金価格とバブル化するIT関連株

アメリカの新興企業向け株式市場、ナスダックを中心とするIT銘柄の買い加速が止まりません。

今回は、このIT銘柄と金の関係を解説していきます。

FRBのバランスシートとNYダウの関係

下記は、アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)のバランスシート(資産)とアメリカを代表する株式市場、NYダウとの関係を示したグラフです。

参照元:TRADING ECONOMICS

グレーの棒線、FRBのバランスシートが拡大するにつれて暴落した株価が戻ってきていることが確認できます。

下記のゴールドの価格も上記のグラフと比べると、FRBのバランスシートが拡大するごとに値段が上昇していることがわかります。

参照元:TRADING ECONOMICS

注目すべきは、6月下旬からFRBが資産の拡大を止めて減少に転じている点です。

その結果、上記のNYダウも軟調になっており、FRBのバランスシートの拡大が収まれば株価も下がるという相関が確認できます。

ところが、金はそれを無視して上昇してしまっているということも確認できます。

これはどういうことかを解説していきましょう。

なぜNYダウが低調でナスダックが好調なのか?

FRBのバランスシートの拡大とは、平たく言えばお金のばらまき、いわゆるヘリコプターマネーになります。

今、余ったお金をどうするかを皆さんが考えているのです。

  1. この不景気ですからお金を持っていくところがない
  2. だったら株式に投資しよう
  3. しかしこのコロナ禍では通常の株式では業績が悪いのは目に見えている…。

そこで白羽の矢が立ったのがステイホームでも注文が大量に入るアマゾンなどのネット販売業者です。

参照元:TRADING ECONOMICS

新型コロナの被害が始まる前までは1800ドル前後だった株価が、ピークで約2倍の3200ドル前後、去年と比べても34%上昇しました。

新興自動車メーカーのテスラに至っては、去年と比べて500%近く上昇しています。

これは、車内は感染リスクが少ないので売れ行きが好調ということの反映です。

こうした結果、下のグラフの通りナスダックのインデックスは3月以降ものすごい上昇を示し、過去最高を記録しています。

参照元:TRADING ECONOMICS

海外渡航がほとんどの国で禁止の中、株式市場の中でも飛行機会社の株を買おうなどと誰も思いません。

その結果、銘柄の選好が起こり、ボーイングやエアラインの株は買わないけど、オンライン関連のアマゾンやオンライン会議のズーム等の銘柄は買うということになるのです。

結果としてNYダウは低下傾向になる反面、アマゾンなどの銘柄を含むナスダックは新値を更新するのです。

今の金融市場を動かしているのはナスダック

新型コロナもなんのその、ネット環境とクレジットカードがあればいつどこででも買い物ができるアマゾン

今や世界の金融市場の注目は、アマゾンなどを擁するナスダックの一挙手一投足に向かっています。

ナスダックが下がれば他も下がり、上昇すれば他も上昇するという形になっているのです。

理由は、アメリカ株式市場の時価総額のうちFAAMG銘柄(フェイスブック、アマゾン、アップル、マイクロソフト、グーグル)がGDPの36%を占めるようになっているからです。

参考までに、ITバブル時のGDPの上記銘柄の占有率は25%で当時でもあり得ない数字でしたが、今や36%という異常レベルです。

FRBのバラマキ政策の結果、上がらない株には投資したくない、でも儲かっている銘柄は限られる、選択肢に挙がるアマゾンなどの株は異常な上昇になっているのです。

しかし、高すぎる価格はいつか平均値に戻るのが歴史の常であり、もう喜んでアマゾンやテスラの株を買う時期は過ぎたと考えられるでしょう。

理由は上記のFRBの金融緩和、バランスシートの拡大が転じてここ4週間縮小傾向に入っているからです。

ナスダックと金価格の関係

ニューヨーク、タイムズスクエアに立つナスダック

金価格は従前まではNYダウに従属した動きになっていましたが、今やナスダック銘柄に忠実な動きをしています。

ナスダックが上昇すれば金も上昇、反対にナスダックが下がれば金も下落という形で、今後の金価格を占うにはナスダックの動向を読むことが不可欠です。

ナスダックはFRBの資産拡大を無視して上昇していますが、ばらまいているお金が減っているのに、どんどん上昇していくというのは論理的におかしなことです。

きちんと分析して買っているファンドマネージャーは、そろそろ注意しなければと考えているに違いなく、彼らが買い控えると、今度はアメリカの個人投資家が無鉄砲に買っていくのが現状の姿です。

こういった大衆筋の買いには根拠がないので、将来的には負けることになるでしょう。

つまり、値段が下がります。

理由はFRBがばらまきの量を減らしているのですから、値段の上昇は鈍化しなければいけないのに、それ以上に勢いを増している、まさにバブルだからです。

金もそれに引っ張られているだけであり、どこかで急落するのは間違いないでしょう。

今後のナスダックと金価格の展望

新型コロナの第二波は第一波以上のインパクトが予想される

今後の予定を見ていくと、7月30日にアメリカGDP4-6月期の1次速報が出ます。

この数字は悪いことが確定しており、それに呼応して株価も間違いなく下がります。

今の株価は高すぎるので売られるのが必然であり、ナスダックにけん引されている金も下がるでしょう。

このゆくえは来たるべきコロナ第二波次第になりますが、おそらく第一波よりも強い毒性で人間を攻撃してくる可能性が過去の事例からも確かです。

この状態になったときに株価が今までのように順調に伸びるのか、そしてそれに追随する金がそのまま上昇するのか?

もはや答えは出ていると言えるでしょう。

下がります。


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