六本木ヒルズ森ミュージアム「STARS展」観てきました!
東京六本木ヒルズ森タワー53階「森美術館」で行われているSTARS展は、日本が世界に誇る6名の現代美術アーティスト
- 草間彌生
- 李禹煥(リ・ウファン)
- 宮島達男
- 村上 隆
- 奈良美智
- 杉本博司
の初期から最新作を一度に閲覧できるまたとないチャンス!
最終入館が21:30(火曜日は16:30)、また9月19日からは全日事前予約が不要となったので、仕事帰りにも立ち寄りやすくなったのがうれしいですね。
今回は草間彌生をクローズアップ!
今回は「水玉」「かぼちゃ」など数々のイメージアイコンを持つ「草間彌生」作品についてご紹介させていただきます。
最近の草間彌生関連ニュースといえば、今年2020年ヘネシーブランド(フランス)のシャンパン「ヴーヴクリコ」のパッケージですね!
「ポルカドット」と呼ばれるトレードマークの水玉模様と、シャンパンがスパークする「泡」をリンクさせた所がフランスらしいエスプリを感じさせます。
(ちなみに近年まれにみる当たり年2012年産ブドウを使用!ぜひクリスマスシーズンなどに一本どうぞ)
ニューヨーク帰りのアーティストではありますがフランスとは縁があるようで、2012年にはルイヴィトンと腕時計をコラボしたニュースも注目を集めました。
(世界188本限定!真っ赤な水玉模様の文字盤とベルトがまさに草間ワールド全開でしたが10ポイントダイヤモンドが輝くラグジュアリーウオッチでした)
STARS展アーティスト6名の中でも最高齢(1929年3月22日生まれですから御年91歳!)ながら、私見ですがもっともパワーを感じました。
ではここで今回出展された「草間彌生」作品についてご紹介いたしましょう。
↓作家の詳しい紹介記事はコチラ。ぜひごらんください!
草間彌生の出世作!ネットペインティング作品
水玉模様と同じく草間彌生の代名詞である「ネットペインティング」シリーズの初期の作品からご紹介します。
キャンパス全面を黒で塗りつぶし、その上に白の無数な小さな弧を重ねたことで「網の目」状に見えることから「ネットペインティング」と呼ばれています。1957年ジョージアオキーフに誘われて渡ったニューヨークで、もっとも早く批評家たちに注目された作品です。
初期のモノクロームのネットペインティング作品はミニマル・アートの旗手「ドナルド・ジャッド」らに絶賛され、一躍ニューヨークアート界の寵児となったきっかけとなりました。
No.A
インフィニティネットと同じく、遠目からは白一色に見えるけれど近寄るとレースのような白い絵の具の重なりがわかります。
精神的混沌を描いていると頭では理解していても、処女性にも通ずる清浄さを感じさせるウェディングベールにも見えるのです。
(草間自身は男性でも女性でもなく「無性」を主張。
10数年間関係が続き、そして生涯ただ一人の恋人となったジョセフ・コーネルともエロティックでありながら真の男女関係はなかった)
ミシガン湖
STARS展に出展された3点のネットペインティング作品の中で異色を放つ作品。
他の2作が油彩で描かれているのに対し、こちらで使用されているのは「墨汁」と「白胡粉(貝殻から作る画材。膠と混ぜて日本画を描くのに使用される)という極めて日本的な画材を使用。
単に極貧のため油絵の具が買えなかったのかもしれませんが、慣れ親しんだ日本画の画材を手に取った時日本が恋しくなり、ホームシックになることもあったのでしょうか。
ミシガン湖の風景に故郷の松本の風景を重ね合わせていたのかも、と創造させます。
無限の網 インフィニティネット
赤と黒の世界の中心に太陽のごとく浮かび上がる、光を浴びた赤と黒の世界が続きます。
ネットペインティングは、幼少期から幻覚に病まされていた自己救済のひとつの形、として解説されることが多い表現方法です。
1977年以来「自発的に」精神病院の一室で暮らしている草間彌生。
彫刻や絵画で自分を解放するすべを持つことで、辛くも人生を継続させることができたのでしょう。
絵を見ていると若き日の草間彌生がとらわれた網の中でもがきながら、自らの芸術を追求する姿が目に浮かぶようです。
国内で見ることができるネットペインティング作品としては、豊田市美術館所蔵「No.AB」千葉市美術館所蔵「No.B white」があります。
草間彌生再評価!ベネチアビエンナーレ出展作品
1993年に開催された「第45回ベネチアビエンナーレ」において、日本館代表に選ばれたことは大きな転機となりました。
海外を中心に再評価され始めた草間作品にようやく日本のアートファンも注目するようになりました。
今回はその折の展示作品が出展されています。
天上よりの啓示
キャンバスに描かれた水玉を観ていると、なぜでしょうキャンバスを超えて四方に広がっているような錯覚に襲われます。
宇宙に浮かぶ無数の星、この世を生きる魂、観る人によって様々な意味を感じさせてくれます。
モダンミクストメディアのトップランナー!
「ソフト・スカルプチュア」とよばれる布と既製品を組み合わせた造形作品(ミクストメディア)も草間作品の代表作。
特に男性器を象徴したミクストメディア作品は、アンディウォホールが盗用したといういわれもあり、当時の草間彌生がどれほど刺激的な存在だったかがうかがえます。
今回も3点出品されています。
ピンクボート
こちらもベネチアビエンナーレに出展された作品です。
草間作品に繰り返し登場する「増殖するファルス(男性器)」をモチーフとした作品。
とはいえ見た目には柔らかい布のデコボコにしか見えず、ユーモラスですらあります。
しかし作者本人にとっては、恐怖の対象でしかありませんでした。
無題(金色の椅子のオブジェ)
ピンクボート同様に布の突起物でおおわれた椅子のオブジェです。
香川県高松美術館所蔵。
http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/museum/takamatsu/event/exhibitions/2015_tenji/ex/20150802.html
トラヴェリングライフ
こちらは脚立を使ったレディメイド作品。
京都国立近代美術館所蔵。
https://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=151104
Infinity Mirrored Room~信濃の灯~
部屋自体が万華鏡構造になっている通称「ミラールーム」です。
六角の柱をのぞくと小窓があり、その中には万華鏡の世界が広がるというインスタレーション作品。
永遠に奥へ奥へと続く万華鏡ワールドです。
ちなみにこちらは撮影禁止となっています。
草間彌生の抽象絵画!91歳になってなお衰えない創作意欲!
水玉でもない、そしてネットペインティングでもない抽象画も鑑賞することができます。
2009年から手掛けてきた「我が永遠の魂」シリーズからも作品が出品されています。
2020年に入ってすでに600枚を超えて描かれてきましたが、1000枚を目指して今後も取り組むのだそう。
ごく初期を除き正方形キャンバスにアクリル絵の具という組み合わせは変わらないものの、さすがにキャンバスサイズはダウンサイジングしているようです。
しかし絵画世界としてのスケールはさらに広がりを見せています。
芽生え
エッチング作品も多く残されていますが、本作はアクリル絵画作品です。
画面のなかで無数の植物もしくは動物のうごめきが伝わり、生命が誕生する途方もないパワーが伝わります。
たくさんの愛のすばらしさ
「我が永遠の魂」シリーズの中でももっともアイコニックな作品。
闇にしか見えない世界にも、確かに存在する無数の愛を表現する赤。
女たちの群れは愛を待っているのに、男たちはいつも去っていってしまう
列をなす女たちの横顔が印象的。
視線の先にあるものは、男たちそのものなのか、それとも得られない愛なのか。
季節に涙を流して
赤と白の2色で構成されたキャンバスのそこかしこに、涙を浮かべてはいない人の顔。
そして暗示めいたモチーフがちりばめられています。
草間彌生美術館の展示も必見!
2007年に開館した「草間彌生美術館(東京新宿」)は草間彌生本人による私設美術館です。
白い外壁とトレードマークの水玉模様が印象的な建物です。
エレベーターやトイレにいたるまで赤の水玉がデコレーションされており、スマホで撮影を楽しむ鑑賞者の姿があちこちに見られます。
合計5フロアをフルに使った展示はまさに圧巻で、コロナ渦前までは世界中から鑑賞客を集めていました。
2021年3月29日まで「我々の見たこともない幻想の幻とはこの素晴らしさである」展が開催されています。
5Fには世界初公開作品となる花をかたどったブロンズ像があり、本展のメインスポットもなっています。
本店は国内初公開作品だけで構成されているとあって、世界中のディーラーからも注目されています。
STARS展をきっかっけにもっと草間彌生ワールドに浸りたくなったという方はぜひ訪れてみてください。
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