現在のインフレが2023年まで続く可能性が高い理由

エネルギーや穀物、半導体などの価格高騰が続いていますが、の要因の一つは、ウクライナ情勢でしょう。

では、このインフレはいつまで続くのでしょうか?

今回のインフレの原因

アメリカの中央銀行であるFRBのワシントン本部

今回のインフレの原因をFRB(連邦準備制度理事会)の高官は、サプライチェーンの混乱としています。

つまり、金融緩和の拡大のし過ぎによってバブルが生成され起こったという意味です。

余った資金が株や半導体、エネルギー、食糧に向かい、結果としてインフレが起こったのです。

その金融緩和の拡大は、アメリカにおいては3月にテーパリングが終了し、16日と17日に行われるFOMC(連邦公開市場委員会)では、利上げが予定されています。

これは3月の上旬に、FRBのパウエル議長が「3月のFOMCでは利上げが行われることが適切である」と議会で証言したことで、ほぼ確定となりました。

なおこのような発言は異例であり、FOMCを前にして利上げを明言することは過去の歴代の議長にはありませんでした。

つまり、インフレの原因である金融緩和を利上げによって抑制し、テーパリングからQT(量的緩和の解除)に移行することによって、インフレが収まるというロジックです。

しかし実際には、インフレは収まらない可能性の方が高いことを説明します。

「ポアソン過程」とは?

同じ誕生日の人に出会える確率は365分の1?

確率統計という学問にはさまざまな誤解があります。

例えば同じ誕生日の人がいる確率は、1年の日数と同じ365人に近ければ近いほど増えると考えるでしょう。

しかし、実際のデータでは違います。

確率50%以上で同じ誕生日の人がいるのは、1年の半分180人程度いればその確率は証明されるだろうと考えるのが自然ですが、実際は23人以上集まれば同じ誕生日の人がいる確率が50%以上になるのです。

これは確率の錯誤という理論ですが、一般の方はほとんど知りません。

この理論は発見者に因み、ポアソン過程と呼びます。

インフレが持続してしまう理由

丁と半が出る確率は本当に50%?

実際の統計で50%というと、サイコロでいえば丁半と同じです。

ただその経過の中で半が20回くらい連続で出たり、丁がほとんど出なかったりします。

この過程でギャンブラーは50%の確率に着目し、半が5回程度連続して出たときにはそろそろ半が出るだろうと考えることになります。

つまり丁半の確率は、サイコロを100万回振れば50%になりますが、10回や100回では数字に偏りが出るのです。

実際に一つ悪いことが起これば、何度も何度もその悪いことを引き寄せ、結果、最悪なことになることがあるでしょう。

数字上では過程を一切無視すれば最終的な確率は50%になりますが、実体験では数字に偏りが出るということです。

これがインフレが長続きする理由になります。

買い溜めに走るという心理

人が買い溜めに走るのにはいくつかの理由がある

アメリカのイエレン財務長官やFRBのパウエル議長がインフレと表明したのは去年の今の時期。

1年近くたった3月15日時点でも改善する傾向は認められません。

それどころかこれ以上悪化する懸念が出ています。

アメリカやロシアでは年20〜30%の物価高に見舞われていますが、アメリカの賃金上昇は年5%、ロシアではまだ最新のデータは出ていませんがほとんどお給料は上昇していません。

庶民が目の前の生活を維持するのに汲汲とするのは想像に難くないでしょう。

そうすれば庶民を含めて石油会社やIT会社、食料会社は何をするでしょうか。

今後も値段が上昇するのが目に見えているので、安いうちに買い溜めに出ます。

これは2020年のマスク騒動を想起すればわかるでしょう。

マスクを一人で100枚持っている人がいたとしても、店頭にマスクがあればさらに買い占めるのと同じです。

つまりこれが全世界、全企業に広がり、出物の金やエネルギー、食糧、半導体を買い溜めに走るのです。

ウクライナ危機の解消まで続く…

2022年3月、ロシア軍の砲撃で破壊されたウクライナの首都、キエフの橋

こうした状態は、エネルギーや半導体の目詰まりが解消するまで続く、つまりウクライナ侵攻や欧州のエネルギー危機が解消するまで続くということです。

金などの貴金属などや環境資源も、出物があればどんなに高くても買い占められてしまいます。

今がそのピークであり、需給が改善するためにはまだ時間がかかります。

冬の収束に伴い、暖房エネルギーの需要が減るとはならないのです。

企業は、すでに来年の冬のことを考えているはずであり、その調達先の確保を春から始めることでしょう。

この状態でエネルギーや金の価格が下がるとは考えられず、需給が改善し始めるころには、すでに冬が始まるので再び高騰することでしょう。

この記事のまとめ

今回の記事では、現在のインフレはサプライチェーンの混乱ではなく、世界で買い占めが起こっていることによるものであると確認。

すなわち、今後もインフレが進行することを前提に、安いうちに買い溜めようということが理由。

これはエネルギーや食料などに留まらず、金にも言えること。

ゆえにこのインフレは、エネルギーや半導体の目詰まりが解消するまで続く。

ウクライナ侵攻や欧州のエネルギー危機がある中、到底本年中に収まる目処は立たないだろう。

こういう内容の記事でした。


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