[全5回/Week4]アンティークジュエリー入門「日本編」

日本のアンティークジュエリーの価値を知ろう!

日本は世界でも珍しいジュエリーの歴史を持たない国だとよく言われます。

かろうじて「勾玉」「ガラスビーズ」が発掘されるものの、現在の中国や韓国と行き来の在った飛鳥から奈良時代に限定されることが大きな理由。

そのころの渡来物を除けば、日本のジュエリー文化は平安時代から江戸時代まで1000年以上ものあいだほぼ途絶えていました。

しかし、それは洋服スタイルにあわせられるネックレスやイヤリングに該当するアイテムがなかったというだけのお話です。

日本人の美意識に根差した装飾文化は時代ごとに存在していました。

日本独自の和装文化にふさわしい

  • かんざし(簪)くし(櫛)などの髪飾り
  • 帯のアクセントになる帯留め
  • 粋な男衆の必需品だった根付

など成熟したジュエリー文化が築かれてきたことを多くの人々に知っていただければと願っています。

ここでは日本人なら知っておきたい和のジュエリー文化についてまとめてみました。

「根付」はここを見る!

世界中にコレクターがいるジャパンジュエリーのナンバーワンが「根付」です。

江戸時代に盛んにつくられた根付は、煙草入れや印籠を入れた小間物袋を帯につるした時の重しとして使われていました。

よそおいのアクセントとして工夫を凝らしたものが求められるようになり、職人たちがこぞって技を競い合うようになりました。

古根付と現代根付

江戸時代から明治大正時期までに制作された根付は「古根付」

昭和以降部製作された根付は「現代根付」と大別されています。

世界中にファンを持つ根付は、海外にも作家がいるほど。

根付の素材

自由な発想で作られた根付は素材も様々。

柘植やヒノキなどの木材、水牛の角や象牙などの動物由来のものが多く使われました。

また陶磁器やガラスで作られたものも見つかります。

「かんざし(簪)」はここを見る!

女性文化の象徴となっているくし(櫛)そしてかんざし(簪)

縄文時代のころから日本の女性たちはかんざし(簪)を髪に挿していました。

髪を結わずに長く垂らした平安時代をのぞき、ほぼすべての時代に使用が認められる貴重な和のジュエリーです。

武家や家族の女性たちのかんざし(簪)には、銀や鼈甲、象牙など高価な素材が惜しげなく使われました。

平打かんざし(簪)

平たい円形の装飾部分がついたかんざし(簪)。

玉かんざし(簪)

その名のとおりに玉の装飾がついたかんざし(簪)。

サンゴやメノウのほか、布でできたつまみ細工のかんざし(簪)も。

びらびらかんざし(簪)

未婚の女性がつける短冊状の銀ビラが付いたかんざし(簪)。

「帯留め」はここを見る!

江戸時代に誕生した帯留めは、帯締めに通して使う装飾品です。

明治以降には宝石や貴金属などのジュエリー素材を使ったものも多く作られました。

もともとは刀のつば(刀本体に通す部具)だったとされ、遊女や芸者の戯れから始まったという由来があります。

根付とおなじく、素材や凝った造りのものを吟味して選びます。

しかし由来によるものなのか、画像のように茶事のフォーマルな場所ではマナー違反とされることもありました。

日本の根付や簪に会いに出かけよう!

全国の考古博物館は和のジュエリーの宝庫!

国内の考古学博物館、日本美術系ミュージアムで見られます。

根付は東京国立博物館本館の「高円宮コレクション室」が必見。

https://www.tnm.jp/

「日本」アンティークジュエリーのショッピングガイド

根付は骨董の中でも難易度の高いアイテムです。

明治維新後日本にやってきた外国人が喜んで階上げたことから、一気に模造品が流通。

かんざし(簪)やくし(櫛)も同様です。

時代にこだわらず、つくりやデザインが気に入ったものを選ぶのも一つの方法ですよ。

また時にはリユースショップのオンラインサイトに紛れていることも。

ぜひチェックしてみてください!

参考文献

  1. 「楽しいジュエリーセールス 」 早川 武俊
  2. 「コスチュームジュエリー」 別冊太陽 
  3. 「 アンティークジュエリー美術館」 別冊太陽 
  4. 「コスチュームジュエリーの世界」 田中元子
  5. 「世界の伝統装身具図鑑―神々の宿る銀」 露木宏
  6. 「日本の宝飾文化史」露木宏
  7. 「日本装身具史」露木宏編著

 


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