11月23日から始まった金を巡るおかしな動きについて

今回は、11月23日から金の動きがおかしくなっているものを解説していきます。

金の価格変動要因の確認

金の価格変動要因は()何度も言っているように、

【1】ドル
【2】金利
【3】GDP

になります。

金に投資をしようと考える人は、毎朝NY市場のクローズを見てこれらの金の価格変動要因を考えるべきです。

週に一度しか見ない、月に一度しか見ないという人も同様です。

見るたびに、なぜ価格がそのように動いたのかを推測してみてください。

仮に金の価格が急落したとすれば、上記の3つのどれが動いたことによるものかを考えることが肝要です。

新型コロナ禍以降の金価格は金利が動かしている

2020年2月、成都の風景。新型コロナウイルスの流行はアジア、そして欧米へと移り中国の狂騒は今は昔?

新型コロナ禍が始まって間もなく1年になりますが、この間の金の動きのメインは金利の低下です。

なぜなら、株式市場が新型コロナショックによって大暴落したことにより、FRB(連邦準備制度理事会)をはじめとする各国の中央銀行が誘導目標金利を下げているのですから、市場金利が下がるのは当然になります。

金利が下がれば金の価格は上昇するので、8月には最高値を更新しました。

その後、金利が上昇し始めたので金の価格が下落したと考えれば、今の動きは【2】の金利に支配されていることになるでしょう。

ゆえにここ最近の動きは金利に注目していればよいという結論に達するのですが、ここに大混乱したアメリカの大統領選挙を巡る不透明な動きで、11月からドルが暴落しているという事実があります。

ドル安になれば相対的に円高になり、ドル円は103円台まで沈みこみました。

しかし、ドル安なのでドル建ての金は上昇するはずなのにしない、むしろここ最近は下がってしまっているということが今回のムチャクチャな「おかしな」動きになります。

11月23日からの金の動きのおかしさ

11月23日からの金の動きのおかしさを3つの金の価格変動要因で見てみましょう。

以下はここ最近のドル、金利、株価(GDP)の動きになります。

まずはドルです。

参照元:TRADING ECONOMICS

次に金利になります。

参照元:TRADING ECONOMICS

最後にGDPを体現する株価です。

参照元:TRADING ECONOMICS

整理してみましょう。

【1】ドルは下値を切り下げ、最安値を更新しているので、金は上昇
【2】金利は下値を切り上げ、上値を追っているので、金は下降
【3】株価(GDP)は上値を切り上げ新値を更新しているので、金は上昇

これらの要因を総合すると【1】と【3】は上昇要因、【2】は下降要因ですので2対1で上昇になり、金価格は上昇していると推測できるはずですが結果はどうでしょう?

参照元:TRADING ECONOMICS

1ヵ月前と比較して下落しています。

これでは金の価格をチェックする前に毎日のニュースで株価や為替をチェックしていても、どうなっているのか当たらないことになってしまうのです。

上がるべきものが下がっているという奇妙な事実

しばらく姿を見せないうちに(?)ビットコインは力を蓄えていた!?

一番最初に指摘したいことは、本来ならこの1ヵ月で上昇しなければいけないものが、反対に下がっているという端的な事実です。

ほとんどのメディアや報道が金は買いだと10月くらいまであおっていましたが、当コラムでは一貫して長期的には上がる見込みはないと説明してきました。

本来なら理論的に上昇しなければいけない要件にあるものが下がっている、つまりこの相場は「弱い」と結論づけることができます。

この春から夏にかけて金は買いすぎていたから、おそらく今回のビットコインが最高値を窺うような展開になっても、金は続伸しなかったと想像できます。

反対にビットコインは弱いと当コラムで断じていましたが、今まで上昇しなかったら強くなったと想像できるでしょう。

今後の金利の展開

世の中は株価の新値更新で浮かれていますが、株価の価格構成要件も金と同様に【1】ドル、【2】金利、【3】GDPになります。

株価もここ数年の高騰の原因は金利安です。

2019年にトランプ大統領の威嚇によってアメリカで金利が下がったので、株価が上昇したというのが株高の「長期的」要因になります。

以下は、アメリカの100年間の金利の推移です。

参照元:TRADING ECONOMICS

基軸通貨であるドルの金利は1970年からずっと下がり続けています。

しかし、グラフの右端を見れば明らかのように、金利が反転し始めました。

さらにドルもここ最近安値を更新していますので、株価が最近新値を更新したのはドル安の影響ということができます。

今後のドルの動向

先だって解説しましたが、このドル安は大統領選挙の影響です。

【米大統領選2020】混乱からのドル安が株高の要因

ところが、大統領選挙の選挙管理委員会の決定がジョージアからだんだんと出ています。

最終予定のペンシルバニアの選挙管理委員会も結果を出す見込みです。

となるとドルが反転して【1】ドル高、【2】金利は横ばいから上方向となり、金にとってはさらに弱い材料となります。

今後のGDPは?

2020年10月ニューヨーク、人気の少ない通りと閉店に追い込まれた店舗

最後に【3】のGDPですが、FRB(連邦準備制度理事会)の理事たちからは、すでに10〜12月期の第4四半期は7〜9月の第3四半期よりも落ち込むのは確実という声が聞かれています。

それなのに株価は新値を更新と摩訶不思議なことが起こっているのです。

ドルが高くて金利も横ばいから上昇、GDPが悪い見込みなんだから金が下がるのは当然ですが、株価が高いのは蜃気楼、つまりバブルということです。

GDPから算出される株価を見ても、直近の【1】〜【3】から見てみても株価もバブルです。

その高騰の短期的な原因はドル安なのですから、ドル安が是正されれば株価は、金価格どうなるのでしょうか…。

この記事のまとめ

今回の記事では、金価格を変動させる要因【1】のドルは安、【2】金利は上昇、【3】GDPは上昇で、3つのうち2つが金の上昇要因となっていたのにもかかわらず、金相場は下がっている。

この事実から今の金相場が相当弱いと結論づけられる。

今後の展開は、ドルが高くなり金利も横ばいから上昇、GDPが悪い見込みなので、金にとってさらに弱い材料が重なり下がるのは必然。

こういう内容の記事でした。


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