エネルギー価格の高騰はどこまで続くのか?

先だってドラッグストアの商品棚からトイレットペーパーなどの紙製品がなくなっていることをお伝えしました。

現実的に、世界はこの冬のエネルギー価格の高騰におびえ始めています。今回はその解説です。

天然ガスの価格推移

現実的に、石油危機が再び私たちの生活を襲おうとしています。

10月18日、岸田首相が原油価格高騰への懸念を表明しました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/7c7755f733bc03e8ae5390a25dc259937f5877ac

引用元:サンケイビズ

下記は天然ガスの価格推移で、右端の数字は前年比での相対値、つまり前年の同月同日比で何パーセント上昇したかのグラフです。

参照元:TRADING ECONOMICS

125%まで上昇し、現在は100%を割る水準になります。

米国債とBTC、金の価格推移を確認する

下記のアメリカ債券10年物利回りの推移をご覧ください。

参照元:TRADING ECONOMICS

120%以上に行った後に下押し、そして再び120%を目指しています。

同様にビットコイン(BTC)も見てみましょう。

参照元:TRADING ECONOMICS

ビットコインも100〜120%まで急騰し、それをクリアすると250%、最終的には500%まで行き、天井を迎えたという経緯になります。

続いて金相場は、頭を迎えてから1年以上経過しており、1年では見れませんので5年を採用しています。

参照元:TRADING ECONOMICS

5年前と比較して60%で頭を打っています。

すなわち、60%→120%→250%→500%というように、高騰相場は推移するようです。

原油価格はどこまで上がるのか?

上記を理解して、原油の価格はどこまで行くのかという問題に移りましょう。

参照元:TRADING ECONOMICS

原油は現在、前年比で104%高です。

これが120%まで行くと考えると、去年の10月19日の値段は40ドルであり、それの120%増しですから、84ドルくらいという計算が出ます。

つまり、目先の高値は120%超となりますので、84〜90ドルくらいが頭になるでしょう。

しかしグラフの左端を見れば、10月末まで値段は下がっています。

つまり、前年比のパーセンテージは放っておいても、現在の値位置を維持しているなら前年比は下がっているように見えるということです。

では、次の250%は原油価格が4.5倍になるということです。

その時点で40ドルの価格とすれば180ドルです。

現実的にはドルが下がり、金利が下がらなければあり得ない数字なので、おそらく90ドル近辺が頭になってくることでしょう。

原油高騰の原因は?

一般的に今回の原油高は供給懸念と言われ、その主な原因として以下の4点が挙げられます。

【1】ヨーロッパがロシアからの天然ガス輸送が増産できない
【2】中国はオーストラリアからの石炭輸入がストップした
【3】アメリカはシェール企業が増産しない、また輸送インフラの構造的欠陥
【4】全世界ではOPEC(石油輸出国機構)が増産しない

総合的には、新型コロナの自粛後の経済再開で、エネルギー需要が大幅に増加したためということです。

あたかも当然の理由が並べられているように感じられますが、果たして本当でしょうか?

エネルギー企業の常道

世界最大の石油会社であるアラムコのテキサス州ヒューストンのビル

北半球はこれから冬で、その需要は9月から始まっています。

9月はまだ日本でも暑いくらいですが、冬場の暖房油、天然ガス需要は、夏場と比較して1割増えるのが常識です。

つまりエネルギー企業は、寒くなる前に在庫を溜めないと冬場の需要に応えられなくなるので、9月から暖房エネルギーの需要が起こります。

反対に、不需要期はまだ寒い盛りの1月からで、その冬の需要は年明けからある程度読めるので、不必要なエネルギーを放出するのがセオリーです。

実は、石油や天然ガスの供給懸念と一般的に言われますが、産油国もシェールも、その気になれば増産しようと思えばいくらでも増産できます。

なぜなら、世界中にエネルギーは有り余っているからです。

石油ショックの時は原油の埋蔵量はあと10年しかないと叫ばれましたが、実際は新規の油田や天然ガス田が発見され、あと100年は大丈夫と言われているのが現状です。

エネルギーを増産しない理由とは?

オーストラリアのウィーンに立つOPECの本部

増産しようと思えばいくらでもできる状態なのに、しないのはなぜでしょうか。

それは、生産者は本気で生産すればエネルギーが余るのがわかっているので、価格を暴落させてしまうことに危機を持っているからです。

中東が石油ショックのあと大不況に見舞われ、それがビンラディンなどのテロの温床になったことを承知しています。

ソ連は石油価格の低下でアフガニスタン侵攻の戦費を賄えず、崩壊したことを想起すれば、価格が高いから増産するなんてことをするはずがないのです。

むしろ、全世界のエネルギー生産者が暗黙のカルテルによって生産を絞っている可能性の方が高いと言えます。

本当の原油高騰の原因

フランスを通る天然ガスのパイプライン

本当の原油高騰の原因は、世界中が金融緩和をやりすぎて、マネーがあり余っていることにあります。

現金を持っていても、緩和で価格が下がっていくのであれば何かを購入するとなる中で、ターゲットになったのが原油や天然ガス、ビットコインであり、金ではなかったということになります。

つまり世界中の金持ちが一斉にこれから冬に向かうのにあたり、原油価格が1〜3割上昇すればという思惑から買ったのが前年比で倍の価格になったということが真相です。

要するに投機のやりすぎなだけです。

バイデン大統領も原油高の犯人!?

2018年にアルゼンチンのブエノスアイレスで行われたG20会議で談笑するサウジアラビアのMBSとロシアのプーチン大統領

ロシアもサウジなどの産油国も、別にいじわるをして原油を増産しないのではなく、結局、アメリカのバイデン大統領があまりにも生意気なので、言うことを聞かないだけです。

通称MBSと呼ばれるサウジのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子は、サウジの要望をアメリカに蹴られ、今回のアメリカの増産要請を蹴ったと言われています。

ロシアはバイデン大統領に「人殺し」呼ばわりされたプーチン大統領がよい顔をしないのは当然でしょう。

また、バイデン大統領の偏りすぎた環境政策によって需要と在庫の偏在が起こったことも原因と思われます。

エネルギー高騰はいつまで続く?

冬のパリの雪景色

エネルギー需要は冬の間、つまり前述したように12月いっぱい続くということです。

その後はいらない原油、エネルギーの放出になります。

ただし、今年の場合は価格が高騰しているので、その買入は各社ともに慎重になるはずです。

ゆえに年明け以降まで購入が続く可能性があります。

それが原油価格の長期化になりますが、結局、高値で価格が維持されるのであれば、産油国、シェール企業は増産するということで解決します。

この記事のまとめ

今回の記事では、今回のエネルギー価格の高騰の背景は、新型コロナショックによる金融緩和の影響であり余った現金が、投機目的で流れ込んできているから。

またこれを受けて、全世界のエネルギー生産者が値崩れを起こさないために、暗黙のカルテルで生産を絞っていると考えられるということ。

この高騰は年明け以降まで続く可能性があるが、高値で価格が維持されるのであれば、産油国、シェール企業は増産するだろう。

つまり、このエネルギー価格の高騰は短期的だと言うことができる。

こういう内容の記事でした。


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