするのです。

そこに流通速度を掛けた数字とGDPはイコールの関係にいずれ収斂するのですから、コストすなわちお豆腐の値段を上昇させればいいことになります。

これが金融緩和の実態です。

日本の金融緩和政策の間違い

ゼロに何を掛けてもゼロはゼロ。物価上昇なんて起こりようがない

リーマンショックや東日本震災のあと、政府はこれをやりましたが、価格が上がるどころか逆に下がってしまう、いわゆるインフレの反対のデフレが起こりました。

なぜかと言えば、金利がゼロだったからです。

どんな数字にゼロを掛けてもゼロはゼロであり、1以上にはなりません。

だから当然デフレになります。

金融緩和とともに金利を引き上げないとこの恒等式は成立しないのに、金利をゼロにしてしまうのだから、まるっきりデタラメな政策をやっているのです。

金融緩和をやれば一瞬価格は上昇しますが、金利がゼロだから価格はどんどん下がるわけで、そうなると右辺のGDPもどんどん下がっていくことになります。

だから金融緩和をやりながら金利を上げるのが正しい方策なのですが、それをやらずにデフレから脱却できないと騒いでいるわけです。

アメリカのコロナ緩和の実態

下記のグラフは、アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)のバランスシート、総資産です。

参照元:TRADING ECONOMICS

このバランスシートが金融緩和の量であり、今年の4月からその総資産が増えています。

アメリカのGDPは以下のグラフの通り前期比で32.9%のマイナス。

参照元:TRADING ECONOMICS

前年比では、以下のグラフの通り9.5%のマイナスです。

参照元:TRADING ECONOMICS

前期1-3月でFRBの総資産は400億ドル、その3割を増やせばいいのですから520億ドルにすればいいところを実際には700億ドルくらい、実に75%も資産を増やしています。

前年比では、9.5%増やせばいいものを400億ドルから700億ドルにしているのです。

つまり、去年並みや1-3月期並みにGDPを増やせれば国家として成功なのに、それ以上に緩和してしまっています。

だからアメリカで暴動が起こる

現在アメリカを混乱の渦に巻き込み、茫々にさえ発展しているブラックライブズマター運動

75%緩和を増やしてしまうのは、コストも75%上昇するということです。

コストというのはお豆腐の価格を100円から150円に引き上げるのと一緒のことです。

それで元の成長率にGDPが戻ったとしても国民はハッピーですか?

多分このケースではお給料は上がりません。

だいたい暴動だらけになるということは、皆さんおわかりになりますよね。

だから、これはやりすぎだということに気づいて、現在FRBは緩和量を減らしているのです。

おそらく500〜550億ドルくらいまでは緩和量を下げます。

緩和で金の価格が上昇しているとすれば、緩和量が減れば金の価格はどうなるか、当然下がります。

世の中、金の強気ばかりですが、これで強気できるのですかということを申し上げたいのです。

この記事のまとめ

今回の記事は、金融緩和の目的とは物価を上昇させることで国家のGDPを上昇させるということ。

しかし、現状の日本はゼロ金利であるので逆にどんどん物価が下がり、引いてはGDPも下がるということに。

アメリカはコロナ対策として必要以上に金融緩和をしてしまったことに気づき、現在は減らしにかかっている。

さもなければ物価(GDP)だけが無闇に上昇してお給料は上がらず、引いては暴動に…。

この緩和量の減少は金価格の下げ材料ということに注意!

こういう内容の記事でした。


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