今回は、マーケットは過去との比較で動くという前提に基づき、今までとは違う新たな金価格の予測方法をお伝えします。
今まで解説してきた2つの金価格予測法
今まで金の価格は、
【1】ドル
【2】金利
【3】GDP(国内総生産)
の3つの構成要因を見ておけば予測できると記してきました。
大事なことは、この価格構成要素は株価や為替も同じということです。
そしてテクニカル面では、移動平均線だけでマーケットはわかります。
具体的にはチャートに10、30、100、300の線を引けばよく、さらにに言えば各線を10刻み、10であるならば10、20、30、40、50の線を引いて、それらの方向性から予測する方法です。
これらは今まで何度も何度も微に入り細にわたって解説しましたが、今回は新しい予測方法を解説します。
5年前と比べて金が何パーセント上昇した?
下記は、ドル建て金価格の2016年9月30日から2021年9月29日までの5年間の足で、2016年9月30日から何パーセント上昇しているかという表記になります。
現在の金価格は、2016年9月30日から32%ほど上昇しています。
そのほか、2020年8月の高値は5年間で50%上昇したところが頭になり、その調整安は5年間で30%を目安に折り返していることがわかります。
つまりマーケットは、本当は値段で動いているのではなく、前年や5年前から何パーセント上昇したか、していないかの比較で動くのです。
人間は比較する生き物だから…
実はマーケットに限らず、広く我々の経済は比較でしか動いていないのです。
有名な哲学者が「人間は相対的な生き物である」と言いましたが、その意味は「人は他人がいて、自分の存在を知ることができる」ということです。
例えば幼児は「お兄ちゃんがこれをやっているから、私もこれをやりたい」と言います。
これは純粋に自分がやりたいからではなく、他人がやっているからやりたい、他人と自分との比較で欲求になるのです。
大人の世界でも、同期が出世したから自分も負けないようにがんばらなければいけない、となるのが通常です。
この場合も自分が主体ではなく他人との比較によって生きています。
これを資本主義社会では「競争」といい、人類を豊かにする活力という人が非常に多いのですが、動機が不純のようにも感じられるでしょう。
一方で社会主義とは皆が富を分け合い、皆が幸せになるという共同社会で、そこには競争が存在せず、他人のために奉仕し、自分自身がどうなりたいかによって決定される社会になります。
なぜ金相場は比較で動くのか?
所詮、資本主義とは競争を前提に成り立っている社会ですので、自分がどうしたい、こうしたいということが前提ではありません。
ゆえに人の眼ばかりを気にしてそこに自分自身がないから、ストレスが溜まります。
共産社会とは他人の利益のために働く社会、つまり自分の利益は二の次で、全体を盛り上げて活性化することに主眼が置かれている社会です。
ただ、人間とは自堕落な生き物で、やはり最終的には自分が大事ということになってしまうので、中国では一部に資本主義を取り入れました。
つまりどちらの社会体制も未完のままで、どちらが正しい悪いもないのです。
人間の認識がそうなっているので、結局マーケットという俗物的な世界は相対的、つまり比較によって成り立っているのです。
そして、その比較対象は1年間になります。
理由は、経済指標の発表は前年比と前月比であるからです。
去年9月30日から今年9月29日までの1年間の比較
下記のグラフは、2020年9月30日から2021年9月29日までの1年間のドル建て金価格です。
このグラフの0%はかなり上の方にあり、この1年は高くても前年比で2.7%しか上昇しておらず、下は前年比で10%以上下落しているのがわかります。
となると、金のトレンドは売りということになります。
さらに言えば、現在は7.7%程度前年よりも売られていますが、これは8月に売られた水準と同じの辺りの水準です。
となると、この現在の金価格1735ドルとは、いいところになる可能性があります。
もちろん、10%以上安になる可能性もあります。
ところが去年の11月を見てみると、金の価格が急落しています。
となると、もしそのときに金が7%安の値段を維持するのであれば、去年の11月よりも安い水準になるということです。
前年比予測で11月の金価格を読むには…
去年の11月の高値は1965ドル、安値は1765ドルであり、それに0.93を掛けた数字は1827ドルから1641ドルになります。
これは現段階では単にこうなるという数字で、実際には11月までにいろいろな変動があるので、こうなる可能性は非常に低いのです。
つまり11月がいくらでスタートし、高値が決まった時点で安値も決まってくる可能性が高いという話です。
この活用法については、また詳細に解説します。
とりあえず、株価が今急落の危機にあることだけを伝えておきます。
この記事のまとめ
今回は、人間は他社と比較をする動物であるがゆえに、相場も同様に比較で動く。
そして、その比較対象は通常前年の数字。
非常にわかりづらく、説明もしにくい予測法ではあるが、これを理解していくと、今まで何をやっていたのであろうと思うことになるだろう。
次回は、去年2月のコロナショックによる株価や金の急落がなぜ起こったのかを解説。
これも比較の理論に基づけば解説できる!
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