今回は、当サイトではあまり言及してこなかった貴金属価格チャートのテクニカルサイドの分析を解説していきます。
チャートを少しでも勉強したことがある方なら誰にでもわかる内容ですが、判らない方にもこの見方を極めればある程度先の価格の見通しもわかるでしょう。
今回は表題の通り3元素(金-プラチナ-パラジウム/Au-Pt-Pd)となります。
テクニカル分析の基本
テクニカル分析にもいろいろありますが、基本は移動平均線の方向とクロス、これだけで大体の方向性はわかります。
実際にマーケターはこの移動平均線だけでほぼマーケットの先行きを読んでいます。
それでは下記のゴールド日足ドル建てのグラフをご覧ください。
まず移動平均線の選択は長期線が30(黄色)、短期線は10(白色)で選択するほうがいいでしょう。
短期線と長期線がクロスしたところをそれぞれゴールデンクロス、デッドクロスというのを学習したかと思います。
基本中のキホンですのでぜひ覚えておきましょう。
上記の金のチャートでは、2月の新型コロナショックで急落したあとにデッドクロス、急騰したあとにゴールデンクロスになっています。
ゴールデンクロスとデッドクロスの絶対条件
前項の日足のグラフでは反応が遅すぎて、ちっとも値幅が取れないという方も多いと思います。
弊社が推奨しているのは、先のチャートを4時間ごとに刻んだ以下のグラフ、4時間足です。
これを活用すれば、それほど大きな遅れにはならないでしょう。
これでもまだ遅いという方は1時間や30分、15分足などもご活用ください。
例えばチャートの中央付近で金は高値を出し、そのあとに黄色い長期線が上向きになりながらも白色の短期線とデッドクロスしています。
ゴールデンクロスとデッドクロスで一番重要なことは、短期線と長期線が同じ方向を向いていることです。
今回のデッドクロスの場合は黄色い長期線が上、白い短期線が下を向いています。
これは不完全なクロスであり、デッドクロスでも大して下がらないことを意味します。
逆に線が同じ方向を向いている2020年5月8日〜12日にかけて出現したゴールデンクロスを見てみましょう。
このクロスの場合は押し目らしい押し目を形成することなく一直線に上昇しています。
しかし、一番高い値段を出して下がってくるデッドクロスは上がったり下がったりしながら下がっています。
両者の違いは完全なクロスかそうではないかです。
線が同じ方向に向いてのクロスは一直線の上昇・下落になりますが、線が違う方向でのクロスは気迷い気味になり、クロスした位置まで戻ってしまう形になります。
つまりゴールデンクロス、デッドクロスは、そのクロスの仕方によって結果が違うのです。
つまり、
【1】長短期線が同じ方向を向いてのクロスになる
ことがゴールデンクロス、デッドクロスの絶対条件です。
もう一つの基本
もう一つの基本は、移動平均線とローソクが離れている場合には転換は起こらないということです。
逆に言えば、
【2】転換が起こる場合には、必ず平均線とローソクが離れた位置にはない
ことがテクニカル分析の第2の基本になります。
上記の4時間足のチャートで確認してください。
転換が起こるときは必ず平均線とローソクが接近しているはずです。
ただし、最新の一番右端を見るとローソクと平均線が大きく離れたままゴールデンクロスしています。
その上に長短期線の方向も上下逆方向です。
一度ゴールデンクロスの言うことは聞きますが、クロスしたころにはもう下がり始めています。
こういうのをチャート上のだましといい、このゴールデンクロスが機能しないことを意味します。
日足と4時間足の関連性
一番最初に上げた日足のドル建て金チャートを再度ご覧ください。
一番右端の現在、4時間足でゴールデンクロスしている影響で下がりにくい状態ですが、大きなスパンである日足はわずかに長短期線が下を向きながらデッドクロスしています。
この場合、弊社の経験則では4時間足が再びデッドクロスしたときに大きく金は下がります。
ゆえに金はテクニカルによると目先同方向でのクロスですので下がることになるのです。
プラチナ価格のテクニカル分析
下記はドル建てプラチナ(白金)日足です。
この日足から言えることは、黄色い長期線に沿ってプラチナ価格は推移しています。
このチャートでのプラチナの買い場所は、この黄色い線にタッチしたところか下回ったところになります。
これでは目先どうなるかわかりにくいので4時間足に分割してみましょう。
日足とは違い、黄色い30に沿って価格が動いています。
決定的な違いは、日足が黄色い線上を動いているのに対して4時間足は下に入ってローソクが動いていることです。
そして一番右端、現在ゴールデンクロスしていますが、この方向性を見ると白い短期線は上、黄色い長期線は下を向いていますので不完全なクロス、いずれ下に向かうことがわかます。
つまり、プラチナの目先はゴールデンクロスによって上がるかもしれないが、時間の経過とともに下がってくるということになります。
この場合の下値の目途は4時間足を見るのではなく、日足の30にタッチしたところか下回ったところです。
中勢的な日足ではこれを割り込まなければ買いになります。
ある理由によってプラチナは下がらないでしょう。
もう一度大きな波動を作り下がると思われます。
この理由はファンダメンタルズ的なものではなく、テクニカル的なものです。
プラチナの日足の2つの山を作った場合は3つ目の山を作る可能性が高いというのがセオリーになります。
しかし、2つ目の山から3つ目の山の形成には、1つ目から2つ目の時間経過よりも時間がかかるということです。
パラジウム価格のテクニカル分析
同様にドル建てパラジウム日足のチャートも見てみましょう。
このチャートで注目は、左から真ん中にかけて、30の長期線(黄色)にタッチしたところを買っていれば自動的に儲かったという点です。
30の黄色の線へのタッチが3回行われて大天井を迎えています。
プラチナでも同じことを書いていますので確認してみてください。
スタートは不完全なクロスでしたが、こういうきれいな形のチャートは非常に珍しいものです。
そして、最新では逆方向のゴールデンクロスが出現し、今まで白い10の線の下に潜っていたローソクが上に変更になっています。
10(白色)の上になっているので買いですが、ローソクと平均線がくっついていますので転換がいつ起こってもおかしくない状態です。
そもそもゴールデンクロスが不完全ですので、いつか下にいくと思っておけばいいのです。
以下の4時間足を見てみると、最新のものはゴールデンクロスをしていますが、その方向は黄色が横ばいで白色の短期線は上です。
両方ともに上を向いているわけではないので強いクロスではなく、すぐに氾濫しています。
上値は切り下げてきていますので、今後も下方向にいくと予測します。
その場合、売りが決定するので白はすでに下を向いていますので、黄色が下向き始めた時、そしてクロスすれば売り増しということになります。
まとめ
テクニカル分析でのチャートの説明をしましたが、どれが一番わかりやすかったっでしょうか?
弊社的には金であり、売ればいいと思っています。
その場合の下値の目途は非常に難しいのですが、ファンダメンタルズでも金は売り、テクニカルでも売りになっているのです。
さてはて結果はいかになるでしょうか?
プラチナとパラジウムは金に引っ張られている部分があるので難しいですね。
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