インドが中国を侵略するって本当!?

『将来インドが中国を侵略する!』

皆さんは妄想が大好きなようで、よくもまあこんな根拠のないことを言う人がいるものです。

現況を見れば、そんなことはあり得ません。

今回はこのことを解説していきます。

これが21世紀と言えるのか!?

2020年6月、アッサム州グワハティで中国に抗議するインドの活動家

中国は共産党の一党独裁体制、一方のインドはヒンズー教によるカースト制度によっていまだに人間と見なされない人種がいる国です。

大同小異・五十歩百歩です。

人種差別や独裁政権とは、いわゆる王様の言うことは黒いものでも白という世界。

これが21世紀の政治体制なのでしょうか?

いまだに人種差別や権威主義を振りかざしている時代遅れの国が、いくら争ってもどっちもどっち。

ともに衰退するでしょう。

そして現状の戦力では、仮に戦争をしたとしても中国の圧勝で終わります。

民主主義の起源と権威主義、そして違い

ピューリタン革命で指導的立場を担った軍人で、のちに護国卿としてイギリスを統治したオリバー・クロムウェルの肖像

民主主義の発祥はフランス革命ではありません。

歴史上、王政が打破されて民主的な議会が成立したのは、17世紀のイギリス、ピューリタン(清教徒)革命からです。

王室は滅亡せずに現在も続いていますが、権限の一部が議会に譲渡され、権威は大幅に制限されました。

議会とは、みんなで話合い結論を決定づける機関ですから、これが民主主義の走りです。

これに対するのが権威主義で、リーダーがすべてを決定し、それを施行していきます。

これに逆らえる人はいません。

反逆を許せば体制は崩壊しますので、大抵の場合は死罪になります。

この権威主義で最近倒れた国といえば、カダフィのリビアのやサダム・フセインのイラクが記憶に新しいでしょう。

権威主義の集団指導化

深セン市の公園に立つ鄧小平の銅像

権威主義のリーダーが1人とは限りません。

今までは絶対的リーダーが実権を握ったのですが、権威主義も集団指導体制になりました。

それが共産主義や社会主義、すなわちソ連や中国になります。

ご存じのように、ソ連は経済的不自由によって自ら崩壊し、それを見た中国共産党は鄧小平の南巡講話をきっかけに改革開放路線によって資本主義を導入しました。

このように独裁という権威主義は、個人指導であれ集団指導であれ、崩壊することが歴史上何度もあったのです。

共産主義体制とは

アメリカとの冷戦に敗れ、1991年に消滅したソビエト連邦の国旗

それに対して、イギリスが構築した民主主義や資本主義は、何度もピンチがあったのにもかかわらず、生き残っています。

こうやって考えると、社会主義や共産主義は生き残ることができない体制ということが証明されると言えるでしょう。

なぜかと考えれば、会社の出世争いでも生き残った者がえらいのであり、負けた人には何の報酬も与えられないものです。

一度負けた人間は、日本では特にはい上がることができません。

共産主義や社会主義とは出世争いに負けた人たちであり、その復活は民主主義の前では為す術もないことを体感しているので、中国は一部に資本主義を導入したのです。

これが歴史的事実です。

発展を阻害する人種差別

司祭階級を頂点に、軍人階級、市民階級、労働者階級までを人とし、ほかに多様な賎民階級をもって成り立つカースト制度を表した図

インドでは、現在でも人種差別が色濃く残っています。

これは、インドの主な宗教がヒンズー教であり、戒律によって人は生まれながらにして平等ではなく、生まれた階級から離れることはできないからです。

これを正しいとする人たちは、カーストの存在によって社会が効率化すると主張していますが、人間に上下などあってよいわけがありません。

人間は生まれた時の環境によって人生が決定されないから、日本は江戸時代から明治維新を経験することができたのです。

士農工商が残ったままの日本で、現在のような発展が期待できると思いますか。

身分の低くても能力がある人はたくさんいるわけで、その人が活躍することが社会の発展につながるのです。

インドのように、生まれながらに生きていく道が決まっている社会は、発展など期待できません。

実は中国も身分制国家

2020年5月、フロリダ州マイアミで行われた黒人の生きる権利を訴えるブラックライブズマター運動の光景

実は中国も農民に生まれたら一生農民のまま、都市部の市民が農民になることはできますが、逆はできません。

そういった人種差別が色濃く残る国です。

これと反対の政策をとったのがアメリカです。

あらゆる困難を乗り越え奴隷制度を廃止し、黒人の公民権を付与したことから現在の発展があります。

ただし、トランプ大統領のような白人主義者がなぜあのような非人道的な主張をするのかといえば、アメリカの利益という問題です。

アメリカ人というのは自分の利益を一番大事に考え、そのアメリカ人の範疇に黒人やヒスパニックなどのカラードが含まれるか、今も議論が分かれるのです。

日本人から見れば「そりゃ、アメリカ人みんなのものでしょ」と思うでしょうが、そんなに単純な問題ではありません。 

いずれにせよ、現在のアメリカは市民平等の実現によってなしえたもので、差別のある国の発展はあり得ません。

なぜ中国とインドは発展したのか?

深セン市の工場で働く中国人の労働者

では両国がなぜ発展したのでしょう。

1番の理由として、ともに非常に「働き者」という国民性が挙げられます。

グローバルな感覚がある経営者なら、ある仕事に欧米人と中国人、インド人が応募してきたら、迷わず中国人かインド人を選びます。

なぜなら、欧米人は働かないからです。

なお、最近の日本人も欧米人並みに働かないというのが通説になっています。

今回の菅内閣は働く内閣を標榜していますが、当然のことでしょう。

勤勉こそが人間の本来の能力であり、人から好かれる原点であるのに、それを忘れた日本人に明るい未来が待っているとはとても思えません。

とにかく、インド人と中国人は低賃金でも文句を言わずによく働きます。

これが成長の原動力です。

中国が発展した制度的理由

私有権のない中国では支配層が農民の土地を収奪して手っ取り早く現金に変えてしまう

両国民が勤勉であることに加えて、特に中国では制度的な理由があります。

資本コストがゼロなのです。

理由は、農民に土地の所有権がないのをいいことに、共産党員が事業に失敗すると、農民からタダみたいな値段で土地を取得し、それを市場価格で売りさばくのです。

ですから中国では流行ものがあると、原価割れでも一気に製造し、お金を回収しようとします。

これでは欧米流の生産をしている国々は、コスト競争で勝てるわけがありません。

それに最近アメリカが気づき、アンフェアとして中国経済を世界からデカップリングしようとしているのです。

これが現在の米中貿易戦争の根源です。

北朝鮮もベトナムも同じ穴のムジナ

東南アジアでも発展著しいベトナム南部の中心都市、ホーチミン市

インドも同じようなことをやって発展していますが、中国よりは資本主義なので、他人の所有物を収奪するようなマネはさすがにしません。

そもそも、カーストの一番下層にいる人たちは土地など持っていませんから、そういったことが出来ないという状態になります。

ちなみに「潰れる、潰れる」と騒がれる北朝鮮ですが、やっていることは中国と同じです。

農民の土地を収奪して、それを資本としてお金を稼いでいます。

だから貧富格差は中国同様に拡大しますが、国がつぶれるようなことはないのです。

そして、ベトナムも同じようなことをやっています。

こんなことが、未来永劫できると思いますか。

中印の発展は一時的なものにすぎない

インドの首都ニューデリー

要するに中国やインドも、いずれどこかで躓くのです。

参考までに土地の私有権があるのはアジアでは日本だけで、ほかの国には私有権などありません。

つまり国家や王家が土地を所有し、人民がその享受を受けているという形です。

アジアはおそろしく封建的で時代遅れなことをやっていると言えます。

だからこそ成長の起爆剤になるのです。

それが欧米化、民主化すれば発展は物凄いことになるでしょう。

事実、日本は封建制度をやめた明治時代以降、著しく発展しました。

長い目で見れば、インドや中国は今の体制を続ければ滅びる国であって、隆盛があっても一時的なものなのです。

今のままでは中印はいずれ衰退する

ノルウェーで発行されたゴルバチョフ元書記長のノーベル平和賞の受賞を記念する切手。政治体制の改革運動、ペレストロイカを推進するも、ソ連を崩壊へと導くこととなった

人類が成長していくためには自由・民主主義・公正が大事なことは、今残っている国々を見れば明らかです。

何かの間違いでインドが中国を侵略することはあっても、悠久の歴史からすれば一瞬の血迷ったできごとになるでしょう。

言えることは、既存の制度を打破できる見込みができて次の予測ができるということ。

打破しようとしもしない両国には、衰退の道しかないように見受けられます。

中国は、ソ連の崩壊はゴルバチョフのペレストロイカ、情報公開によって何が起こったのかをよく考えています。

一党独裁だったソ連が情報公開や改革を行ったら、すぐに潰れたという事実を見ているのです。

中国はわかっている

2020年5月、香港で勃発した民主化デモの風景

独裁制から民主政治に変わったよい例はアウン・サン・スー・チーのミャンマーで、移行はゆっくりと進めなければいけません。

中国は地方選挙を民主化しており、香港もその例に漏れません。

しかし、共産党が納得する候補しか立候補できないのは、まだまだ遅れているということです。

中国もこのままではマズイと考えていることは確かであり、おそらく足並みは亀のように遅いですが、民主化を進めるでしょう。

このままでは中国という国は、衰退していくのはよくわかっているのです。

この記事のまとめ

一時的発展はあっても、長い目で見れば中印の衰亡は決定的

今回の記事では、インドが中国を侵略するという言説があるが、妄説にすぎない。

今戦えば、中国が必ず勝利する。

また、共産党独裁による権威主義の中国、カースト制による差別主義のインドの発展は一時的なもの。

長い目で見れば、勝った者が生き残る自由民主・資本主義陣営に勝つことはできない。

このことをわかっている中国は、民主化を進めてはいるが、その歩みは亀のように遅い。

このままいけば、いずれ両国は衰退への道を歩むことになるだろう。

こういう内容の記事でした。