今回は、過熱するアメリカの不動産市場と金というテーマを取り上げます。
FRBは金融緩和の縮小を始めたのか?
7月のFRB(連邦準備制度理事会)の議事録でも明らかになったように、FRBは7月からテーパリング(金融緩和の縮小)の議論を開始しています。
実際の緩和は、以下のFRBのバランスシートをご覧ください。
バランスシートが拡大したら、金融緩和を増やしていることになります。
FRBの動きは、去年2月にコロナショックがあってから継続的に緩和を行うと表明していることを続けています。
これはアナウンスのとおりであり、テーパリングの議論を開始しただけであって、実際にはまだ緩和縮小のアナウンスをしていないので、緩和縮小はしていません。
今の株価やビットコインは高すぎる!
当コラムでは何度も指摘していますが、実際の株価やビットコインの価格は去年と比較して高すぎます。
特にビットコインはピークで去年よりも500%以上高くなり、現在でも前年比で200%高という状態です。
実際に買い物に使えるのであれば、それなりの需要はあるでしょう。
実際にアメリカでは使えるお店はあるのですが、日本国内では以前のブームでは多少使えるお店があったのですが、現在ではほとんどないという状況からすれば今の値段は高すぎます。
株価にしても、去年からアメリカの主要3指数で前年比で30%高という状態であり、日本株の10%高と比較しても際立っています。
去年からの1年間で日本の経済が10%も上昇したという実感はありますか?
いくらオリンピックを開催しているとはいえ、観光業や飲食店、小売店がまともな営業ができない状態の中で、この株価はまともだと思いますか?
アメリカも似たり寄ったりですが、30%高いことに違和感を抱きませんか?
つまり株やビットコインは高すぎる状態であり、待っていれば下がると思っている方がほとんどでしょう。
一方の不動産市場は?
不動産市場の適正価格は変動しますし、何が適正なのかはわかりません。
ただし言えることは、不動産は金と同じく有限の資源であり、供給には限りがあるということです。
世界中の人が豊かになって不動産を買う余裕ができても、その需要を満たす不動産はこの世には存在しないのです。
つまり不動産の購入意欲が高くなればなるほど、価格は天井知らずで上昇します。
現在のアメリカの不動産市場は完全にバブルに入っており、日本の不動産バブル末期のように別荘地の不動産が高値で売買されている状態です。
加えて、中古住宅の在庫不足も懸念されています。
米不動産バブルは続くのか?
需要の方は、アメリカは弱年齢の人口が多い正ピラミッドの形を構成しており、1946〜50年代生まれの第二次ベビーブーマーの人口が一番多い日本とは大きな違いがあります。
若い年代ほどおカネを持っていないのは当然のことで、一人前になって家族を持てば住宅が欲しくなるのは人間の欲求からすれば当然のことであり、今後も不動産需要は衰えることはないでしょう。
仮に今の不動産バブルが破裂しても、価格が安くなればさらに需要が増え、不動産価格は戻りやすいのです。
反対に株価やビットコインは価格が上がる正当な理由がないので、戻りにくいと言えるでしょう。
つまり、株と不動産のどちらに分があるかを考えた場合、不動産の方が圧倒的に有利であり、このバブルはまだ当面続くと考えられます。
なにしろ、FRB(連邦準備制度理事会)が市場最大規模の緩和をしている状態ですので、収まる傾向はないでしょう。
住宅金利と市場金利の比較
住宅指標金利とアメリカ国債10年の利回りの関係は過去5年、下図のようになっています。
住宅金利ローンと国債10年物金利は相関関係にあり、ここ最近、長期金利が下落しているのは住宅ローン金利が下がっていることにあります。
住宅、不動産価格が最近あまりにも高騰したので、その需要が弱っている状態になるのですが、住宅購入意欲がこのまま低下するとは思えませんので、おそらく期間を置けばまた上昇してくるでしょう。
そして、7月21日には住宅金利指標が発表されます。
これが上がるか下がるかによって金利、特に長期金利の上下が決定されることになります。
この記事のまとめ
今回の記事では、過熱するアメリカの不動産価格は、仮に今のバブルが破裂しても価格が安くなればさらに需要が増え、価格が戻りやすい特色にある。
金利の大幅な需要がある不動産市場の盛り上がりによって、金利は今下がっているが、長期的には金利は上昇する傾向にある。
金利が下がれば上昇し、反対に金利が上がれば下がるという関係にある金価格は、金利が上昇する傾向にあることを説明しているので、長期的には下がるということ。
こういう内容の記事でした。
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