今回は、今の金市場が主に何によって動いているのかを検証した上で、金バブルの崩壊が近いことを説明していきます。
今の金市場は何で動いている?
以下は青でドルインデックス(右軸)、茶色でゴールド(左軸)の価格推移を表したグラフです。
7月に入ってからの動きを見てください。
青のドルインデックスが急速に下に向き始めているのに反比例するように、茶色のゴールドが急騰しています。
すなわち、今のゴールドは青のドルインデックス、つまりドル安によって動いているということが客観的にわかります。
これを【1】とします。
ドル安の背景としての新型コロナ対策
アメリカでの新型コロナウイルス対策第一弾が7月末日に期限を迎えることから、共和党と民主党から12月31日までの第二弾の試案が出ています。
議会は下院が民主党で上院が共和党、優先権は上院にあるので共和党案が通る可能性が高く、共和党案が7月27日に公表された時点でFRB(連邦準備制度理事会)の金融緩和再拡大がほぼ確実になりました。
アメリカの場合、議会が承認しても大統領が拒否権を発動する可能性がありますが、大統領選挙で極めて不利な情勢に押し込まれているトランプ大統領がこの案を拒否することはあり得ません。
もちろん修正を求める可能性はありますが、結局は総額1兆ドルの共和党案が承認されるでしょう。
予算はすでに今回のコロナ対策第一弾によって使い果たしていますので、国債を発行することになり、直接のFRBの買い付けは禁止されていますので、民間銀行を通じて消化され、最終的にはFRBが買い取ることになると考えられます。
よって1兆ドルが市中にバラまかれてドルの需給が悪化することを見越し、ドルが安くなったということです。
これが【1】の理由です。
3月から現在までのドル動向の流れ
上記の考察から、金価格の展望を語るのには今後のドルの動向を読めばいいことになります。
では、ドルはどうなるのか。
冒頭に挙げたグラフでは、3月11日に青のドルインデックスが反転上昇しています。
これは何の日かといえば、FRBが政策の失敗を受け(1月にコロナ被害が拡大しているのにもかかわらず金融緩和を停止)緊急利下げを行った日の前後です。
詳細は緊急利下げを行ったのは3月15日になりますが、その直後にドルは急騰しました。
ここがポイントになります。
この3月の状況は、3月末に安値をつけるまで急落していた株価を金利をゼロにすることで食い止め、さらに無制限の緩和によって6月の上旬まで急騰させました。
金は無制限緩和の発表と同時に上昇し、ここ最近の上昇はさらにドル安が加わったということです。
一方で、ドル安になっても株価はナスダックを除けば横ばいになります。
理由は、コロナ災害によって売り上げが上がるわけがないことで説明がつきます。
コロナ対策第二弾と今後の金価格の展望
いろいろ説明しましたが、今回のコロナ災害給付金の共和党案は、今まで週600ドルだった給付を200ドルに下げ、そのほかの特典を大きくするものです。
この考え方は、今までは600ドルによって庶民の生活は困窮することはなかったのに、これが7月末で切れる可能性がありました。
ゆえに7月27日の株価は急激に上昇したことから、市場はこの給付などの対策費が終了することを前提に動いていました。
これが共和党、民主党から対策案が出たことによって、支援延長の可能性が高くなったので急激に上昇したのです。
過剰に発行されたドルはどうなるのか?
今までは供給過剰だったからドルは下がったのです。
そして、景気がある程度維持されるとすれば、アメリカの人たちはお金を一斉に使い始めます。
その金額が1兆ドル以上であれば、緩和以前に戻ってしまいます。
参考までにアメリカのGDP総額は2200兆ドルで、金額にすれば0.05%の緩和です。
つまり、この緩和の1兆ドルなどすぐに消化してしまい、それ以上にドルが使われる可能性が高いと言えます。
ゆえに今まで供給過剰で売られていたドルが、今度は需要不足になって上昇する可能性があるのです。
あなたの投資家としての判断は?
以上はすべて仮定の話です。
実際に第二次コロナ対策予算は議会にて審議中でまだ成立はしていません。
さらに大統領の署名が必要です。
決まるのはほぼ決定ですが、まだ現実には決まっていません。
それを先取りするか否か、個々の投資家としての判断が求められます。
ゆえに今まで供給過剰で売られていたドルが、今度は需要不足になって上昇する可能性があるのです。
となれば金の価格は【1】であれば下落する可能性が高いという事です。
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