ふつうの人々の装いを描く「井口麻未/Iguchi Asami」

21世紀に入ってから加速化し、いまや全世界を巻き込む現代アートバブル。

マーケットをリードするアメリカ中国のアートフェアは大盛況!

多くのコレクターが明日のスターを発掘しようと眼を光らせています。

クリスティーズサザビーズではジェフ・クーンズやバスキアなどの作品は100億円を超える落札が相次いでいます。

 

現在ようやく日本でもアートが注目されるようになり、サラリーマンコレクターと呼ばれる人々が増えています。

そして満を持したかのように2020年4月26日に放送されたのが「明石家さんまの転職DE天職 第9弾|日本テレビ」です。

多くのアーティストの力作が紹介された番組の中でもひときわ目を引く作品がありました。

ふつうの人たちの日常の着こなしを題材にした「今日の装い」の作者「井口麻未」です。

長方形のフレームの中で思い思いの装いを楽しむ人々。

洋服や靴を身にまとう人々が、その装いによって意図せずに自分の内面を表現している点に着目した作品です。

 

番組内では84パターンのコーディネートを集めた「今日の装い」が販売され、アパホテルの元谷芙美子社長が50万円で購入しました。

https://www.ntv.co.jp/tenshoku2020/articles/601qq3254lk850t7cmu.html

 

2019年に「シェル美術賞展 オーディエンス賞」で1位に輝いた「今日の装い」は、378通りのコーディネートを集めたビッグバージョン。

ファッションに興味がない人も描かれた装いの一つ一つを丹念に見たくなりそうです。

(作者が一番気に入っているコーディネートは同じヘアスタイルの女性が来たグリーンのワンピースだそう)

 

来場者3,488票から選ばれたのもうなずける力強い作品です。

ちなみにこちらの作品の売却価格は150万円!

まだ学生である新進アーティストの作品としては驚くほどの高額で、注目度期待度の高さが感じられます。

(100億円で落札されたジェフ・クーンズのラビットが初めて販売された時の値段は400万円でした)

 

このコラムではリファスタが今注目するアーティスト「井口麻未」をご紹介します。

井口麻未アートの特徴と魅力

※写真はイメージです

本記事作成時にはまだ九州産業大学大学院に籍を置く学生(研究生)ですが、在学中からいくつものアートフェアやグループ展に参加しています。

すでに本格的な活動を開始しているプロのアーティストといっていいでしょう。

 

九州発アートといえば、戦後の高度成長期に活動した桜井孝身、オチオサムによる前衛芸術グループ「九州派」が思い浮かびます。

「反芸術」「暴れる生活者」をコンセプトに掲げた大胆なハプニングアート、インスタレーションが九州派の大きな特色でした。

しかし経済的に恵まれない作家が多かったこともあり、ほとんど作品が残っていません。

 

井口作品はそのような九州派の泥臭さとはまた違った趣を持ち、ファンタジー感そして都会的なセンスが感じられる作風が特徴です。

「自分の記憶を現実逃避の中で再構築」

「現実とは異なる時間が流れる世界を描いている」

という作者の言葉を聞くと、ありふれた日常を描いているようでどこか非現実な作品世界が理解できます。

 

たとえば「アートフェア アジア福岡2019」に出品した「ブロッコリー」は、ブロッコリーを現実と非現実をつなぐツールとして表現。

「山々の風景がブロッコリーに見えた」子供のころの記憶にもとづいています。

 

そして「今日の装い」は、「なぜ人は一人一人違う装いをしているのか」という疑問によって成り立っている作品です。

無数にある商品の中からそれを選んだ理由や意味。

そして装いそのものが着る人そして目にする人に与えるもの、人々の装いに隠された背景への強い関心をあらわしています。

 

「今日の装い」の萌芽は、ウムQ 九産大芸術学部作品展に出品された「並ぶほどに想う」にすでにありました。

絵の中で行列を作る人々もまた、それぞれの装いによって自分というものを表現する人々の姿なのです。

井口麻未の作品と出会える場所・モノ・メディア

4姉妹それぞれが独自のアート活動に打ち込む
  • 井口家四姉妹作品販売サイト

2015年~スタートした「井口家4姉妹展」グッズのオンラインショップ。

「ブロッコリー島」スカーフや「今日の装い」マグカップなど。

https://afuri13.thebase.in/

※「井口家4姉妹展」とは?

木工アクセサリー作家「Tomomi Iguchi(https://bigsta.net/account/afuri_13/?hl=ja)」ら3人の姉たちとの不定期開催の合同展

井口麻未のプロフィール

※写真はイメージです

1995年福岡県筑紫郡生まれ。現在アート活動を行う姉たち4姉妹の末娘として育つ。

福岡県立筑紫中央高等学校卒業。

九州産業大学大学院芸術研究科修了後研究生として在籍(2020年現在)。

  • 2017年
    • グループ展「長月の鼎展」(画廊くにまつ青山)
    • グループ展「ミニウムQ九産大芸術学部小作品展」(TURNER GALLERY)
  • 2018年
    • 九州産業大学芸術学部卒業制作展 買上げ賞
    • 第41回三菱商事アート・ゲート・プログラム 入選
      ※三菱商事による若手アーティストキャリア支援プログラム。卒業後3年未満の若手アーティストの作品を1点10万円で買い取る。
  • 2019年
    • アートフェア「ART FAIR TOKYO 2019 Future Artists Tokyo」に「並ぶほどに想う」を出展
    • 第2回目となる九州産業大芸術学部作品展「ウムQ」に出展
      ※ウムQとは九州産業大芸術学部在学生、主に芸術分野で活躍中の40歳以下の卒業生とのグループ展。ネーミングは「産む、九芸」という大学のコンセプトに由来する。
    • 三菱商事アート・ゲート・プログラム 2019年度奨学生に選出
    • 第5回目となる新人作家公募展「AFAF AWARDS 2019 アートフェアアジア」にて「ブロッコリー 島 じま 」で福岡大賞を受賞
    • 第45回三菱商事アート・ゲート・プログラム入選
  • 2020年
  • 「明石家さんまの転職DE天職 第9弾|日本テレビ」に作品が取り上げられる。
    アパホテル元谷芙美子社長に「今日の装い」が50万円で売却された。

井口麻未の最新情報はこちら

  • ホームページ

https://ifmilkmilk.wixsite.com/iguchi-asami

  • Instagram

https://www.instagram.com/iguchi_asami/

  • Twitter

https://twitter.com/iguchi_asami


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください