草間彌生のアートスタイル

表現形式

  • 絵画
  • 版画
  • 彫刻(造形)
  • 写真
  • インスタレーション
  • 小説

表現様式

  • オブセッショナル・アート
  • コンセプチュアル・アート
  • シュールレアリズム

草間彌生作品の特徴と魅力・評価ポイント

特徴と魅力 

ドキュメンタリー映画「草間彌生∞INFINITY」の公開、東京都庁のグランドピアノのデザイン、UNIQLOとのコラボなど、多くの話題を提供する草間彌生。

  • かぼちゃ、水玉などのアイコンモチーフ
  • 洪水のようにあふれる強烈な色彩

見る人に一目見たら忘れられない強い印象を残します。

「無限の網―草間彌生自伝」「不思議の国のアリスWithartworkby草間彌生」など多くの著書から、改めて草間彌生アートに魅了された人も多いことでしょう。

また20代の若さで単身でニューヨークに渡り、1970年代のアメリカのアート界の成功者であり、アーティストを志す人たちの憧れの存在でもあります。

草間彌生アートの見どころや魅力は、自らの病と闘いながら病がみせる幻覚をアートの域にまで昇華させてゆく、孤高の芸術家としての生きざまが感じられる点に集約されます。

  • 「朝から夕方まで食事する間も惜しんで描き続ける」
  • 「待っていてくれる人のために描く

と自らインタビューに答えているように、草間彌生の作品は人々に生きる勇気とパワーを与えてくれる存在となっています。

NY時代のショッキングな創作活動のイメージが先行して、長く日本では不遇だった草間彌生。

しかし、1990年代以降の再評価とともに多くの展覧会などで人々が草間彌生アートに触れる機会が増えました。

アメリカ、ヨーロッパで火が付いた草間彌生のアートは現在では多くの日本人にも愛されています。

また同時に2大オークション(サザビーズ クリスティーズ)では数億円を下らない世界的なアーティストとしてアート界に君臨する存在でもあります。

評価ポイント

草間彌生の創作活動の前半は、ムーブメントの最先端を走るアーティストとして本場ニューヨークで高い評価を受けてきました。

しかし日本では、ショッキングかつ前衛的に過ぎるとみなされて一部の熱狂的ファンの支持にとどまりました。

そして華やかでわかりやすいアートが好まれたバブル期がおわり、1990年代から草間彌生の再評価がはじまります。

1989年ニューヨークの国際現代美術センター(CICA)でひらかれた回顧展を皮切りとして、

  • 1993年「ヴェネツィア・ビエンナーレ」
  • 1998年「ラブ・フォーエバー:草間彌生1958~1968」

改めて世界のアート界に再登場した草間彌生アートは脚光を浴びることとなります。

2005年には1962年作「No.B,3(キャンバス全面に網目を描く「ネットペインティング」)」がクリスティーズで100万ドル超えで(1,192,000米ドル)落札され話題となりました。

日本人アーティスとしては最高額をマークし、このオークション結果が村上隆、奈良美智をはじめ日本のアート作品価格の高騰に大きな影響を与えることとなりました。

また世界的なアート人気の高まりによって、草間彌生の一点もの・オリジナル作品は数億円、100エディションほどあるシルクスクリーンなどのマルチプル作品も100万円単位と、一般的なコレクターにとっては高根の花的存在となってしまいました。

しかし資金に余裕がない若い世代は、草間彌生アートを身近に感じられないかというと決してそんなことはありません。

たとえばカボチャモチーフのデザインを提供した「MOMA×ユニクロ×草間彌生」によるコラボレーションアイテム。

草間彌生の若いファンを大切にしたいという思いが届いた一例です。

草間彌生のプロフィール

幼少期

1929年長野県の老舗の種苗店に生まれる。

裕福な旧家で何不自由なく育ちながらも、幼いころから「視界が水玉で埋め尽くされる」「花が話しかけてくる」などの幻覚・幻視、そして幻聴などに悩まされてきた。

その陰には、迫りくる戦争の足音、そして夫の放蕩に苦しむあまりにヒステリックだった母親との確執があった。

しかし徐々にこれらの強迫神経症の症状を絵画に投影することを覚え、草間彌生のアイコニックモチーフ「水玉 ドット」「網目 ネット」に転換。

自殺未遂をも引き起こした病が、オリジナリティの萌芽をもたらすきっかけとなった。

青年期・学生時代

1946年「第2回全信州美術展覧会」では日本画部門で「南瓜(かぼちゃを6個描く」で入選をはたした。

「松本高等女学校」から「1949年京都市立美術工芸学校絵画科(現:京都市立芸術大学)」に進み1949年卒業。

実家に戻りいよいよ本格的な創作活動に入る。

創作初期

旧弊な日本の美術館に絶望し、1957年渡米。

あこがれだったジョージア・オキーフの励ましの手紙が後押しとなった。

鏡や電飾を駆使した野外彫刻作品、過激なモチーフを多用したインスタレーションで注目を集める。

またヌードモデルを使ったボディ・ペインティング「ハプニング」など、「前衛の女王」「水玉の女王」などの異名をとる。

創作中期

1973年に帰国。

恋人だったの著名アーティスト「ジョゼフ・コーネル」を心臓病でなくし、精神的に追い詰められたことが主な原因とされる。

しかし保守的な日本アート界には、草間彌生アートは異端として受け入れず。

長く低迷する時期を過ごす。

その一方では、精力的に執筆活動を行った。

自伝的色彩の強い「マンハッタン自殺未遂常習犯」、NYに生きるゲイを描き新人文学賞を受賞した「クリストファー男娼窟」などがある。

創作後期・現在

1990年代から再評価され始め、創作活動が活発化する。

強迫観念と幻覚のプロセスの中で生み出される、強烈な色彩と独特のフォルムが若い世代を中心にファンを獲得。

2010年代には「永遠の永遠の永遠」「草間彌生わが永遠の魂」「わたし超スキッ!!」などの国内巡回個展、そして欧米はじめ南米やインド展覧会を多く開催。

2012年ルイ・ヴィトンとのコラボアイテム「LOUISVUITTON×YAYOIKUSAMACollection」を発表し伝説のレアアイテムとなる。

2016年には87歳で「文化勲章」を受賞。

2017年に東京に「草間彌生美術館」が開館。同年名誉都民にも選出された。

2019年にはパリの「国際現代アート見本市」で巨大なカボチャのモニュメントが話題を呼んだ。

草間彌生の代表作

直島の「黄かぼちゃ」、「StarryPumpkin」ほかカボチャと水玉模様をテーマにした作品は枚挙にいとまがありません。

またこの草間彌生の代名詞となる二つのモチーフの作品は、国内外で高い評価を受けています。

そのほか初期作品の代表作には、ネットペインティング「InfinityNetsYellow」「No.62.A.A.A.」があります。

2009年から取り組むライフワークとして、大型絵画シリーズ「わが永遠の魂」も後世に残る代表区となるでしょう。

近作のインスタレーションには、北米で開催された「YayoiKusama:InfinityMirrors」「AftermathofObliterationofEternity」のミラールーム作品があります。

草間彌生の市場価格・オークション落札情報

2016年5月11日 クリスティーズ/ニューヨーク

「pumpkin」

1,145,000米ドル(約1.3億円)

2017年11月25日 サザビーズ/ニューヨーク

「InfinityNets-Sea」

5,850,000米ドル(約6.3億円)

2019年10月6日 サザビーズ/香港

「INTERMINABLENET」

62,433,000香港ドル(約8.7億円)

2019年11月1日 SBIオークション/東京

「A.PUMPKIN(Y)」

9000万円

草間彌生の作品と出会える場所

草間彌生美術館/東京

草間彌生の初期から現在までの作品がリストアップ

https://yayoikusamamuseum.jp/

松本市美術館

巨大な野外彫刻「幻の華」エントランスの壁にガラス面を水玉でカバーした「松本から未来へ」など

http://matsumoto-artmuse.jp/

国立国際美術館(NMAO)/大阪

「RoomofMorals 道徳の部屋」「DesireforDeathintheWorldofSilver 銀色の希死」など

http://www.nmao.go.jp/

直島/香川

野外彫刻「南瓜」「赤かぼちゃ」

http://www.naoshima.net/art/art_miyanoura/

新潟市美術館

エッチング59点に加え、初期のパステル画「線香花火」幅8.4メートル、高さ3.2メートルの「流星」など

http://www.ncam.jp/sp/

※野外彫刻「南瓜」、室内展示「南瓜」35点を収蔵していた「フォーエバー現代美術館/京都」は2019年閉館

草間彌生のその他トピック

水玉模様を見れば連想するのは「草間彌生のかぼちゃ」、そんな日本人は多いのではないでしょうか。

世界の巨匠ともいうべき存在となった今では、もはや世界規模の連想ゲームかもしれません。

2016年にタイムズ誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出され、草間彌生のアーティストの域を超えた影響力の高さを国内外に示しました。

2019年にはアメリカ出身のヘザー・レンズ監督によるドキュメンタリー映画「草間彌生∞INFINITY」が公開。京都国際映画祭特別招待作品に選ばれました。

幼少期のアートへの目覚めや、幻聴や幻覚に悩み思春期、そしてアメリカで人種差別と女性蔑視と戦いながら創作活動を行う姿が胸を打ちます。

2020年も、六本木の森美術館での「STARS展:現代美術のスターたち――日本から世界へ」、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館での「草間彌生展Labyrinth-迷宮の彼方に」展覧会は目白押し。ぜひ日本が世界に誇る草間彌生アートに触れてみてください。


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