世界の金融市場から44兆ドルが消えた!?金市場は?

日本経済新聞に世界の株式、債券市場から44兆ドルの資産が消えたという記事が掲載されました。

今回はその記事について解説し、金相場への影響をお伝えします。

日本経済新聞の記事

世界の債券・株の価値、44兆ドル減 4~9月で減少幅最大

引用元:日本経済新聞

日本経済新聞によると、4〜9月期で世界の株式、債券の価値が44兆ドル減ったそうです。

リーマンショックやコロナショックでは、このような「市場から〇兆ドル消えた」、「このお金はどこに消えたのか」という報道がよくなされました。

「消えた」と聞くと誰かが盗んだり、一部の強欲な投資家がそのようなお金を稼いだと捉えられがちですが、実際は違います。

世界の投資家が株式や債券に投資していたお金を44兆ドル現金に変換しただけです。

たんに世界の預貯額が増えているだけの話を『なぜだかアメリカの貯蓄率が高いのをアメリカ人は金持ちだ』という論法になるのか理解できません。

2種類の金市場と総取引量の謎

タイのバンコクのショッピングセンター内のゴールドショップ

大事なことは、皆さんが投資をする金市場にそのようなお金は流入しないのか、でしょう。

世界の金市場は、2つに大別できます。

1つはロコ・ロンドンに代表される現物市場、そして2つ目はNYのマーカンタイル取引所に代表される先物市場です。

先物市場とは取組高というものが発表され、例えば日本の先物市場で1万枚の取組高があれば、1枚が1キロになるので1万キロの取引となると考えがちです。

しかし、売り1枚と買い1枚で取組高1枚になるので、実際は取組高1万枚では2万キロの取引があることになります。

このように、どのくらいの量が取引されているかがわかります。

ところが先物取引では現物の受け渡しも行われますが、実際の現物の取引が行われるのは総取引高の1%にもなりません。

つまりほとんどの取引は差金決済、買ったと仮定して値上がりしたらその差金を現金で受け取るというのが実態です。

現物取引は、世界各地にロコ市場という現物取引市場がありますが、その取引量は公表されていません。

つまり、世界の現物市場ではどのくらいの量が取引されているかはわからない状態です。

日本でも、民間の店舗で金の現物や地金、果てはコインまで売買しているので、実際の世界の金の取り引きがいくらあるかなど誰にもわかりません。

つまり金の取り引きが盛り上がっているなどという報道がよくなされますが、実際は店舗ごとの売り上げは上がっていても、世界でどのくらい売り上げが上昇しているのかわからないのです。

金の特色と欠点

佐渡金山の入り口

金は、永遠の価値を持っています。

つまり、保有している限りその価値が永続するのが特色です。

日本円であれば、日本という国家が滅亡すればなくなるのですが、金の場合は国家の倒産のように価値がゼロになるというようなことはありません。

そして人種や国籍が違っても、人の目に価値は共通であるということです。

エジプトのツタンカーメンや日本の佐渡金山のように、どこの地域でも価値を持っているということです。

一方で、金利がつかないという欠点があります。

この基本を覚えておくと、基軸通貨ドルの価値が上昇すれば金の価格は下がり、金利が高くなれば金利のつかない金の価値は値下がりするという、金の価格構成がわかります。

また、GDPに反映するのは、GDPの成長が仮に無限大とすると、有限の金は相対的にその価値を高めるということになるからです。

かみ砕いていえば、GDPが10%成長しても金の量は増えないのですから、全てのお金を金に換えようとすればお金がもっと必要になるということです。

44兆ドルのゆくえ

アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)のワシントンDC本部

現在アメリカでは、金利4%を目指して上昇しています。

これは金にとっては不利なことで、金利のつかない金は敬遠されます。

保有していても株式のように配当などが当たるわけでもありませんし、不動産のように家賃があるわけでもありません。

つまり、株式や債券を現金化して預貯金に回しても、アメリカの一般家庭では4%程度の金利がつき、インフレ対策としては有効になり得るでしょう。

年間5%の利益がある投資信託がなかなか優秀なことを考えると、預貯金も有効な資産運用となります。

しかもノーリスクで株式・債券と違いほぼ確定的に利回りがありますから、この流れでは恐らくアメリカでは、預貯金をする人が増えることになるでしょう。

かたや日本ではいまだに金融緩和を続け、現在ではドルに対して30%も円安になっています。

株式市場はさえず、債券市場では日銀がゼロ金利を維持している状態です。

しかも黒田日銀総裁は、この金融緩和はまだ2〜3年続けると言っています。

つまり資産運用の手段として主な、株式・債券・預貯金投資は今後もお先真っ暗。

そこで恩恵を得るのは不動産投資です。

融資は、借り手があまりいないので審査が通りやすい、おまけにお金余りで株式・債券・預貯金にはお金が流れ込む余地があまりないのですが、不動産には価格が上昇してその余地があります。

日本では不動産投資vs.金投資

支持率の低下にさいなまれる岸田首相

日本では円の価値が年間30%減少し、金利はゼロ、GDPは岸田首相の言う新しい資本主義に関して、アベノミクスのように具体的な政策がありません。

金融税制を改革して増税すると言い放ちましたが、一斉に反発を喰らって引っ込めることになりました。

その場合、不動産も有力な投資先ですが、金も円の価値が下落している現在有力な投資先となります。

ビットコインは若い世代にはある程度理解できますが、お金持ちの傾向がある年寄りが信用するのは不動産や金など、実態があるものでしょう。

ところが、その金の投資の実態が先に記したように誰にもわかりません。

不動産は政府統計が出てどういう実態になっているかわかりますし、住宅ローン減税もおそらく続きます。

頭金ゼロのダブルインカムで5,000万円の住宅が購入できるのは住宅ローン減税のおかげですが、金利があればこんな怖いマネはできません。

ところが金の場合、44兆ドルのお金が株式・債券市場から出ていき、その行先はアメリカでは預貯金が有力ですが、日本では株式市場を現金化しても行き場がなくなってしまっているのが現状です。

そこに目の付け所がよい投資家が金を購入し始めたら、円建ての金価格はどうなるでしょうか。

この記事のまとめ

今回の記事では、いわゆる株式、債券から消えた44兆ドルは、現金化されたことを意味することを確認。

その上で、その44兆ドルのゆくえについて言えば、アメリカでは預貯金。

一方日本では、まだまだ金融緩和が続くので株式、債券、預貯金投資は今後も望み薄。

不動産が有力な投資先だが、円の価値が下落している現在、金も有力な投資先となり得る。

これだけの条件がそろっていれば、目先の利いた人たちが必ず購入してくるはず。

ただし投資の基本、安いところを買って高いところを売るに則れば、今の価格で買うのは微妙なところ。

安くなったときが買いのタイミングだろう。

こういう内容の記事でした。


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